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30.ダガルへ帰還

俺達は馬車に乗り、ダガルの街へ向かっていた。

御者台にはオータルとミラン。

馬車の中には俺とメアが乗っていた。


俺はベボンさんから聞いた話が衝撃的すぎて混乱していた。


「勇者召喚って、イツキの世界の人なのかな?」

メアが俺に問いかけた。


「その可能性はあるね……」

「召喚ってことは、無理やり連れて来られてるのかな」

「本人の意思とは関係なく連れて来られてるかも」

「そっか…」

メアも規模が大きな話をされて混乱しているのだろう。


「それに勇者召喚に獣人を生贄にしてるなんて…」

「ひどいよ」

「うん。本当にね」


俺はうっすらだが、なぜこの世界に呼ばれたのか分かってきた気がした。

この件を解決するために呼ばれた。

そうとしか思えない。


だけど俺は弱すぎる。

このままだと何も救うことができない。


「メア。強くなろう」

「うん。そうだね」

「このままだと何も守れない」

「私も強くなりたい」

「ベボンさんが言うには、襲撃もすぐには起きないかもって言ってたから強くなるなら今しかないと思う」

「うん」

「街に戻ったら、ジル師匠とベアトリスさん達に相談しよう」

「そうだね」


俺はこの期間に強くなることを決めた。




▽ ▽ ▽




俺達はダガルの街へ戻ってきた。


帰路はモンスターと遭遇したりしたが、特に問題もなかった。


「じゃあ俺とメアはギルドに報告に行ってくる」

「私とオータルはウマを返しに行ってくるね」

「あとで大口喰らいで集合な」

オータルは久々にお酒が飲めるから喜んでいた。


「オータル。ジル師匠を誘っておいてくれない?今回のことを伝えないといけないし」

「わかった!任せろ」

俺達はオータル達と別れ、冒険者ギルドへ向かった。


ギルドに入ると、リメアラさんが受付に居た。

「お母さん!」

「メア!それにイツキくん!大変だったみたいね。話は聞いたわ」

リメアラさんは優しく向かい入れてくれた。


「ギルドマスターを呼んでくるから、いつもの部屋で待ってて」

「わかりました」

俺達はいつもの部屋に向かった。



数分後。

ベアトリスさんがやってきた。


「2人共、お疲れ様なのじゃ。話はいろいろ聞いているが、2人からも直接話を聞きたい」

「はい。わかりました」


俺とメアは依頼中にあった出来事を事細かくベアトリスさんに伝えた。

「大変だったじゃろ?」

「はい。ですが自分達の弱さを知ることができました」

「ゼネバース皇国か。あいつらは昔から好かんのじゃ」

ベアトリスさんは機嫌が悪くなった。


「ベアトリスさんに聞きたいのですが、ゼネバース皇国ってどんなところなんですか?」

「ゼネバース皇国は獣王国の隣国で、昔から獣人を拉致しては他国に売っているやつらじゃ。奴らは人族以外の種族を邪血と言い、人族より下の存在として扱っているのじゃ」

「なるほど」

「獣人だけじゃないのじゃ。数十年前にはエルフの国を崩壊させ、大量のエルフを奴隷にしたのじゃ」

「ひどいですね」

「ああ。そんな国が勇者召喚にモンスターを操るマジックアイテムとは……」

ベアトリスさんは頭を抱えた。


「闇夜の影のおかげで、ここ数年は拉致の被害も少なくはなってきていたのに」

「ベボンさん達はいったい何者なんですか?」

「闇夜の影はちょっと特殊なのじゃ」

「特殊?」

「ああ。闇夜の影のリーダーは人族なのじゃ」

「え!?」


俺は驚いた。この世界に来てからであった人族はデルタヤしかいないせいか、人族が悪い奴というイメージがついていた。

自分も人族なのに。


「闇夜の影は奴隷になった者達を開放するために動いているのじゃ。人間の国ではCランクの冒険者として活動しているが、強さはAランクなのじゃ。獣王国の国王ともつながりがあり、いろいろ裏で動いてくれているのじゃ」

