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エアコンと呼ばれた子
エアコンと呼ばれた子
――ぼくはエアコンと呼ばれている。
昔、道端に居たキツネのこんちゃん。
彼と仲が良かったぼく。
みんなから避けられててひとりだったから、まるで空気みたいだってことと、こんちゃんと、いつも遊ぶからだ。
エアー、こんちゃん。
ふたつ並べて呼ぶだなんて。
なんて雑なセンスだろうか。
クラスの人間がぼくをパシりたがるときは、
大体『エアコン』と呼ぶ。
先生に見つからないようにいじめるために、
ぼくについての相談を、
『エアコンつけようぜ』と言うようにして、うまくカムフラージュするのだ。
ぼくは、よく宿題を盗み見られているし、
彼らはよく、
「エアコンから取ってきちゃえ」、と言ってるのに、
先生は国語の授業が足らないと嘆いている。
今は夏休み。
エアコンが、よく冷える時期。
ぼくの心も。