仲介役?
16話でス。
美優視点に戻りまス。
『うーん…この前の口ぶりから察するに、結構ゾッコンっぽかったしなぁ…』
あたしが通話に出てから早数分。
電話越しに聞こえてくる、悩むような未冬の声は、まるであたしの心に追い打ちをかけてくるように感じた。
…まぁ、未冬の言ってることは強ち間違いじゃないし、優陽的にも実際そうなんだろうけど…本人の口から「未冬が好き」ということを聞いてしまったあたしにとっては、どうしても嫌な方へと思考が向いてしまう。
『───それで…って、ミユちゃん?おーい!聞こえてるー?』
「えっ…ぁ、大丈夫大丈夫。ちゃんと聞いてるよ」
『そう…?ならいいんだけど…』
何処か反射的に、未冬の言葉にそう返す。
実際は、考え込んでたせいでほとんど聞こえてなかったけど…まぁ、大丈夫だよね…?
『それでね、今からミユちゃんにメッセージを送るから、それをそのままユウヤに転送してみて。…あ、私が打ったってのは伝えちゃ駄目だよ!』
「ぇ、あ…うん」
名案を思い付いたとでも言うように、スピーカーから流れる元気な未冬の声。
えっと…未冬があたしに送ったメッセージをそのまま優陽に転送する、だっけ?…なんでこうなってるの?
あたしが理解する間もなく、着信音と共に送られてきた未冬のメッセージ。
理由はよくわかってないけど、とりあえず未冬の言うとおりにしてみようかな…
──ヴーヴーヴー…
わけもわからず未冬のメッセージを転送してから数秒後、不意に振動したあたしのスマホ。
未冬と通話中なその画面には、『着信:優陽』と表示されていた。
「未冬、返信きたよ」
『えっ?もう?』
「うん」
『こんなに早いとは思わなかったけど…まぁいいや。で、なんて返ってきたの?』
そう言われて、改めて優陽とのトーク画面を確認する。
未冬から転送した『これからどうする?』というメッセージに続くように、『どうしようか…』『今はまず、告白までは行かなくても未冬とデートとかはしたいかな』と送られていた。
「とりあえずデートしてみたいって返ってきた」
『デート?あのユウヤが?』
「うん」
『そっかー…デートねぇ…』
楽しそうに聞こえる未冬の声音。
きっと本人は気付いてないし、他意はないんだろうけど…なんか優陽と未冬のやり取りを仲介役という立場で見せつけられているようで、あたしの心をかき乱す。
よし…一旦落ち着けあたし。
なんか未冬があたしをダシにして優陽とのデートを考えているようにも見えないけど、これはあくまであたしのため。…未冬は優陽の好きな人が誰かはわかってないはずだから大丈夫。うん。
考えれば考えるほど嫌な方へと向かうあたしの思考。
そんなことも露知らず、電話越しの未冬はうんうんと唸っていると、思い付いたように「あ!」と声を上げた。
「何?どうしたの?」
『むふふぅー…ユミちゃん。私、名案を思い付いたよ…!』
「名案?」
『うん!ちょっと待ってて、今送るから…』
未冬の言葉と共に、再び振動するあたしのスマホ。
画面に表示された『とりあえず、誘う練習とかしてみる?』というメッセージを前に、あたしは言葉を失った。
美優の心をかき乱すのに定評のある未冬です。
未冬は未だに優陽の好きな人は知りません。




