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よくある山場を最初に持ってくるヤツ

よろしくお願いします。


・冒険者・

無星:冒険者ギルド入り立ての見習い冒険者

星1:冒険者ギルドになれてきたルーキー冒険者

星2:1番の数の多い、冒険者らしい冒険者

星3:実力、実績などをギルドに認められた筆頭冒険者。

   街に1人か1パーティは在留している。

星4:人外の実力を持つ国に囲われていない冒険者。

   このLv.の冒険者はほぼ国や貴族が大金をかけて囲うため、強さの指標として使われている。

   貴族の領地に1人か1パーティ在留している。

星5:例えるなら勇者や魔王などが当たる。

   一騎当千、戦術で戦略をぶち壊す完全に人を辞めている。

   かつての勇者が冒険者であったため、当時の勇者のために作った、今や完全に空席。

   強さの指標に使うには勇者に失礼であるため使うのは子供くらいである。

良い天気だ。



快晴ではなく、どちらかというと曇り空だが、雲が薄いからなのかぜんぜん辺りが暗くなく、どちらかというと明るい。



だけど照りつくような太陽の光がなく、程よく涼しくあり温かくもある。



これを微妙な天気と言うのかもしれないが、俺は凄く居心地が良くて好きだ。




「これより、冒険者ラジールと冒険者メイソンによる決闘を執り行う。この決闘は冒険者規則に乗っとり、どちらかが敗けを認めるか、私の判断に基づいて勝敗を決める。この決闘で両者の遺恨はすっぱりと断ち切れる事を願う。両者、宜しいかな?」




「はい、大丈夫です。」




「もちろんです。」




「ラジールさんやっちまえ!」


「メイソン、この決闘が無事に終わっても俺たちがお前を無事じゃすまさねえからな」


「この恥知らずが!」


「おい、ラジールに4だ!」


「おれはラジールに10かける」


「博打ってのは大穴を狙うから博打なんだぜ、俺はメイソンに1だ」


「偉そうに言ったくせに1かよ、ぶひゃひゃひゃひゃ」




天気のくだりは完全に現実逃避だ。



俺の今世の名前はメイソン。



異世界ギルドテンプレの難癖をつけられてやれやれ言いながらではなく、俺が難癖を付けてラジールに決闘を吹っ掛けている。



ラジールは冒険者ギルドの中でも星3の冒険者であり、後輩冒険者からの人望も暑い人物だ。



昨日、ピストルの街の代名詞たるピッケルの迷宮からスタンピードが発生したときも大活躍したが、今はそれにより疲弊している。



そこを狙い撃ちに俺は決闘を持ちかけた。



それも、スタンピードなどと言う乱戦でかつ街の命運を掛けた戦いで、俺の獲物がラジールに横取りにされたと言う理由で。


普段であれば他人の獲物を奪う行為は、周りの冒険者から袋叩きにされるような行為だが、スタンピードと言う大量の魔物から街を守る戦いで、獲物の奪い合いなど起きようもない。


しかし、乱戦であったため否定はできず、更にギルドにおける決闘は喧嘩みたいなもので、決闘を仕掛けることはそう難しくない。


普段なら酔っぱらい冒険者が喧嘩を決闘で行い、やいのやいの野次馬が現れることはよくあることだ。


だが、それにしても今回のはひどい理由であり、スタンピードの翌日であり、相手はあのラジールである。


スタンピードの英雄に不意打ちのように決闘を吹っ掛けた俺を悪く言う事は想像に固くなく、野次馬冒険者たちからのありがたい声援が聞こえる。


おまけにのんきなことに賭け事までしていて、オッズは9.3:0.5で、本当にその賭け成り立っているのか疑問だ。


ちなみに、ラジールが9.3で俺が0.5、残りは引き分けだ。


飛んだ大穴狙いがいたものだ。



星3のラジールに対して俺は無星だ。



昨日のスタンピードの活躍から、今では英雄なんて呼ばれているラジールの勝利を疑う奴らはいない。



ラジールは冒険者として完成されている。



剣をメインに、槍、弓を使い、攻撃力の高い火魔法も一流といえるほど使いこなす遠近両刀使いであり、策的、解体、ちょっとした素材の鑑定、なんでもござれの文句無しの星3冒険者だ。



