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45.ダンジョン泊③

俺達は15階層までやってきた。


かなりの数のモンスターと戦った。

階層を上がるごとに出現するモンスターが増え、14階層にはゴブリン・オーク・フォレストウルフ・ホーンウルフ・ホーンラビットが出現した。


15階層は、メア調べだとロックディアとジュエルディアが出現する。

その2体は自分達の縄張りに入らない限り襲ってこないらしい。

なので冒険者ギルドは15階層でダンジョン泊するのをおすすめしているらしい。


俺達はおすすめを素直に聞くことにした。


「テントはできた?」

「ああ。2つ設置した」

オータルはテントの設置をし、メアとミランは夕食作りをしている。

俺は周囲の警戒だ。


なぜかダンジョン内の空は夜になっていた。

外と連動していたとしたら、本当に凄いシステムだ。


「明日はボスに行くんだよな?」

「うん。ボス戦前にジルさんが合流するって」

オータルの問いにメアは笑顔で答えた。


「本当についてきてるの?」

「らしいけど」

ジル師匠は遠くから見守ると言っていた。

だとしても気配が全くない。


「ボス部屋の前で少し待っておけば来るはずだよ」

「そうだね。ボス部屋までに大変な階層はある?」

「うーん。19階層にはミノタウロスがいる」

「まじかー」

10階層のボスが普通に出現するのは想定外だ。


「複数と同時に戦わないように気を付けよう」

「そうだね」

「オータルは勝手に突っ込まないでよね」

「わかってる!」

俺達は明日の作戦を立てながら、夕食を食べた。



▽ ▽ ▽



俺達は順調に進んでいった。

階層がだいぶ広いみたいで、階段までの距離が遠かった。


モンスターも増え、エリートゴブリンが出てくるようになった。

リビングソードやオークの方が大変だったので、ちょっと拍子抜けした。


冒険者の姿もちらほら見た。

俺達より先にダンジョンに入ったか、連泊している冒険者だろう。



19階層に到着した。

「ミノタウロスがいる階層か」

「気を付けて進もう」


武器を構えて進むとミノタウロスが2体いた。

武器は持っていない。


「2体同時に行けるかな?」

「うーん。危なかったらシラユキとゴウキを呼ぶよ」

「よし!そしたら俺が突っ込む!」

オータルはそう言ってミノタウロスに向かって行った。


「もう!」

メアは鈍化薬を『旋風』を使って、ミノタウロスに当てる。

俺とミランはボス戦の時のように、ミノタウロスの膝裏を狙いに行く。


『火車』のおかげか、オータルの攻撃がボス戦の時よりも効いている。

俺は右のミノタウロスの背後に回り、筆剣を振るう。

スッ

「え?」

筆剣はミノタウロスの左足を切断した。


ボス戦では切断できなかった。

いつの間にか筆剣の切れ味が増している。

他のモンスターは以前から切断できていたから気付かなかったけど、筆剣のレベルが上がったことが関係しているのかもしれない。


俺は筆剣でミノタウロスの胴を横斬りする。

ミノタウロスの胴体は半分に切断された。


「イツキ!すごいな」

オータルは残りのミノタウロスを殴りながら言った。

「なんかレベルが上がって切れ味が増したのかも」

「ずるい!」

ミランは何故か悔しそうだった。


俺達は残りのミノタウロスを倒した。


「もー!イツキだけずるいじゃない」

「そう言われてもね。でも俺が強くなれば、新しい筆魔法を取得できるかもよ」

「取得したらすぐに教えてよね」

「わかったよ」

ミランの機嫌が少し良くなった。


▽ ▽ ▽


20階層に続く階段を見つけた。


「順調にここまで来れたな」

「「「「うわ!」」」」

ジル師匠がいきなり現れた。


「本当についてきてたんですね」

「そりゃな」

ジル師匠はまったく疲れてもいなかったから、余裕だったのだろう。


「10階層のボス戦も1人で?」

「いや。お前達が倒したから、すぐに通れたぞ」

「え?」

「ボスを倒すとボスが復活するまでの数分間は倒していない者も通れる」

「そうだったんですね」

初めて知った情報だった。


「途中ですれ違った冒険者もそれを狙ってただろ?」

「あ!」

すれ違った冒険者の話で、藤井先生を思い出した。


「師匠。少し話が」

「なんだ?」

俺は藤井先生の話をジル師匠にした。


「なるほどな。イツキの世界の人族がいたのか。それも奴隷で」

「はい。そうみたいです」