「なるほど。少し安心しました。俺達より2ランク上でこんなにも実力差があるのかと絶望していたところだったので」

「かははは。あやつらとジルはランクに見合っていない冒険者代表じゃ。イツキ達はゆっくり成長していけばいいのじゃ」

「ありがとうございます」

俺は少し心が軽くなった。


「ベアトリスさん。相談なのですが、俺達は強くなりたいんです」

「ほー」

ベアトリスさんはにやにやしながら俺のことを見ている。


「俺がこの世界に来たのは、今回の件を解決するためなんじゃないかと思っているんです。ですが俺には解決する力がない」

「なるほど。強くなる方法を知りたいのじゃな」

「はい」

俺はまっすぐベアトリスさんの目を見た。


「わかった!数日休んだら、ジルにペタロドに連れて行ってもらうのじゃ」

「ペタロド?」

「ああ。ジルに聞けばわかる。これから会いに行くにじゃろ?」

「はい。わかりました」

「休んでる間は絵の依頼は止めておくか?」

「いえ、絵を描いていたらスキルのレベルが上がるので依頼は受けます」

ベアトリスさんはニカッと笑った。


「そう言ってくれてよかったのじゃ!イツキが居ない間に依頼が溜まっていたのじゃ」

「え!?」

「明後日までに詳細をまとめておく。メア、明日取りにきなさい」

「は、はい」


報告を終わらせ、俺達は冒険者ギルドを後にし、大口喰らいに向かった。


▽ ▽ ▽


大口喰らいに着くと、ジル師匠とオータルとミランがもう飲み始めていた。


「遅くなりました!」

「大変だったみたいだな」

ジル師匠の温かい眼差しが心に染みた。


「はい。でも自分の弱さに気づけたいい旅でした」

「それならよかった」

ジル師匠はゆっくり頷いた。


「オータル、師匠に話した?」

オータルは気持ちよさそうにエールを飲んでいる。

「いや、話してない。イツキが話した方がいいかなって」

「そうだね」

「ん?どうしたんだ?」

「実は」


俺は依頼中の話を師匠にした。

そしてベボンさんに言われたことを伝えた。


「そうか、ベボンさんとコティさんと会ったか」

「2人とはどういう関係なんですか?」

「ああ。お前らには話していいかもしれないな」

ジル師匠は真剣な表情になった。


「俺は昔、人間の国で冒険者をしてたことは話したよな?」

「はい。聞きました」

「実は、人族とパーティを組んでいたんだ」

「え?」

ジル師匠がパーティを組んでたのが意外過ぎて驚いた。


「だが俺の仲間はゼネバース皇国のやつらに殺され、俺は1度奴隷になった」

「え!ジル師匠が!?」

「ああ。それを助けてくれたのが、闇夜の影だったんだ」

「なるほど」

衝撃の話で俺は相槌を打つことしかできなかった。


「当時の俺はタラモーラという国で活動していて、Cランクに上がったばかりだった。仲間もそれなりに強く、人間の貴族の依頼を受けたりすることも多くなった。だがその貴族がゼネバース皇国と繋がってたんだ」

「え!」

「その貴族の依頼は、俺を捕獲して仲間を殺すために仕組まれた依頼だったんだ」

「なるほど」

「奴隷として売り出されそうになった時、助けてくれたのが闇夜の影のリーダーアースだった。それから数か月、闇夜の影と一緒に仕事をしたが、人間の国に居るのが苦痛になって半分引退のつもりでダガルに来たんだ」

「そうだったんですね」

ジル師匠は頷いた。


「ベボンさん達がわざわざそんなことを言うということは、この先大変なことが起きると思っているのだろう」

「そうかもしれません」

「イツキがこの世界に来たのも、この為なのかもな」

「俺もそう思います」

「これから訓練はどうする?」

「そのことなんですが、ベアトリスさんに数日休んだらペタロドに連れて行ってもらえと言われました」

「なるほど」

ジル師匠は笑みをこぼした。


「ギルドマスターも本格的にお前達を鍛えたいみたいだな」

「ペタロドってどんなところなんですか?」

「獣王国で他種族が手続きなしで入れる3つの街の内の1つだ」

前にメアに聞いた話を思い出した。


「ということはダンジョンがあるところですか?」

「ああ。その通りだ」

「おおー!」

元の世界のアニメで聞いたことがあるダンジョン。


俺は自分を鍛えることができる喜びと、ダンジョンを味わえる喜びでテンションが上がった。


「ギルドマスターに伝えてくれ、その依頼受けると」

ジル師匠も少しテンションが上がっているように感じた。


「よし。今日は依頼帰りだ。好きなだけ飲め!」

「「「「はい!」」」」


俺達は大量の食事と酒を消費していった。

俺は酒を飲まなかったけど。


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