40.ペタロドダンジョン挑戦②
「イツキ!もっと積極的に攻撃しろ!」
「はい!」
俺はジル師匠の言葉に返事をし、オークに筆剣を振るう。
「オータルは連携を意識しろ。また1人で戦ってるぞ」
「はい!イツキ!」
オータルが突進して吹き飛んだオークが俺に向かって飛んでくる。
俺は筆剣で真っ二つに叩き斬った。
「おい!いきなりすぎだろ」
「すまんすまん」
オータルはすぐにアドバイスを取り入れたが、いきなりは焦る。
「メアは仲間が戦闘中でも薬をどんどん投げろ。当然仲間に当てないようにだぞ」
「はい!」
メアは旋風を使い、俺の目の前のオークに鈍化薬を当てる。
「よし!」
喜んでいるメアにスカイスネークが飛んでくる。
それをミランはサーペントブレードで攻撃した。
「メア。よそ見は駄目でしょ」
「ありがとーミラン!」
ミランは周りをよく見えているみたいだ。
「戦闘しながら移動するぞ」
「「「「はい」」」」
俺達はモンスターを倒しながら、ダンジョンを進む。
6階層は思ったよりも広くなく、難なく階段まで来れた。
「よし。ここで朝食を取ろう。ここまでよく頑張った」
ジルさんは嬉しそうに言った。
俺達は踊り場で朝食の用意をする。
メニューはパンとスープだ。
スープを温めようと思ったが、ダンジョンが建物のような見た目だったので火を使っていいのか悩んだ。
「火を使っても平気ですか?」
「火はこれを使え」
ジルさんからマジックコンロを渡された。
元の世界のカセットコンロみたいな見た目だ。
「ダンジョンで火を使うのは問題ないが、地形によっては煙が流れなかったりすることがある。だからこういう物をつかうんだ」
「これは高いんですか?」
「これは人工だからそれほど高くない。ダンジョン産の物は高額で取引される」
「俺達も1つは持っておきたいね」
「そうだな。野営にも使えそうだし」
オータルはマジックコンロを使いながら言った。
「ジルさん。今度こういうのを買える所を教えてください」
「ああ。連れて行こう」
「ありがとうございます!」
メアは嬉しそうに頷いた。
「そういえばオークとスカイスネークのドロップアイテムを拾ったよね?」
「うん」
メアはマジックバッグからドロップアイテムを取り出した。
「たぶんオークの肉とオークの爪とスカイスネークの牙かな?」
「これも売れるんですか?」
「売れるぞ。だけどモンスター肉は食べられるものが多いから、時間経過がないマジックバッグを持っている冒険者は売らずに自分達で食べることが多いな」
「メアのマジックバッグはベアトリスさんから借りたもの?」
「うん。時間経過がないから、売らなくてもいいかも」
「そうだね。できるだけ食料系は残しておこう」
「うん」
メアはドロップアイテムをマジックバッグにしまった。
「そろそろ食えるぞ」
俺達は朝食を食べ始める。
食事をしながらジル師匠は喋り始める。
「7階層にはスケルトンとリビングソードがいる」
「リビングソード?」
「宙を浮いている剣が襲ってくる」
「え!」
メアは驚いていた。
「倒し方は2体とも破壊することだ。完全に破壊するまで動き続けるから、完全に倒すまで気を緩めるなよ」
「「「「はい!」」」」
俺達は朝食を食べ終え、7階層に向かう。
後ろにいた冒険者と合流することもなかった。
▽ ▽ ▽
7階層は遺跡のような内装だった。
大きな石のレンガが詰まれていたり、石の柱があったりした。
「うわー。あれか」
俺の目線の先には宙を浮く剣があった。
「あ?あんなの掴んで動けなくすればよくないか?」
「オータルならいけるか?メアとミランだとそのまま宙を浮いちゃいそうだけど」
「よし。やってくる」
オータルはリビングソードに向かって行った。
リビングソードは近づいてくるオータルに気付き、攻撃を仕掛けてくる。
「うわ!」
オータルは攻撃を避け、リビングソードを掴む。
するとリビングソードは身体を回転させた。
オータルも同じように身体が回転して、地面に倒れた。
「うわ!」
倒れたオータルの身体にリビングソードは突き刺さろうとするが、鎧のおかげで防ぐことができた。
「あぶねー。掴むのは絶対ダメだ。思った以上に力が強い」
オータルは鎧が無かったら大怪我していたのがわかっているようで、顔が真剣になった。
リビングソードが仲間を呼んだのか、数体のリビングソードが次々現れる。
「よし。1人1体。確実に破壊しよう」
「「「うん」」」
俺達は武器を構えてリビングソードに向かう。
ミランはサーペントブレードをリビングソードに巻き付けて、壁に叩きつける。
メアは鈍化薬を投げ、動きが鈍ったところをモーニングスターで攻撃。
オータルは突進をし、壁に叩きつける。
問題は俺だ。
前まではストーンゴーレムすら斬れなかった。
だけどジル師匠との特訓で、剣も上達したはずだ。
俺は集中して筆剣を構える。
リビングソードは俺に向かってくる。
俺は素早く筆剣を振る。
カキン!
リビングソードは少し欠けたが、斬ることができなかった。
「さすがに斬れないか……」
ちょっと凹んだ。
俺はすぐにゴウキを召喚した。
「ゴウキ、リビングソードを破壊してくれ」
「御意」
ゴウキは金棒でリビングソードを破壊した。
▽ ▽ ▽
「旋風!」
旋風は目の前のスケルトンの群れに突っ込み、スケルトン達はバラバラと崩れる。
しかしバラバラに崩れたスケルトンの身体はカタカタ言いながら集まっていく。
「オータル」
「任せろ!」
崩れたスケルトンに向かって突進をする。
壁に叩きつけられ、スケルトンは粉々になった。
「ふー。リビングソードより戦いやすいな」
「そうだね」
オータルはいっぱい戦えて満足そうだ。
「ドロップアイテムはスケルトンの骨か、これ売れるのか?」
「リビングソードのドロップアイテムも鉄の塊と魔石だったな」
俺達がドロップアイテムに不満そうなのを見て、ジル師匠が口を開いた。
「スケルトンの骨と鉄塊はハズレだ。だけど魔石は普通に魔石と同じように売れるぞ」
「ハズレがあるんですね」
「そうだな。珍しいドロップアイテムほど高く売れる」
「なるほど」
そういうガチャ要素はやりこんでしまいそうになる。
「そろそろ8階層だ」
ジルさんが指を差す方向には階段が見えた。




