デート?
遅くなりました、19話です。
美優視点に戻ります。
「こっちの服も…いや、でもこっちのほうが動きやすそうだし…」
ムムム…と、手に持った服を交互に睨みながら、そんな声を漏らす未冬。
あたしの横に立ってる優陽は、周囲をキョロキョロ見ながら何処か居心地悪そうに見を捩ってる。
…なんでこうなったんだっけ?
──たしか、あたしは30分前に着くように未冬と一緒に優陽との待ち合わせ場所に行って、その後は…気付いたらショッピングモール内の洋服売り場にいた。
「……ゆ?…おい、どうしたんだ美優?」
「──っ!?ゆ、優陽!?な、何!?」
「大丈夫か?さっきからボーッとしてたけど…」
優陽に肩を叩かれて、ふと我に返った。
どうやらちょっと呆けてたみたい。
「いや…大丈夫大丈夫…なんでもないから」
「ほんとに?」
「うん」
心配してくれる優陽も好き…じゃなくて!とりあえずもう一度状況を整理しよう。
今、あたし達がいるのはショッピングモール内の洋服売り場であることは間違いない。…昨日の帰りにデート用のこの服を買ったから、流石に覚えてる。うん。
そもそも、今日のプランは未冬が用意してくれたもので、3人でまわってるところを途中で未冬が抜け出すというもの。
待ち合わせ場所に来て、あの優陽とあのおっぱい女との4人で流れるように服屋に来て──
「なんでこうなってるのよ!?」
「み、美優!?」
思わず叫んだあたしに、反射的に声を出す優陽。
いきなり声を出したせいか、店員や他の客から注目を集めている。いや、確かにあたしが悪いんだけど…
「ごめん、なんでもない…」
「そ、そうか…」
優陽にそう言って、小さく息を吐く。
あのおっぱい女…じゃなくて、確か矢部さん?だったっけ?
彼女は要注意人物ね…優陽と同じ学級委員みたいだし、移動中だって楽しそうに優陽と話してたし。
「ねぇねぇユウヤ!」
「ん?」
「なんだふゆ?」
そんなことを考えている中、不意に声をかけてきた未冬。
あたしと優陽は一瞬視線を合わせると、再び未冬に向き直る。
「2人はさ、こっちの服とこっちの服…どっちのほうがいいと思う?」
「え?」
「だーかーらー!こっちとこっち!どっちがいいのか聞いてるの!」
未冬の手に持った、淡い水色のワンピースと白いちょっと大きめのシャツ。
優陽の素っ頓狂な声に、駄々こねるように未冬は服を前に出す。
「ワンピースとビッグサイズシャツね…あたし個人としては、未冬は口を閉じればシャツのほうがギャップ込みでイメージに似合って──」
じゃなかった、わざわざ優陽に服を選ばせるのはなんで!?
「うーん…俺はどっちも似合うと思うけど…」
「なんでよユウヤ!ユウヤの好みがどっちか教えてくれればいいの!」
「ぅえ!?俺の好みってなんで…」
「いいから早く!」
「え、えと…ワンピースのほう、かな?」
「ユウヤはワンピースのほうが好きなのね!わかった!」
優陽のその言葉に、あたしをチラチラ見ながら元気よくそう言う未冬。
ふと視線を横に向けると、優陽は優陽で顔を真っ赤にしている。
一方の未冬はワンピースを元の棚に戻すと、シャツを持ってレジへと向かっていく。…去り際に小さくサムズアップを残して。
…もしかして、未冬は優陽の好みを聞き出そうとしたってことなの?
だとしたらこれ、完全に逆効果だったんじゃ…
ーーー
「すみません、遅くなりました」
「あ、うん…大丈夫だよ」
ランジェリーショップから出てきたおっぱ─矢部さんの言葉に、目を逸らしてそう言う優陽。
あたしは反射的に優陽の脇に肘を入れると、優陽と矢部さんとの間に入り込む。
「痛ってぇ…なにすんだよ美優…」
「なにって、優陽が変なこと考えてるからでしょ!この変態!」
「ぅ…それは…」
優陽の言い訳を無視して、あたしは静かに息を吐く。
そんなやり取りがおかしかったのか、矢部さんクスクスと笑っていた。
そもそも、何故か合流した彼女があの場にいなかったのは、服屋の向かいにあるこの売り場でブラを新調するためだったからだ。
…あのサイズにもかかわらず、もしかしてまだ成長するとでもいうの…?
ちなみに、矢部雫の前だと未冬はずっと美優か優陽の後ろに隠れてます。
移動中も未冬と矢部雫は直接一言も会話はしていません。




