あの人へのラブレター…
気付けば2ヶ月以上あけてしまった…
いやね、受験とか受験とか受験とかあって私も大変なのよ…
…え?御託はいいって?
…ってことで本編どうぞ〜↓
「はぁ…」
「どうしたんですか?真田さん。何処か元気のないように見えますけど…」
「あーうん、ちょっと憂鬱な気分でさ…」
「…暁さんと何かあったんですか?」
「えっ…まぁ、そんなとこ…」
朝礼が終わった直後、あたしが教室で机に突っ伏していると、不意に何処か心配そうな声音で声をかけてきた西条さん。
しばらくあたしが突っ伏したまま適当に返事をしていると、急に西条さんの動く気配がなくなった。
「あれ、西条さ…って、うわぁ!?」
「びっくりしました?」
あたしがゆっくりと顔を上げると、ずっとこちらを覗き込んでいたのか視界いっぱいに現れた西条さんの顔。
あたしは西条さんのその言葉に、コクコクとただ頷いた。
…いや、あたし的にはこれでびっくりしないほうが少ないと思うんだけど。
「ふふっ…よかった」
「えっ?」
「真田さん、朝からずっと機嫌悪そうだったから…ようやく笑ってくれましたね」
「あっ…たしかにそうかも…」
そう、思い当たる節はある。
まぁほとんどあたしの勝手な嫉妬なんだけど。
「…その理由、良ければ私に話してみてはくれませんか?」
「西条さんに?」
「はい。自分で抱え込むよりも、少しでも吐き出した方が楽になりますよ」
「…それもそうだね」
たしかに、西条さんの言うことも一理ある。
あたしは自分の机で幸せそうに寝ている未冬を一瞥すると、そっとその理由を話すことにした。
「…あのさ」
「はい」
「あたしね、好きな人がいるんだ」
「えっ…まさかの恋愛事なんですか!?」
「えっ…?ちょっと待って、それどういう意味よ」
あ、やば…思ったより強く言い返したかも…
あたしが慌てて西条さんの方を見ると、西条さんは何処かバツが悪そうな…ってあれ?なんか申し訳ないみたいな表情してるんだけど…
「西条さん?」
「あ、いえ…もっと別の悩みだと思ってて…その、私は恋愛には特に疎いので、あまり力になれないなと…」
西条さん普通にいい人。うん。
これは全面的にあたしが悪いな、うん。…いや、そもそも良し悪しを付ける話ではないんだけど。
「あはは…謝る必要はないよ西条さん。恋愛って言っても、あたしが愚痴ってたいだけだし」
「でも…」
「そもそもあたしが勝手に神経質になってただけだから、気にしないで」
あたしの言葉に表情を明るくする西条さん。
…なんか今更になって猛烈に罪悪感が…
「それでね、その好きな人の事なんだけどさ。今朝下駄箱に手紙みたいなのが入ってたのよ」
「下駄箱に手紙って…」
「そう、ラブレターってやつ。漫画とかアニメくらいでしかさんなこと起きないだろうなぁと思ってたんだけど、本当に入ってたのよ」
「はぁ、それで恋敵がいるから憂鬱ってことですか?」
「いや、違うんだよ」
「えっ?」
そう、あたしが本当に憂鬱になってる理由…それはそんな簡単なことじゃない。
あたしは不思議そうに聞き返した西条さんの前に、机の中からテープで継ぎ接ぎだらけの紙を取り出した。
「その紙…やけに破れてますけど、まさか…」
「そう、そのまさかだよ。なんかすっごく鼻の下伸ばしてにやけてたからつい…そのままひったくってビリビリに破いちゃった」
「うわぁ…」
「あたし、我ながら嫌な女になっちゃったよ…」
西条さんの引くような反応に再び肩を落とすあたし。まぁ当たり前な反応だけど。
唯一の誤算があるとすれば…実はこのラブレター、未冬の作ったイタズラだったりする。まぁあたしもヤバいと思ってテープで修整してから知ったんだけど。
あ、ちなみに中身は「ハズレ ラブレターだと思った?残念でしたー! by未冬」と書かれたプリントの裏紙だった。…まぁそれでもあたしが破いた事実に変わりはないんだけど。
ーーー
沈んだ気分のまま1日が過ぎ、気付けば終礼も終わって掃除が始まっていた。
…もちろんあれから優陽とは一言も喋ってない。楽しそうに会話してる未冬を見て何度恨めしいと思ったことか…
「それじゃあ真田さん、また明日。あれからずっと考えてたんですけど、やっぱりちゃんと謝ったほうがいいですよ」
「うん…そうするよ。ありがとう西条さん。また明日ね」
小さく手を振りながら今日を出ていく西条さん。あれからずっとあたしの愚痴を聞いてくれたし、ここまで気遣ってくれるのは嬉しいんだけど、彼女の負担になってないかちょっと心配になったりする。
「美優、ちょっといいか?」
「えっ…ゆ、優陽…?な、何…?」
掃除を終え、あたしが帰り支度をしていると、不意に背後から優陽が話しかけてきた。
西条さんもああ言ってたし、きっと…謝るなら今しかない。
「あのさ…今朝の事なんだけど…」
「あ、えっと、ごめ…」
「ありがとう美優!」
「…えっ?」
あたしが謝ろうとした瞬間、何故か頭を下げながら「ありがとう」と叫ぶ優陽。
えっ…?どういうこと…?
「あの、あたし別に感謝されるようなことは…」
「いやいや、何言ってんだよ美優。…たしかに強引だったしびっくりしたけどな?あれがイタズラだって知ってたんだろ?…おかげで他の奴らにからかわれずにすんだよ。いやぁ…マジで助かったわ」
「あ、うん…」
「あの後ずっと、どうして美優があれを破いたのか考えてたんだけどさ。漫画やアニメでも無いのに下駄箱にラブレターって…罰ゲームかイタズラじゃなきゃ、そんな奴いるわけないよな!」
そう言ってあたしの肩をポンポンと叩く優陽。なんかすっごく都合良く解釈してる気が…いや、たしかにイタズラだったけどさ…鈍感な優陽にはどうやら不要な悩みだったらしい。
…でも、今はとりあえず、未冬に邪魔されない優陽と2人だけの時間を満喫しようかな。
あたしは安心半分、やましさ半分のままそっと肩の力を抜くと、ため息と共に今日1日の憂鬱な気分を吐き出した。
今回未冬の影がががが…
優陽、それって嫉妬だからね?いい加減気付いてあげて…
いや、それにしても基本的に美優の悩みって未冬関係なんじゃ…あ、いえ、なんでもないです。