修学旅行は青春の代表格である
41話です。
タイトル通り修学旅行編でござるる。
夏休み、並びに期末試験を終えて。
修学旅行を月末に控え、HR中の教室内はいつも以上に騒がしい。
「はぁーい。関係のない話がチラホラ聞こえ始めたので、グループが決まったところは先生に報告してくださぁーい」
ざわつく有象無象を遮って、担任の声が教室内に響く。
さて、『青春』と聞いてみんなは何を思い浮かべるだろうか?
部活、恋愛、アルバイトetc…
青春の名を冠する高校生活には、そんな上記に刺激を与えるイベントが数多く存在する。──そして、その代表格といえば何か?
──そう、修学旅行である。
「ミユちゃん?」
数多くのドラマや小説、漫画において、修学旅行は関係性を動かす一大イベント(もちろん、優陽の愛読書『俺と幼馴染』も例外ではない)。青春といえば恋愛、恋愛といえば修学旅行──つまり、修学旅行こそ青春の代表格なのだ。
「おーい、聞いてるー?ユミちゃーん」
あたし達の通うこの高校では、そんな修学旅行で沖縄に行くことになっている。
人生初、沖縄。星空を反射する海の砂浜で、ホテルを抜け出した優陽と二人、キスしちゃったり、なんて──
「んもー!いい加減正気に戻ってよユミちゃん!」
「──っ!?」
ガクンと頭が揺さぶられ、トリップしかけた思考が現実へと引き戻される。
目の前には頬を膨らませた未冬。ハッと視線を動かして、苦笑を浮かべる優陽を視界に捉える。
…完全に油断した。まさか、優陽にこんな恥ずかしいところを見られちゃうなんて。
「えっと、なんだっけ?」
「んもー!やっぱり話聞いてないじゃん!」
あたし聞き返した声に、頬を膨らませながらそう言う未冬。
続けて彼女が語った内容をまとめると、どうやらあたしが妄想にふけっていた間、自然にグループが出来上がったらしい。確かに、少し視線を動かせば、この場にあたしを含めて6人、一グループ分丁度集まっているし。
「美優はこの面子で大丈夫そう?問題無ければこれで先生に提出してきちゃうよ」
耳心地のいい声で、覗き込みながら問いかけてくる優陽。
あたしは反射的にコクコクと頷くと、教壇へ向かった彼の背を見送った。
ーーー
グループ決めのあの日からあっという間に4週間が過ぎ、待ちに待った修学旅行の当日。いつものように──いや、いつもより早い時間に集まったあたし達3人は、キャリーケースを引き摺りながら、集合場所である空港へと足を動かす。
集合時間の10分前。既に他のメンバーは揃っているみたいで、彼女らはこちらに気付くなり大きく手を振ってくる。
「おはようございます、真田さん、暁さん──と、井口さんも」
「モモちゃんおはよー!」
西条さんの挨拶に、あたしと優陽の間を抜けて駆け出す未冬。普段は人見知りな未冬だけど、どうやらあの海水浴以降、矢部さん同様に交流を経たみたいで、万遍の笑みを浮かべで会話を弾ませている。
「優陽」
「あぁ、俺達もいこう」
キーホルダー(白目を剥いた熊のキャラ)の話をする未冬達を他所に、あたし達は顔を見合わせると、どちらともなく足を速める。
あたし達が合流し、揃った修学旅行のグループ。そういえば、うちのクラスは女子が多いせいか、男女比が2:4というこのグループのリーダーになった優陽は他の男子達から揶揄われていたっけ?
なにはともあれ、中学では一緒になれなかった優陽達との修学旅行。矢部さんとかいう恋敵もいるけど…まぁ、なんとかなる、はず。
点呼を取った優陽を一瞥して、背中のリュックを勢いつけて背負い直す。
リーダーシップを発揮してるせいかいつもより増してかっこいい彼を目に、あたしは心の中で拳を掲げた。
シュウガクリョコウ…?
ナニソレオイシイノ…?(コロナ禍で消えた民)




