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13.防具発注

朝食を早めに食べ、ゲン爺の鍛冶屋に来ていた。

店の前には俺が作った看板が設置されていた。


店に入ると中にはたくさんの武器と鎧が置いてあった。

「ゲン爺いるか?」

「オータルか?いるぞー」


奥から出てきたのは、カメの甲羅をが付いているおじいさんだった。

髪がないせいで、カメ感がすごかった。


「会いたがってたろ?看板を描いたイツキだ」

「おーこいつがそうか」

「初めまして、イツキです」

「ワシはゲンじゃ。ゲン爺とみんなは呼んでいる」

「じゃあ俺もゲン爺と呼んでもいいですか?」

「構わんぞ」


ゲン爺はとても気さくな人だった。


「それで今日は何か買いに来たのか?」

「いや、ゲン爺に頼みがあって」

「頼み?」

「イツキが描いた鎧を作ってくれないか?」

「ほお。見せてみろ」

「これです」


俺は昨日の夜に描いたデザインを見せた。

戦国武将が身に着けるような和風の真っ黒な甲冑に、兜は図書館で見た甲冑図鑑に合った動物デザインのやつを思い出し、犬をイメージしたデザインにした。

がちがちの甲冑ではなく全体的に動きやすいようにし、ブックベルトもしっかり描いた。


「これは面白い形だな。どっかの人間の国でこういうのを見たことあるぞ」

「本当ですか?」

師匠も刀を使う人を知ってるって言ってたから、過去に転生した人がいるのかもしれない。


「これ作れますか?」

「すぐには無理だな。魔物の鱗や甲殻が必要になるから、ダンジョンがある街から仕入れないとダメじゃ」

「なるほど」

「ゲン爺。時間がかかってもいいから頼むよ」

「作るのは構わんが、費用がそれなりにかかるぞ?」

俺は収納の書から大金貨を2枚出した。


「これで足りますか?」

「「…」」

2人は固まってしまった。


「もしかして足りなかったですか?」

「馬鹿もん!足りるに決まってるだろ!これだけあれば、マジックアイテムにすることもできるぞ」

「マジックアイテム?」

「サイズを自動調整できるようにもできるし、一瞬で着れるようにできる」

「それじゃあ、それでお願いします」

「いいのか?こんな大金使ってしまって」

「はい。なのでいい防具を作ってください」

俺は頭を下げた。


「わかった。ワシに任せろ。最高の鎧を作ってやる」

「よろしくお願いします」


ゲン爺から出来上がるまで使っていいと、革の鎧を借りた。

固まったまま動かないオータルを担いでゲン爺の店を出た。


▽ ▽ ▽


俺はジル師匠と稽古の休憩中に今日の出来事を話した。


「大金貨2枚????」

「はい。そんなにお金かけないですか?」

「うーん。そうだな。冒険者が特注で武器や防具を作る場合は、自分で手に入れた素材とかで作るからな。素材を全部取り寄せても大金貨2枚はだいぶ高いが」

「俺がデザインしてて、結構めんどくさいと思うので手間賃ですね」

「どんな複雑な鎧なんだ」

ジル師匠は呆れていた。


何回かジル師匠に訓練をしていてわかったことがあった。


冒険者しかいないところでは口数が多く、ギルド関係者がいるときは無口になる。

そのことを聞いてみたら、目立ってめんどくさくなりたくないようだ。


師匠は過去にAランクへの昇格を断ったらしい。

Aランクになると目立つし、めんどくさいことに巻き込まれるからなりたくないとのこと。

Bランクでも人間の国で活動をしているときにめんどくさいことに巻きこまれかけたらしく、獣王国に戻って細々と生活をしているとのことだった。


「そういえばモンスターとの戦闘はどうだった?」

「前より戦いやすくなりました。まだ、足の動きはうまくいきませんが」

「数をこなすしかない。考えて動くんじゃなくて自然に身体が動くようになる」

「わかりました」

「それじゃ、休憩は終わりだ」

「はい!」


俺は夜になるまで師匠と稽古をし、夜はメアとオータルも合流して大口喰らいで食事をした。



▽ ▽ ▽



翌日、俺達は街の外に来ていた。


「オータル!動きが鈍くない?」

「悪い。完全に二日酔いだ」

「メアは全然平気そうだね」

「まあね。毎回酔いつぶれる自分への怒りをモンスターにぶつけてるからね」


昨日も2人は酔いつぶれた。

今回は師匠が一緒に運んでくれたからすぐに帰れた。

オータルはまあ良いが、メアは酒を禁止にしようと思った。

あの甘え方は思春期にはつらすぎる。


既にフォレストウルフを6匹、スライムを7匹倒していた。

そして今、俺達は5匹のゴブリンと戦っていた。

オータルの二日酔い以外は何も問題がなく倒せた。


「今日はやめとく?」

「いや大丈夫。だいぶ良くなった」

「本当か?」

「おう!」

オータルの顔はまだ青白かった。


ガサガサ


後ろの方で何か音がした。

振り向くと、久しぶりのやつがいた。

「リベンジマッチなのに4匹で来るとは」

ひょろ長ゴブリンことエリートゴブリンがいた。


「まじか。初の上位種との戦闘が二日酔いとは」

「ちょっと気合入れないとなー」

2人は少し緊張しているようだ。


俺は召喚絵巻を取り出し、シラユキを召喚する。

「オータルとメアで右の斧を持ってる2匹を!シラユキもそっちを頼む」

ガルルルルルル!

シラユキも前回やられているから、気合が入っているようだ。


「俺は剣を持ってる2匹をやる!」


俺達は戦闘態勢になった。



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