共通の話題が…
12話です。(2ヶ月あき)
「ごめん美優。遅くなった」
未冬が件の男子と帰って30分。
時間を持て余したあたしがエントランスで本を読んでいると、ようやく委員会が終わったのか優陽が声をかけてきた。
「おつかれ優陽」
「おう。…えっと、何読んでんの?」
「あ、これ?」
「うん」
流れるようにあたしの隣に腰をかけ、読んでいる本を覗き込む優陽。
距離が近いせいか、バクバク音を立てるあたしの鼓動。
もちろん、本人からしたら多分無意識なんだろうけど…あたしばっかりドキドキしててなんか悔しい。
「えっと…なんだと思う?」
「えー…?何だよ、それ…気になるじゃんか」
「当ててみてよ」
「マジ?待ってろ…今考えるから…」
あたしのその言葉に、考える動作をしながら、唸り声のようなものを上げる優陽。
さっきの仕返しのつもりだったけど、ちょっと意地悪かったかな?
まぁ、今回は優陽の困った顔も見れたし、この辺にしておこう。
「優陽」
「もうちょっと待って、なんか思いつきs──」
「『俺と幼馴染』だよ」
「ちょ、なんで先に言っちゃうんだよ」
「だって時間かかりそうだったし…」
「それは…たしかに」
「あ、そこは認めるんだ」
先に答えを言われたのが気に食わなかったのか、不貞腐れたように口を尖らせる優陽。
優陽のことだし、あのまま待ってたら、きっと夜になっても答えは出ないと思うけど。
「…にしても、『俺と幼馴染』ってラノベじゃん。美優もそーゆーの読むんだな」
「えっと…この前優陽の部屋行った時に置いてあったから、気になってたんだよね」
「あ、マジ?」
「うん…試しに読みだしたらハマっちゃって…」
本当は優陽と共通の話題を探そうとしてただけなんだけど…実際、ハマっちゃったのは本当だしね。
幼馴染のヒロインと主人公の関係性がなんかあたし達に似てて、気付いたら全巻揃えてた…
「そうか…美優がアレをね…」
「未冬がいたら間違いなく話したがるよね」
「確かに。ふゆも読んでるってこの前言ってたし、アイツのことだから乗ってきそうだな」
あたしの隣で笑いながら、楽しそうにそう言う優陽。
きっとあたしと同じように、犬みたいに話題に飼い付く未冬を想像してるのかな…
「あ、そういえばさ」
「ん?どうしたの?」
「ふゆは何処に…?」
改めて周りを見渡しながら、不思議そうに首をかしげる優陽。
あたしはこの時、軽率に未冬の名前を出した自分の浅はかさを本気で呪った。
『俺と幼馴染』?
そんな作品が実際にあるかは知りませんが、あったとしても別モノなので、大丈夫だと思いますが、その辺は御理解ください…




