表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/41

なんて察しのいい…

「はぁ…」

「おかえりなさい。どうしたの美優?溜息なんてついて…」


 優陽と別れ、帰宅と共にソファーにダイブしたあたし。

 夕食を作りながら、心配そうに掛けてきたお母さんの声も、変なフィルターがかかったみたいに頭の中に入ってこなかった。


「別に…」


 耳に響いた、気怠げな自分の声。

 ズルズルと身体を引きずりながら、荷物を持って自室へ向かう。

 ここままここにいたら、きっとお母さんにあたってしまうような気がするから…


「…そう?…それじゃあ、ご飯できたらまた声かけるから、そうしたら降りてきなさいよ」


 お母さんの声を無視して、自室の鍵を閉める。

 あたしってホント、我ながら身勝手な女…


「はぁ…」


 再び、深い溜息。

 口は災いの元って、きっとこういうことを言うのかな…


 自分の気分がどんどん沈んでいく中、あたしが扉を背にして座り込むと、不意に床に置いてあったスマホが振動しだした。


『着信:未冬』


 未冬、なんてタイミング…


 画面に表示された文字を前に湧き上がった、得体の知れない安心感と、彼女に対する醜い嫉妬。

 あたしの身体は、そんな自分の考える間もなくスマホに手を伸ばすと、脊髄反射でもするように通話に出ていた。


「もしもし…」

『あ、ミユちゃん!どうだった!?ユウヤとは上手くいった!?』

「あー…」

『…?──…ぁ…』


 電話越しに聞こえる、若干興奮気味な恋敵(未冬)の声。

 しばらくの間を空けて、あたしの声音で何か感じ取ったのか、彼女はバツが悪そうに声を上げると、落ち着かせるように息を吸う音が聞こえてきた。


『えっと…その、なんかごめん』

「あ、いや…別に気にしてないからいいんだけど…」

『…そう?』

「うん。平気平気」

『そっかぁ~』


 強がるあたしの言葉に、気の抜けたような声を返す未冬。

 本当は平気じゃないけど、それを伝えたら何も進まない気がする…


『それで、結局何か進展あったの?…その感じだと、あんまりいい雰囲気って感じじゃなかったみたいだけど…』

「未冬、アンタわざわざ言わんでいいことを…」

『あはは…ごめんごめん…』

「はぁ…」


 反省した様子もなく、軽い調子でそう返す未冬。こんな性格なのは今に始まったことじゃないし、別にいいけどね…


「優陽のさ、好きな人が誰か、告白されたんだよね…」

『えぇ…』

「それで、なんか協力してくれないかって言われて…」

『反射的にOKしちゃった、と…』

「うん…」


 言葉を考えるよりも早く、口から漏れた自分の声。

 相変わらず、未冬はこういう部分だけ察しがいいんだよね…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