表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/34

3.レベル上げ

獣人を見かけてから3日経った。


山頂近くに行くと獣人に出会ってしまうかもしれないし、麓近くまで行ってモンスターにやられるのが怖かったので俺は山の中腹でモンスターを倒して過ごしていた。


シラユキを何回か召喚してみたが、戦闘はほとんど無理みたいだ。

2Dの身体はやはり戦闘に向いていない。


身体はお調子者神様のおかげか、森の中で見つけた果物を2日前に1回食べただけで空腹にはならなかった。

出会ったモンスターはゴブリンやスライム、あとはオオカミのモンスターだった。

同時に出てくるのが、多くて3匹だから何とかなった。これ以上増えたらだいぶつらいだろう。


俺はモンスターを探しに山を歩き進めた。


目線の先に、オオカミのモンスターが3匹いることが確認できた。

薄緑色の体毛のせいで森に馴染んでいるので普通は見にくいのだろうが、『観察眼』のおかげで俺にはばっちり見えた。


俺は筆剣を抜き、構えた。

ここ数日の戦闘でわかったが、オオカミのモンスターのように素早い相手には上段の構えは危険だ。

防具もない状態で、胴をがら空きにするのは怖すぎた。


俺は筆剣を中段に構える。

オオカミのモンスター達も俺に気付き、突っ込んでくる。

俺は突っ込んでくる先頭の奴に合わせて横に剣を振る。

先頭のオオカミのモンスターは口から2つに裂けた。


俺は体勢を整えて、残りの2匹も真っ二つにして倒した。


「剣道の動きじゃ限界があるな。まあ筆剣の切れ味が良すぎるから適当に振っても倒せちゃうんだよなー」

自分の戦闘スタイルに悩んでいると、目の前に小さなウィンドウが現れた。

「うわ!また出た!」


[収納の書と召喚絵巻(白雪)がレベルアップしました。詳細を確認したい場合は詳細確認をタップしてください]


俺は【詳細確認】をタップした。


○収納の書Lv2

 ページ数が20ページになりました。

 目次ページができました。

 目次ページにアイテムのカテゴリーを記入すると収納時に自動で振り分けされます。


○召喚絵巻(白雪)Lv2

 召喚獣のレベルが上がりました。



「シラユキがレベルアップ?」

俺は召喚絵巻を手に取って念じた。


いつものように水墨画タッチの煙が出る。

煙が晴れるとそこには3Dになったシラユキがいた。

姿は残念なことに、小虎のままだった。


俺はシラユキに駆け寄り、撫でまわす。

「おーかわいいな」

グルルルルルル!

シラユキも喜んでいるようだ。


シラユキを撫でまわしていると、近くで物音がした。


物音の方向を確認するとゴブリンが1匹いた。

「よし、シラユキ!あのゴブリンを倒してみろ」

ガウガウ!


シラユキはゴブリンに向かって走り出し、ゴブリンの首元にかみついた。

勝負は一瞬だった。


水墨画タッチのシラユキの口には赤い血が付いていて、その姿が美しく感じた。

シラユキを召喚絵巻に戻して確認したが、絵の中のシラユキは成体で口元には血は付いていなかった。

汚れても、召喚絵巻に戻せば問題ないことが分かった。


次は収納の書を開いた。

ウィンドウに書いてあったとおり少し厚くなっていた。

一番最初のページが目次になっており、見開きごとにカテゴリーわけが出来るようだ。

今後荷物が増えたら取り出すのが大変だと思っていたから、このレベルアップはありがたい。


俺は辺りを見回した。

「ステータス!!!!!!」


【名前】 イツキ

【年齢】 17

【職業】 絵師・剣士

【レベル】 5

【生命力】 2700

【魔力】 0

【筋力】 470

【防御力】 420

【俊敏力】 85

【スキル】

○エクストラスキル

 異世界の絵師Lv1

 →筆剣Lv1

 →収納の書Lv2

 →召喚絵巻(白雪)Lv2

○通常スキル

 剣術

 抜刀術

 観察眼

 共通言語

 自動翻訳



ステータスは魔力以外が綺麗に上がっていた。

「麓に行くまでに10レベルには上げておきたいな」

ステータスを閉じ、再度モンスターを探しに向かった。


▽ ▽ ▽


俺は異世界転移してから最大の窮地に立たされていた。


8匹の武器を持ったゴブリンに囲まれていた。

しかも1匹はひょろ長のゴブリンだ。


グギャ!グギャ!

ひょろ長ゴブリンが他のゴブリン達に指示を出しているようだ。

ゴブリン達は俺から少し距離をとって囲んでいる。


「シラユキ!頼む!」

俺は召喚絵巻でシラユキを召喚し、筆剣を抜いて構えた。


シラユキは正面のひょろ長ゴブリンに向かって行く。

俺は後ろにいるゴブリンに向かって行った。


まず目の前の1匹に一太刀浴びせて、2匹目にも一太刀浴びせようとしたが石の棍棒に防がれてしまう。

筆剣の切れ味が良いと言っても、石はさすがに斬れないようだ。


俺は石の棍棒を持つ手首を狙って筆剣を振り下ろす。

手首は切断され、そのまま筆剣を横に振りきって身体を切断した。

その隙に2匹のゴブリンに回り込まれていた。

回転斬りのような動きで後ろを向き、2匹のゴブリンを倒した。


シラユキの方を見てみると、ひょろ長ゴブリンと戦っていた。

近くにはゴブリンの死体が3つ転がっていた。


「シラユキ、一緒に戦うぞ!」

俺がそういうとシラユキは俺の方に駆け寄って来ようとした。

その瞬間、ひょろ長ゴブリンの大剣に刺されて煙になって消えてしまった。


俺が声をかけたせいだ。

「くそ。ごめん、シラユキ」


俺は筆剣を握り直し、ひょろ長ゴブリンに向かって行った。

筆剣を振り下ろすが、大剣で防がれる。

手首を狙うが後ろに下がられて避けられてしまう。

やはり普通のゴブリンよりひょろ長ゴブリンの方が強いようだ。


俺は距離を取って構え直す。


グギャアア!

ひょろ長ゴブリンは叫びながら俺に向かってきた。

俺はひょろ長ゴブリンが振り降ろした大剣を防いで鍔迫り合いのような態勢になるが、腹に蹴りを入れられ吹き飛んだ。痛みはさほどないのはステータスのおかげだろう。


ひょろ長ゴブリンは俺に向かってくる。

素早く立ちあがって振り降ろされる大剣を上に弾いて懐に入り、筆剣をひょろ長ゴブリンの腹に突き刺した。


グギャグギ……

ひょろ長ゴブリンは俺にもたれかかるように倒れた。

だいぶ苦戦したが、倒すことができたようだ。


「よっしゃあああ!!」

俺はあまりの達成感に叫んだ。


すると、頭が朦朧としてきた。

「え?」

頭が朦朧になると同時に、右肩に痛みがあることに気付いた。

右肩を見ると小さなナイフが刺さっていた。

「え?いつの間に?」


俺は立っていられなくなり、ひょろ長ゴブリンの横に倒れた。

意識が朦朧とし、身体が痺れて動けない。


「おい!誰か倒れているぞ」

誰かの声が聞こえた。


「エリートゴブリンと人間?」

「肩にゴブリンの毒ナイフが刺さってるー」

「このままじゃこいつが死んじまうぞ。解毒ポーションを早く」

「人間なんて助けてどうするのよ」

「目の前で死にそうなやつが人間だろうと魚人だろうと俺は助ける」

「ミラン、助けてあげようよ」

「わかったわよ」


そこで俺の意識はなくなった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