空しい気持ちになる時
この会社では、世界的に広がっている伝染性の病気に対して、休業するのかと思っていたが、
全然その気配がない。
所長は、乗務員に言う。「うちは、休みません。よそが休んだら、出勤すると、うちのタクシーに乗る人が増えるから、少しでも儲かるでしょう。」
私はそれを聞いて、うすら寒いものを感じたのだが・・・
もちろん、タクシーの乗務員は年齢が高い人が多いので、自主的に休む人が半数以上になっている。
昼間ならまだ夜よりはお客様が多いとのことで、夜担当の乗務員が、昼の2時や3時に出勤している。
休む人は、まず自分の有給休暇を使っているが、有給休暇を使い切ると、収入は無くなる。
完全競争社会というと聞こえはいいが、働かなければ収入が無いということだ。
しかも、その収入だって固定給ではないのだから難しい。
例えば、事故で休んだら、労災か保険対応かだが、どちらもそんなに長くは支払ってくれない。
支払われなくなったら、収入はゼロになる。
年金が確実に支払われる高齢者ならともかく、それでなければ、副業必須なのではないだろうか。
もっとも、どちらが副業かは疑問だ。
会社は、高齢者が事故を起こさずに勤務している間は黙っているが、事故を起こすと退職を勧める。
また、最低賃金を割って会社から補填してもらっていると、ころあいを見計らって、会社から
退職か嘱託者になるかの選択を迫られる。
運転免許証の点数が無くなると、タクシー乗務員の仕事は終了する。
運転免許証あっての仕事だからだ。
私にとっては、まるで運転ゲームを見ているような、なんともいえない空しい気持ちになる。
もちろん、退職は自主退職であって、会社が退職勧奨をしたことは認めようとしない。
会社に迷惑をかけるような行為をした者でも同様なのだ。自主退職にして、解雇には絶対にしない。
退職勧奨できる立場の者~社長、常務取締役、所長~にとっては、会社都合退職者を出したことがない
というのが、自慢なのだ。
しかし、実際には、会社都合でたくさんの乗務員や事務担当者が退職させられている。
タクシー会社の内側がどこもが同じであるはずがないので、これは、好ましくない会社の例の一つだ。
タクシー会社に就職することを考える皆さんは、よく考えて、良い会社を選んでください。