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僕らは異世界で生きている  作者: モチ猫 芹香(もちねこ せりか)
9/12

白と武器②

 受付「それでは名付けが完了しましたので、討伐の説明に移ります。討伐には二通りの方法がございまして、一つは今ティモシーさんに名付けをしてもらった武器です。名付け武器で倒したモンスターはそのまま消え、お金などの戦利品に代わります。これは討伐が困難なモンスターほど金額が大きくなり、珍しい素材が出やすくなりますので、お金を貯めたりや強力な防具を手に入れたい時には名付け武器での討伐を積極的にすることをおすすめします」


 ティモシー(へぇ、そのままゲームみたい)


 受付「次に名付けをしていない普通の武器での討伐です。名付け武器と違い、そのままモンスターを倒すとお金に変わらず死体が残ります。主に食用のモンスター狩りに使われます」


 ティモシー「あの…その名無しの武器は渡されてないみたいですが…」


 受付「…はい。初心冒険者には早く技術を身に着けてほしいので、あえて食用武器は渡していません。ティモシーさんには名付け武器でお金を貯めて、自分で武器屋の方で調達してくださいね」


 ティモシー(なんてドSなシステム)


 ユナセラフィ「大丈夫ですよ。私が頑張って教えますから今日の夕飯までには間に合うようにしますよ!」


 ティモシー(本当に大丈夫かわからないけどユナセラフィしか今は頼れないからね)「ありがとう、よろしくね」


 ユナセラフィ「はい!」


 受付「そしてここが重要な事なのですが、特にユナセラフィさんの杖を見ますとあなたはヒーラーですよね?」


 ユナセラフィ「はい」


 受付「ティモシーさんよく聞いてくださいね」


 ティモシー「は、はい」


 妙に鋭い視線で見つめてくる受付に緊張が走った。


 受付「名付け武器は攻撃を受けてしまったとしてもヒーラーの力によって回復することが出来ます。しかし、食用武器…と我々は呼んでいますが、「名無し武器」で人を攻撃しますとヒーラーは魔法での回復はできませんので十分注意してくださいね」


 ティモシー「わ、わかりました。気を付けます」


 きつく言い放たれて鳥肌が立ちそうになる。回復できない傷を負ってしまうと冒険に支障が出かねない…いや、もっとひどい事故が起こるのだろう。重要なことだから気を付けるように心に刻んでおこう。


 ティモシー「ユナセラフィさんはヒーラーだったんですね」


 ユナセラフィ「はい。魔力を消耗しすぎないように頑張って回復してあげますね。モンスターの攻撃もヒーラーは回復できますので、ケガをしたら遠慮なく言ってくださいね」


 ティモシー「わかりました」


 受付「(ごほん)では、食用に関する説明が途切れてしまいましたが、食用武器以外にもトラップで食用モンスターと狩ることが出来ます」


 ティモシー(さっきの冒険者たちがもめてたあれのことかな)


 受付「主な流れはトラップを仕掛けて、頃合いに見に行くと捕まっていたりします。捕まったモンスターを食用武器で最後に仕留めるという感じです。自分で食べる分にはトラップの種類や仕留め方にこだわりはありませんが、お店に買い取ってもらって稼ぐという方法もありまして、こちらは専用のトラップでの捕獲が必須となり、仕留め方も一撃と決まっています。トラップの取り扱い方や仕留め方はモンスターによって基準が異なりますので、詳しくはルールブックの方で参照してくださいね」


 この長い説明の為か受付のテンションが最初より少し落ちているように見えた。


 受付「そしてこれが最後になります。より依頼をこなすにつれてより強いモンスターの討伐依頼が来るようになると思いますが、武器や防具の交換は武器屋の方で、武器の強化は魔女様の館で行われます」


 ティモシー(また魔女が出た)


 受付「食用武器や防具の場合をただ新しく新調するだけですが、名付け武器はちゃんと名付けと武器屋に伝えてください。名前を新しい武器に移してくれますので、言い忘れにはご注意ください…後にややこしくなりますので…」


 テンションが低くなったかと思ったら、ここでまた本音を漏らした受付。


 ティモシー(ってことは、これもギルドが絡んでくるから、ちゃんとしろよって意味でいいかな?あまりお世話にならないようにしよ)


 受付「そして、武器強化には魔女様の館で行われます。この国のすべての武器には魔女様が生み出した魔法石が施されています。より戦いやすくするために魔女様が「魔女のご加護」という名の強化してくださいます。王都を含むそれぞれの街や村に魔女様が一人ずついらっしゃいます。お一人お一人のご加護の内容は異なりますので、すべてのご加護を頂く為に冒険を始める冒険者も多いと聞いています」


 基本的に砕けた丁寧語で話す受付が魔女のことを魔女様と呼んだり、急に謙譲語を使ったりと、この国での魔女の存在はかなり重宝されているようだ。一つの街や村に一人魔女がいると言っていた。一体何人いるのだろうか。一人一人が村を守り、魔法石を生み出し、さらに武器を強化してくれる存在が気になった。


 受付「以上がこの国での冒険者としての大まかな流れです。もし説明不足な部分やルールブックの内容に曖昧な点がありましたらいつでもこのギルド館へ来てくださいね」


 ティモシー「ありがとうございます。助かりました」


 受付「いえいえ。いつでもどうぞ」


 にっこりと笑みを浮かべているが、作り笑いに見えた。


 ティモシー(面倒なことが嫌いなのはわかっているから、”いつでもどうぞ”は言わされているんだろうな)


 とにかく、もう受付からの説明は終わったのでユナセラフィの方に向いた。


 ティモシー「じゃあ、さっそく依頼を受ける?」


 ユナセラフィ「依頼はもう少し慣れてからの方がいいですよ。今はどんどんモンスターを狩って今夜のご飯を考えないといけません」


 ティモシー「そっか。じゃあ、頑張ってじゃんじゃん狩らないといけないね」(よくよく考えたら起きてから何も食べてないからかなり腹が減っている。この状態で狩りに行ってようやく夕飯にありつけるかってところなのか…。女神も厳しいするなぁ)


 ユナセラフィ「はい!頑張りましょう!」


 ユナセラフィに案内をお願いしてギルド館を後にした。

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