親友の思い(2)
お久しぶりです。
27話、未冬視点です。
休憩時間に入ってすぐ。
体調不良で見学していた私は、落書きをしていたスケッチブックから視線を外すと、練習をしている体育館内を見渡す。
「何してんだろミユちゃん…」
ふと視界の端に映った親友は、水を飲むなり騎馬戦を練習してた方へと歩き出していた。
騎馬戦…誰か知り合いでもいたのかな…?
「何見てんの暁さん?」
「うひゃぁ!?」
不意に背後から胸を揉まれ、スケッチブックを手放して転がりながら抜け出す。
慌てて後ろを振り向くと、おっぱ─ヤベちゃんがニマニマと笑っている。
「ちょっと!いきなり揉まないでよ!」
「いきなりじゃなきゃいいのね?」
「いきなりじゃなくても駄目!」
どうしようかな~と、意地悪な表情を浮かべてこちらをみるヤベちゃん。
私は素早くスケッチブックを回収すると、胸を隠すようにしてそれを抱きしめる。
…そういえば、ユウヤの好きな人ってこの女なんだっけ?
最近隣で話すことがあったとはいえ、今の今まで忘れかけてた。
「え、何…?暁さんってまさかそっち系…?ごめんなさい、私そういう意図じゃ…」
女の私でも目に行ってしまう大きな胸…ユウヤもやっぱり男の子だったってことだよね。
ミユちゃんには悪いけど、こういうのはしょうがないのかもしれないと思う。うん。健全な男子高校生ならそういうのに興味があるってよく聞く話だし。
ウンウンと頷いて、何故か引いてるヤベちゃんから視線を外す。
再び視界に映ったミユちゃんは、何やら1年生の娘と話してるみたいだ。
うーん…あの娘、どっかで見たことある気がするんだけどな。思い出せない。
口論とかそういうのじゃ無さそうだし、見なかったことにしてあげよ。…いくら気の知れた親友とはいえ、他の人との交流にまで首を突っ込むのは野暮だしね。
ーーー
体育の授業も終わり、放課後の委員会。
ユウヤが挨拶を終えると同時に、私は気怠い身体に鞭を打って保健委員の教室へと向かう。
「よ!暁さん」
「ちわー…相変わらず元気だね、柳沢くん」
入り際に声をかけられて、いつものように返事をする。
目の前の爽やかイケメンは柳沢くん。去年から同じ保健委員会で一緒だった人。現委員長でもある。
私は顧問の先生から預かったプリントを彼に渡すと、荷物を置いて一番前の席に腰を掛ける。
「──何かあったのか?元気無さそうに見えるけど…」
不意にそう言われて、何処か真剣な顔でこちらを覗き込まれる。
「はぁ…」
「ちょ、なんでため息を吐くんだよ!?俺はただ心配して──」
「柳沢くん、君はもうちょっとデリカシーってのを持ったほうがいいよ」
「なんで!?」
呆れながらにそう言って、そのまま机に突っ伏して目を閉じる。
「ユウヤの好きな人、ねぇ…」
「えっ!?ユウヤって誰だ?好きな人?暁さん、もしかしてそのユウヤって奴が好きだったりするのか?いやでも──」
何やら言ってる柳沢くんを無視して、私は今日わかったことを考える。…まぁ、わかったことと言っても今まで私が興味をもってなかっただけなんだけど。
まずは、ユウヤが好きな人のこと。
ミユちゃんの話を信じてなかったわけじゃないけど、ユウヤはヤベちゃんのことが好きなのは確定、かな?
仕方ないとはいえ、ユウヤの視線があの胸にいってるのは明らかだし、同じ学級委員だとしてもかなり距離が近い。ついでにミユちゃんみたいに意識してるような素振りも見せてるし。
そして次は、今のミユちゃんの課題について。
現状、ミユちゃんの魅力で悩殺…とかも考えたけど、難しいことだけはわかった。ミユちゃんには申し訳ないけど、ユウヤが胸を見る回数を1つの指標とした時、全く意識されてなかったから。…私ですら視線を感じるのに、ミユちゃんに対して今日も一切無かったってことはきっとそういうことなんだろう。うん。流石にあの絶壁を今からなんとかってことはできないし、他の方法でなんとか意識させなきゃいけないってことよね。
「はぁ…」
今後の課題を考えようとして、再び大きくため息を吐く。
ふと時計に視線を移すと、時刻は16時半を回っている。
…さて、そろそろ顧問の先生も来る時間だし、委員会に頭を切り替えるとしますか。
※未冬は副委員長です。