その上義に暑く面倒見が良く人望がある上に、顔が良い。


そりゃあ誰も俺が勝つなんて、勝って欲しいなんて思わないだろう。



「ではこれより、決闘を始めよっ!」




◇◇◇




審判を勤めるギルド職員の開始の合図と共に先手をとったのはラジールだった。



彼は例え蟻が相手でも全力を尽くす獅子だ。



遠距離戦闘を得意と魔法使いでもある彼は冷静に初級の火魔法・ファイアーボールを放った。



一流の火魔法を使うのに初級魔法?と、疑問に思うかもしれないが集団にお膳立てされた場合でもない限り上級魔法など使い物になら無い。



戦闘で主に使われる魔法は、魔力消費も少なく一流の魔法使いであれば速射・連射出来る初級魔法であり、それだけで一般的な冒険者が相手であれば簡単に完封できる。



ファイアーボールがメイソンに当たったのは遠目から見ていたものなら十分に見えたし、近くであってもラジールにもしっかり見えた。



ラジール程の魔法使いであれば初級魔法一発でも十分に人を殺せる。



しかしラジールはそれでも手を抜くことはしなかった。



2発、3発、4発、、、、、、、、と、連射していく。



1発目から土煙が巻き上がっていたが、離れて様子をうかがっていた野次馬たちにもファイアーボールの熱気が伝わってくる頃に、これは流石にと審判が止めに入った。




「チッ」




ラジールは義に熱く、気さくな男で、何よりも強くて多才、誰もやりたがらない仕事でも頼まれたら断れない人間だとは皆が知っていた。



それ故に、ラジールが居てくれて力強いと思ったが、もし敵にまわってしまったらと思ってしまう、圧倒的かつ徹底的な力を見て誰も言葉を発っせない。



もしかしたら塵も残らず燃やし尽くされたのではと怖いもの見たさからか、煙が晴れるのを皆が固唾を飲んで見守る。



少しして煙が晴れたそこには、黒鎧の騎士が立っていた。




◇◇◇




ギルドがしきる決闘の規則はごちゃごちゃいろいろあるんだが、今回の決闘において1番重要な規則を1つ取り上げるとしたら……



『決闘で相手の命を恋に奪うことを禁ず。しかし互いに死力を尽くす決闘であるゆえ、決闘前に命を懸けることを誓い、不慮の事故で死んでしまった時、その決闘自体を白紙に戻し、互いに罪に問わないものとする。』




◇◇◇



魔法使い同士の決闘も考え、ある程度の広さのあるギルドが持つ決闘場なら、ラジールは間違いなく得意な火魔法で攻め立ててくることは解っていた。



案の定開始の合図と共にファイアーボールが飛んできた。



「アースウォール」



それに対して俺は地魔法でアースウォールを生み出して身を守らなくてはならなくなる。



守れなければファイアーボールでやられるし、守れたとしても足を止めてしまえばそいつはファイアーボールの格好の的だ。



何発もファイアーボールが打ち込まれる。



だがこのアースウォールはただのアースウォールじゃない。



普通のアースウォールは粘土板のような土で壁を作るが俺の作ったアースウォールは砂漠にあるような砂で作られたアースウォールであり、ファイアーボールの熱や破裂した衝撃波をうまく受け流すことが出来る。



