後悔先立たず…
13話です
「まじかー…あの人見知りのふゆがねぇ…」
夕陽があたし達を照らす中、共に通学路を歩きながら、大きくそんな声を出す優陽。
ポロッと未冬のことを漏らしたあたしは、想像以上にグイグイくる優陽の勢いに押し負けると、件の男子と未冬との関係について、どんな様子だったのかを全て吐き出していた。
「なんか仲良さげだったし、未冬があたし達以外とあんなふうに話してたのは初めて見たよ」
「仲良さげに、ね…」
あたしの言葉を復唱するように、ポツリと呟いた優陽。
複雑そうなその表情はきっと、嫉妬なんだと思うけど…
あの未冬が気付いたくらいだし、きっとあたしも、普段こんな表情してるのかな…
「…それで、委員会の人ってこと以外はわかんないのか?」
「あくまであたしの憶測だし、それ以上は流石にわかんないよ。…でも、去年も未冬が委員会の日はあたし達とは別々に帰ってたことを考えると、多分あたし達が知らなかっただけで、元々結構仲良かったんじゃないかな」
「去年から、かぁ…確かに、委員会の日は3人とも別々で帰宅だったもんな…ありえない話でもないか…」
ウンウンと唸るようにしながら、考え込むように顔に手を当てる優陽。
話題は未冬のこととはいえ、久々にふたりきりで下校するというこの状況に、確かな喜びを感じてるあたしって、我ながら単純すぎでは…
「ふゆのことだし、きっとソシャゲかなんかで意気投合したって感じか…?いや、でも…」
ブツブツと、自分に言い聞かせるようにそう呟く優陽。
耳に入ってきたその言葉に、高まっていたあたしの鼓動は、我に戻ったかのように一瞬にしてなりを潜めた。
…なんか、嫌な予感がする。
しばらくの間、同じ姿勢のままあたしの隣を歩く優陽。
あたし達が交差点に差し掛かろうとしたその瞬間、まるでその進行を邪魔するように、赤く変わった信号機。
たくさんの車が前を横切る中、立ち止まった優陽は、何か思い付いたように顔を上げると、何処か嬉しそうにこちらへ視線を向けてきた。
「なぁ美優」
「な、何…?」
「…この前さ」
「うん…」
「俺、好きな人がいるって言ったじゃん?」
「うん…うん?」
突然振られたその話題に、思わず疑問符を返したあたし。
思わず変な相槌打ってたけど、この流れ、何処かで見たような…
「実はその好きな人って、ふゆのことなんだよね」
あたしの思考が追い付くのと同時に、何処か照れくさそうにそう言い切る優陽。
「…えっ?」
「ん?」
「あ、いや…」
反射的に漏れた声を誤魔化すあたしを余所に、気にした様子もない優陽。
予想はしてたけど、直接優陽の口から『未冬が好き』って聞いたら、急激に息が苦しくなってきた。
…思い出した。これって『俺と幼馴染』にあった、ワンシーンと同じ流れだ。…もしそのとおりに行くなら、この後の、優陽の言葉って…
「それでさ、美優にはその…応援というか、協力してほしい」
頼み込むように、頭を下げる優陽。
悪い予感というのは、本当によく当たるもので…
「任せてよ、優陽」
反射的に出てきた自分のその声に、あたしは一瞬でも嫌われたくないと思った自分を、本気で引っ叩きたいと思った。




