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18.遠征依頼

報告をしてから10日ほど経った。


俺達は正式にEランクに昇格した。

ローブの男の情報はまだ発表しないみたいだ。


ジル師匠はフォレストウルフの残党狩りの指揮をとることになったため、訓練は一旦休みになった。

俺達は残党狩りのチームとは別で、麓付近の警戒を担当していた。


「あれから毎日来てるけど、ローブ男は来ないな」

「そうだね。私、こんな頻繁に麓に行くとは思わなかったよ」

「麓は危険だって教わってたもんな。モンスターが多いとか言われてたけど山と変わらないじゃないか」

メアとオータルが文句を言っていた。


「たぶんだけど子供が勝手に街から出て、麓まで行かないようにするために言ってたんだろうね」

「まあそうか。ここは普通に獣人以外が居る可能性がある場所だしな」

「そろそろ街に戻る?」

「そうだね。ギルドに報告をして、大口喰らいで夕飯を食べよう」

俺達は街に戻って、冒険者ギルドに向かった。


「メア!」

冒険者ギルドに入ると、リメアラさんに呼び止められた。


「どうしたのお母さん」

「ギルドマスターが【天啓の導き】をお呼びですよ。いつもの部屋に行ってくれない?」

「わかった」

俺達はいつもの部屋に向かった。


「何の用だろ?」

「うーん。ローブの男の情報とか?」


数分待つと、ベアトリスさんとジャドルさんがやってきた。

「待たせてすまないのじゃ」

「いえいえ」

「天啓の導きに頼みたいことがあってのう」

「なんですか?」

「あのローブ男の情報を他の街に伝えに行ってほしいのじゃ」

「えっと…」

「マジックアイテムを使って獣人国内の冒険者ギルドには情報を伝えたのじゃが、やはりローブ男の絵やモンスターの詳細などをしっかり共有したいのじゃ」

冒険者ギルドには電話やメールのようなマジックアイテムがあるみたいだ。


「なるほど、それで俺達が行くんですね」

「そうじゃ!行ってほしい街は2つ、1つ目はここから馬車で3日ほどの場所にあるナーコンの街。2つ目はナーコンから5日ほどの場所にあるレムチャの街じゃ」

「わかりました」

「紙に情報をまとめてギルドマスターに渡してほしいのじゃ。レムチャでは多めに渡してほしい」

「何でレムチャでは多めの渡すのですか?」

「レムチャから他の街へ情報を流してもらうからじゃ」

「なるほど、わかりました」


俺とベアトリスさんが話していると、メアが口を開いた。

「メンバーは天啓の導きだけなの?」

「そのつもりじゃ。何か問題があるのか?」

「イツキは馬車を扱える?」

「え?扱えないけど」

「私もオータルも馬車を扱えません」

ベアトリスさんは頭を抱えた。


「失念しておった!ジャドル、手が空いていて御者ができて冒険者はいるか?」

「居るのは居ますが…」

「おーその者に同行させよう!誰じゃ?」

「…娘です」

「なるほど」

ベアトリスさんは少し悩んだ。


「イツキ、これを機にミランの心を開いてやってはくれんか?」

「努力はしますが…」


メアが口を開いた。

「大丈夫だよ、おばあちゃん。私とオータルも居るから」

「そうか。それなら明後日出発じゃ。明日は準備をしておくように」

「「「はい」」」

「食料と馬車はこちらで用意するので明日取りに来てくれ。そして娘には俺から伝える」

「わかりました」

「イツキ、娘を頼んだ」

「頑張ります」


俺達は冒険者ギルドをあとにし、大口喰らいに向かった。


▽ ▽ ▽


大口喰らいに入るとジル師匠が1人で食事していた。

「師匠!」

「イツキか」

「一緒に良いですか?」

「いいぞ」


俺達はジル師匠のテーブルに座り、注文をした。

「麓の方はどうだ?」

「異常がないです。あいつも現れませんし」

「そうだろうな。今回の襲撃で思った以上に戦力が減らされたんだろう。俺があいつなら、次は空と陸の両方から攻める」

「なるほど、400体以上のフォレストウルフを倒しましたもんね」

俺達は話しながら、食事を進めた。


「ジルさん。俺達、別の街に行くことになりました」

「ん?どういうことだ?」

オータルは肉を食べながら話した。


「イツキが描いたローブ男の情報を他の冒険者ギルドに共有しに行くんです」

「なるほど。どこへ行くんだ?」

「えーっと」

オータルは覚えていなかったようだ。


「ナーコンとレムチャです」

メアが代わりの答えた。


「2つの街の中は獣人以外は入れないが、道中は他種族がいる可能性があるから気をつけろ」

「「「はい」」」

「それに様々なモンスターがいる、気を抜かずにいることだ」

「わかりました」

「それに気を付けなきゃいけないのは他種族だけじゃないからな」


俺達は食事をしながら師匠に遠征の注意点をいろいろ教えてもらった。


▽ ▽ ▽


「すみません、師匠」

「お前達と食事すると毎回これだな。遠征中は絶対に呑ませるなよ」

「はい」

師匠はオータルを担ぎ、俺はメアをおんぶしている。


4人で食事をすると毎回後半はひどいものだった。

オータルは泣きながら師匠に良くわからない相談をし、メアは俺の腕を組んでもたれながら甘えてくる。

思春期の自分を殺している俺はだいぶ偉いと思う。


歩いていると家に着いた。

「師匠ありがとうございます」

「構わん。帰ってきたら、また食事をしよう」

「はい!」

師匠は帰って行った。


俺はオータルを担いでリビングに投げ捨て、メアをおんぶして俺のベッドに寝かせた。


前まではリビングで寝かせていたが、最近はかわいそうになったのでベットを貸してあげている。

俺はリビングに戻り、床で眠りについた。


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