その分綿密な魔力操作能力(・・・・・・)に、結構な魔力消費を迫られてしまうが。



それと同時に地魔法アースダストで砂ぼこりを立てる。



俺が地魔法を使うことはラジールが1番知っている。



故に地魔法を破壊したから砂ぼこりが立つのだろうと思うだろうが、この砂ぼこりは異常だろうことはラジールなら直ぐに気づくだろう。



だからファイアーボールの手を止めないが、それは悪手だ。



俺が勝つためには長期戦ではなく超短期戦だが、いつその超短期戦を仕掛けるかが問題なんだ。



それは今ではない、だから安全策でファイアーボールを打ち続けるのではなく、今突っ込んできて肉弾戦を仕掛けるのがやられて嫌なことだ。



俺はアースダストに紛れてオリジナル上級魔法ガイアナイトの術式を組み上げていく。



所詮は事務職、決闘場を包む魔力を感じれていないのだろう、審判が過剰攻撃だとラジールのファイアーボールを止めさせた。



流石に異常だとようやくアースダストに突っ込もうとしていたが、ラジールは静止を振り切って突っ込んでくるなんてことはやらない。



仮に突っ込んできても、アースダストの中は俺が地魔法で作った罠がいくつも仕掛けられている。



せめてものと魔力を練り上げているのを感じるが、それじゃあもう俺を止めることは出来ない。



ガイアナイトが完成すると共に俺はアースダストを解除し、衆目の視界に晒される。




「全て君の掌の上だったってことかい?」




「いいえ、全くです。何もかも思い通りにいきませんでした。僕も大海に投げられた小石に過ぎないのでしょう。波紋は生んでも、波を打ち消し起こすことはできませんでした。」




ラジールの言葉に答えた俺は、厳めしい黒鎧の重さを感じさせず、弓から放たれた矢のように駆け出す。



ラジールはガイアナイトによる魔力切れを狙うしかないと思ったのだろう。



俺を近づかせまいとファイアーボールを放ちつつ逃げ回る。



いくら上級魔法に当たるガイアナイトを纏っていても、一流の魔法使いの放つ高速で飛来するファイアーボールを何発も受けては堪らない。



ジグザグに跳び跳ねるように走り、ガイアナイトで作った大地の剣でファイアーボールを引き裂く。



『やあ、この街は初めてかい?ふふふ、そりゃそんなキョロキョロしてる奴は君くらいだよ。』



当然そうして魔法をかわされることは解っていたのだろう。



その動きを読んだラジールは俺の足の着地点などを狙ってファイアーボールを放ち、さらに牽制を行う。



魔力消費を気にせず、地魔法による加速をもう1段階引き上げることでファイアーボールを置き去りにする。



『おいおい、お前は爆発魔法の使い手なのかよ、魔力操作下手すぎじゃないか。こっちに来いよ、いいか、魔力ってのはな…』



軽装のラジールの目と、鎧兜から除く俺の目が合う。


もうここまで近づけば攻撃力も効果範囲も大きい火魔法は使えない。



ファイアーボールを避けるため低い姿勢から、大地の剣を下段から上段へ切り上げる。



押されぎみなラジールは愛剣で迎え撃つがガイアナイトで強化された大地の剣と打ち合い弾き飛ばされる。



『まーてまてまて、君はほっとくとすーぐに遊郭にいっちゃって。君にはまだまだ早いよ。早寝早起きが魔法使いの成長には不可欠だよ』



剣を弾き飛ばされ、もとから離れようとしていたラジールは引け腰であったため、大の字で後ろ弾かれる。



ラジールに接近しようとかなりの速度で走っていた俺は止まらずラジールのがら空きの胴体に体当たりをかます。



ガイアナイトは超圧縮した岩の鎧であり、その重さは見た目に釣り合わない。



それを更に地魔法で操ることで重さをものともしない超重量の鎧は、パワードスーツの様な働きをする。



大地の剣も、通常の剣の数十倍から数百倍の重さがあるので、人間が受け止められるようなものではない。



星3の冒険者の振るう愛剣ですら吹き飛ばすガイアナイト、その鎧でぶつかられた瞬間のインパクトはひと1人を殺すのに十分である。



俺は自信の持っていた運動エネルギーを全てラジールにぶつけた。



ピストルの街、筆頭星3冒険者、

最優のラジールが、その日 死んだ。



面白いと思ってもらえたならさいわいです。


賭け事の4や10は、4口、10口のことであり、1口10000円…は高過ぎますかね、5000円位だと思ってください。

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