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ブラコンな親友と

 うーん…


 未冬×美優にするべきか…それとも美優×未冬にするべきか…


 悩む…

「やっぱり未冬ちゃんがいると助かるわ〜」

「そんなことないよ義母おかあさん。これくらいいつもやってるから‼︎」


 台所から聞こえてくるお母さんと未冬の楽しそうな声。

 下校中、いきなりウチに泊まりたいと言い出した未冬はあたしの返事を聞く耳を持たず、流れるようにウチへと上がり込んでいた。

 まぁお母さんも未冬に対して甘々だからなぁ…あたし的には夕飯が豪華になって嬉しいんだけどね。なんだかなぁ…


「美優〜お米炊き上がったからみんなの分よそっておいて〜」

「わかった」


 …今日のお母さんはいつも以上に機嫌がいいみたい。心なしかなんかいつもより声が甘ったるい…


「そういえば未冬ちゃん」

「…?なんです義母さん?」

「今日は泊まるって言ってたけど、大丈夫なの?」

「あー…大丈夫大丈夫。今日はお母ちゃん帰るの早いって言ってたし、冷蔵庫に作り置きはあるから食事は平気なはずだし…うん、ただ私に秋ちゃん成分が足りないくらいだから問題ないよ‼︎」

「本当に?死活問題じゃない?」

「大丈夫だよ義母さん‼︎今日はミユちゃん成分を調達するから‼︎」

「そう、なら大丈夫ね」

「あたしが大丈夫じゃないからね⁉︎」


 あたしが口を閉じてればすぐこれだよ…

 未冬も大概だけど、最近はそれに乗ってるお母さんも同じような気がするんだよなぁ…


「えー…なんでさ‼︎ついこの間一緒にお風呂に入ってくれたのに‼︎」

「いや、別に未冬とあたしは女同士じゃん…え、何?もしかして未冬、まだ秋過と一緒に風呂入ってんの?」

「えっ?昨日も一緒に入ったけど?てかいつも一緒だし」

「えっ…ちょっと待って…今のもう一回言って?」

「あ、うん」


 今とんでもない事実が未冬の口から漏れた気がするんだけど…きっと聞き間違いだよね?

 いくらブラコンの未冬とはいえもう小6になる弟と一緒にお風呂に入ってるわけ──


「秋過といつも一緒にお風呂入ってるって──」

「あぁぁぁ聞き間違いじゃなかった⁉︎」


 なんで未冬は何もおかしなこと言ってないみたいに首をかしげてんの⁉︎

 てかなんでお母さんも未冬と一緒に首を傾げてるの…


「どうしたの美優?仲睦まじい姉弟じゃない?」

「いや、どう考えてもおかしいからねお母さん⁉︎一人っ子のあたしでも流石にそんな姉弟異常ってことくらいわかるからね⁉︎」


 あたしは思わず間違ったことは言っていないみたいな表情をするお母さんに向かってそう叫んだ。

 未冬も意味不明みたいな顔してるし…

 もうやだこの2人…



ーーー



 夕食を終えて風呂を済ませたあたし達は、残った食器洗いをお母さんに任せるとあたしの部屋でのんびりとしていた。


「…あ、そうそう。今日泊まりに来た理由を忘れるところだった」

「ん?理由?何かあったの?」


 図々しくあたしのベッドに寝転がっていた未冬はそう言うと、突然ベッドに背中を預けていたあたしを床に押し倒した。

 クッションあるから助かったけど、これ履いたなかったら痛かっただろうなぁ…

 あたしが呑気にそんなことを考えていると、未冬は何やら息を荒くしながらあたしに顔を近づけ──


「ちょ…未冬⁉︎」

「あぁっ…ミユちゃんのいけずぅ…」

「いやいや、いきなりキスしようとしないでよね⁉︎」


 危なかった…

 咄嗟に未冬の口元を押さえて顔を離せなかったら間違いなく唇奪われてたわ…

 

「なんでさ避けるのさ‼︎女同士ならノーカンだって‼︎」

「あたしにそっちの気はないっての…」

「むぅ…小さい頃はよくやったのに…」

「あれはまだ小さかったからでしょ。あの時はあの時。今は今だから」


 あたしの言葉に可愛くむくれる未冬。普通ならぶりっ子とかがやるような表情だけど、未冬の場合は無自覚だからなぁ…15年以上一緒にいるあたしだからわかるんだけどね。

 あたしはそんな未冬をベッドへどかすと、ゆっくりと姿勢を元に戻した。

 

「…で?あたしに何か話したいことがあるんでしょ?流石にキスしに来たわけじゃないだろうし」

「あ、いや、キスしたかったのは割と本気なんだけど…」

「そんなこと本気にすんな⁉︎」

「──いだぃ⁉︎わかった!わかったから頭ぐりぐりしないでぇ…」


 はぁ…最近未冬の変態度が増してる気がする…

 あたしは若干涙目になった未冬の頭から手を離すと、この曇った気分を追い出すように深く溜息を吐いた。


「…ミユちゃんさ」

「ん?」

「ユウヤのこと好きなの?」

「えっ⁉︎…はっ⁉︎」

「あはは‼︎ミユちゃん、その反応は『はいそうです』って答えてるみたいなものだよ」

「い、一体いつから気付いて…」

「うーん…いつからだろ?でもミユちゃん、最近ずっとユウヤのこと見てるし、なんか前とはちょっと違う気がしたから」


 淡々とそう言う未冬。

 まさかあの鈍感な未冬にバレてたなんて…いや、15年以上一緒にいるし、当たり前かもしれないけどさ。それに優陽が未冬のこと好きって気付いてるって可能性も…


「ミユちゃん?」

「えっ⁉︎な、何⁉︎」

「い、いや…そんなに驚かなくても…」

「あ、あはは…大丈夫大丈夫」

「…そう?ならいいんだけど…」


 心配そうにあたしを見る未冬。

 どうやら未冬はあたしが思うほど鈍感じゃないらしい。


「ユウヤってさ、鈍感だから絶対ミユちゃんの好意に気付いてないよね」

「それは…まぁ優陽だしね」

「だからさ…私、ミユちゃんを応援しようと思ってて…お節介かな?」

「いやいやいや‼︎そんなことはないよ‼︎」

「そう?よかったぁ…もしこれでミユちゃんが優陽のことなんとも思ってないとかだったらどうしようかと思ってたよ」

「あはは…」


 そう言って笑う未冬。前言撤回、やっぱり未冬は鈍感だった。

 このヒロインレース、あたし的に1番の恋敵ライバル(無自覚)である未冬があたしを応援してくれるっていうことはどんな幸運だろうか…


「未冬にバレてたとかなんか恥ずい…」

「何よその言い方…なんか私が鈍感みたいじゃん‼︎」

「鈍感でしょう?優陽と一緒で」

「鈍感じゃないよ!めっちゃ敏感で繊細だからね私!」

「へー…敏感なんだ…」

「えっ?あれ?ミユちゃん…?ちょっと目が怖いんだけど…」

「んー?」


 立ち上がったあたしを前に冷や汗を垂らしながら後退るようにベッドの端に移動する未冬。

 この際だ、日頃のあたしのモヤモヤを晴らさせてもらおう。あたしが不安だったのは未冬が原因だしね。

 あたしは自分の中でそう結論づけると、若干怯えている未冬をベッドに押し倒した。

 小6だと結構身体できてきてるから未冬のお風呂発言は相当だよ。


 ブラコンの私から見ても…ね。

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