「ちょっと街に戻ったら調べてみる」

「すみません」

俺は師匠に頭を下げた。


▽ ▽ ▽


俺達はボス部屋に入った。


部屋の中央には鎧を着た騎士が3体居た。

ギルドの情報で、リビングアーマーだということはわかっていた。


「いつも通りに行こう」

「おう」

「オータルは鈍化薬を待ってね」

「わかってるよ」

オータルは俊足薬を飲みながら言った。


「行くよー!」

メアが鈍化薬を『旋風』で飛ばし、オータルがそれに合わせて走り出した。


俺は魔物図鑑に絵を描く。

「弱点は聖魔法か。なるほどね。ミラン!力で押し切らないとダメそう」

「うん!」

俺達はリビングアーマーに向かう。


リビングアーマーはそれぞれ大剣・斧・槍を持っている。


「私が槍持ちでいい?」

「うん。俺は剣にする。オータル!斧持ちを頼む!」

「ああ!」

オータルは斧持ちに突進して、少し離れた。


「ほら!あなたはこっちに来なさい」

ミランはサーペントブレードを槍持ちに当てて誘導をした。

これで3人がそれぞれ戦える。


「火車!」

2つの火車が現れてリビングアーマーに向かって行く。

2つとも直撃し、リビングアーマーは仰け反る。


俺はすぐに懐に入り、筆剣を胴に刺す。

切れ味が上がったからって、鎧を削ることは出来たが貫通することはできなかった。


「くそ!実体がないのがつらいな」

魔物図鑑によるとリビングアーマーの中身は空らしい。

なので関節を狙うとか、そういう話じゃない。

「うーん。どうするか」


ガシャン!

俺が考えていると、メアが鈍化薬をリビングアーマーに当てた。


「試してみるか。メア!」

「どうしたの?」

「俺の『火車』に『旋風』を当ててくれ。俺が発動すると上向きにしか風が起きなくて」

「う、うん。わかった。やってみるよ」

「火車!」


俺が火車を出すと、メアが旋風を当てる。

すると火は少し大きくなり、いつもよりもスピードを上げてリビングアーマーに直撃した。

リビングアーマーの胴体は少し凹んでいた。


「よし。これならいけるかも」

俺とメアは何度も同じ戦法で攻撃した。

さすがにリビングアーマーも学習したらしく、攻撃が当たらなくなった。


「イツキ。これ使ってみて、さっき作れるようになったの」

俺はメアに薬を渡された。


「これは?」

「腐敗薬らしい」

「……え?」

「……ん?」

メアはキョトン顔をしている。

思春期の俺は死んだが、ちゃんと言わなきゃいけない。


「メア。これは多分すごく使えるやつだから、ボス戦前に言ってほしかったな」

「だよね。ごめん!もし使えなかったらって思って言えなかったの」

「うん。俺が試すから、使えたら2人にも渡して」

「わかった」


俺はリビングアーマーに腐敗薬を投げる。

ビンは割れ、液体がかかる。

液体が付着したところが煙を上げ始めた。

リビングアーマーは液体を払おうとしているがもう遅い。


俺は煙を上がっているところを攻撃しようと思ったが、筆剣が腐敗したらと頭をよぎる。


「メア。これって何が腐敗するの?」

「生物には害はないって書いてある」

「あー」

筆剣を使うのは怖かった。


「メア、まだ作れる?」

「うん。他の薬よりは少ないけど作れるよ」

「何個かもらっていい?」

「うん」

俺はメアからもらった腐敗薬をリビングアーマーに投げつける。


リビングアーマーの鎧はボロボロになった。

俺は10階層で手に入れたミノタウロスの斧でリビングアーマーを攻撃する。

鎧は簡単に壊れ、リビングアーマーが使っていた大剣がドロップした。


他の2人を見ると、オータルはあと少しで倒せそうだったがミランが大変そうだったので応援に向かった。


▽ ▽ ▽


無事にリビングアーマーを倒すことができた。

腐敗薬は強いが、俺達の武器も腐敗する可能性があるので使い所は考えないといけない。

実際、ミノタウロスの斧はボロボロにて使い物にならなくなった。


「結構掛かったな」

ジル師匠がにやけながら言ってきた。


「はい。俺とミランの攻撃が通らない相手はなかなかしんどいです」

「面白い戦い方が出来ていたし、いいんじゃないか?」

ジル師匠はまだにやけていた。


「戦い方は考えます!今回はここまででいいんですか?」

「ああ。一旦帰るぞ」


俺達はドロップアイテムを回収し、水晶に触れて1階層に戻った。



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