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親友の策略

 第5話‼︎


 (未冬の行動に他意はありません)

「ちょっ…ミユちゃんっ…ギブ、ギブだからぁ…」

「あたしをからかった仕返しだよ」

「あっ…ふぅ…はぁ…はぁ…」


 未冬を押し倒したあたしは、しばらくの間未冬の全身を余すことなくくすぐっていると、未冬は疲れたのかピクッピクッと全身を痙攣させながら脱力した。

 まぁ仕返しって言っても今日のことだけじゃないんだけど…多分未冬は気付かないんだろうなぁ…いや、気付かれても困るけど。


「ミユちゃん激しすぎ…」

「はいはい、そういうのいいから」

「むぅ…」


 なってくれたっていいじゃないとでも言うようにあからさまに不満な表情を見せる未冬。

 あたしは小さく溜息を吐くと、もう少し未冬に付き合ってあげることにした。



ーーー



「うーん…」

「…?どうしたのミユちゃん、寝不足?」

「…誰のせいだと思ってんのよ…」

「えー…?誰のせいだろうなぁー」

「はぁ…」


 翌朝、眠たい目を擦るあたしを前に、未冬はさも当然かと言うように台所で朝食を作っていた。

 

「おはよう未冬ちゃん。今日もありがとね」

「いえいえ‼︎気にしないでください義母様‼︎私が勝手にやってることですから‼︎」

「あらあら…」


 部屋から出てきたお母さんに向かって変な口調でそう言う未冬は、慣れた手つきでできた朝食を皿に盛り付けると、それをリビングにあるテーブルの上へと並べていた。

 さすが未冬…毎日やってるだけある。こういうところ、つくづくあたしは負けてるんだろな…前に優陽、未冬の手料理食べたって嬉しそうにしてたし…


「ささ、早く食べて作戦実行だよ‼︎」

「作戦?何かあったの?」

「ふっふーん!聞いてくださいよ義母さん、実はですね…ミユちゃん、ユウヤのこt──」

「あーあーあー‼︎ストップ‼︎お願いだから未冬、これ以上言わないで‼︎」

「そんなに必死に止めなくても…」

「あたしが嫌なんだよ‼︎」


 未冬の言葉に反応したお母さんは、必死に止めるあたしの姿を見て何か察したようにニヤニヤと笑みを浮かべてきた。

 うわぁ…母親に好きな人バレてるとか恥ずかしいんだけど…

 一方、未冬は何であたしが嫌がったのか不思議だとでも言うように、頭に疑問符を浮かべながら朝食へと手をつけ始めていた。

 はぁ…未冬はなんでこういうところは疎いんだろ…本人に悪気がないのがまた、タチが悪いんだよなぁ…

 あたしはそんな2人を前に小さく溜息を吐くと、手を合わせてから未冬の作った朝食へと箸を伸ばした。

 あ、この卵焼き美味しい…



ーーー



 未冬の作戦はこうだ。

 

 一、未冬がさりげなく『好きな人』の話題を出す。

 ニ、優陽の『好きな人』を聞き出す。

 三、あたしの『好きな人』を話題に出して告白するまでは行かなくても意識させる。


 …正直、あたしはこの作戦が成功するとは全く思ってないんだけど。


「はーやーくー!」

「やめろふゆ、引っ張るな」


 そんなあたしの不安は露知らず、未冬はいつものように優陽を迎えにいく(拾いに行く)と、どこか嫌がるような声を出す優陽の手を引いて出てきた。

 …何よ、さりげなく手なんて繋いじゃって…‼︎優陽も満更でもなさそうな顔してるし…



「よし!」

「ぁ…」

「さぁ学校へれっつごー‼︎」


 いつも以上にテンションの高い未冬は優陽の手をパッと離すと、ノリノリで右手を上げながらそう言った。

 何よ優陽のやつ、手を離された瞬間の「ぁ…」って…‼︎絶対未冬と手を離すの嫌だっただけじゃん‼︎

 まぁ、未冬のことだしきっといつもの癖なんだろうなぁ…前に同じように秋過の手を引いてるの見たし。


「痛ッ!」

「ほら、優陽!あたし達も行くよ!」

「お、おう…」


 あたしはイライラする気分を晴らすように、惚けている優陽の背中を思いっきり叩くと、優陽の腕を掴んで前方を歩いている未冬の元へと駆け出した。

 美優が暴力的なんじゃ…


 そして男心クラッシャーの未冬ェ…

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