白の冒険者誕生
残りの記入欄を見るとあることに気づいた。
ティモシー「そういえば、職種登録はしないのですか?」
受付とユナセラフィが不思議そうにこっちを見る。
受付「職種登録とはなんですか?」
ティモシー「えーと、剣士とか魔術師とかアーチャーとか。職種を決めて登録はしないんですか?」
受付「はぁ、自分がどんな職種に向いているか、冒険者になる前から知っている人なんて少ないですよ。剣士になってみたけど実は魔法に才能があったとわかっていちいち登録し直したり…(小声)こっちの仕事をいちいち増やすような面倒な手続き…(ごほん)と何度か変更するような項目は記入しないことになっています」
ティモシー「なんか、余計なことを聞いてしまったみたいなのですみません」(この人やっぱりやばい)
受付「いえいえ。登録に必要なのは冒険名と軽い個人情報となります。任意の項目に所属するパーティ名がありますがこちらもコロコロと変わるものですので記入の方は結構です。しかしギルドへの所属の有無はこちらの受付との関係がありますのでどちらかに丸をお願いしています」
ティモシー「ギルド…」
受付「ちなみにギルドに所属について大まかに説明しますと初心の冒険者にはおすすめのシステムのなっています。依頼はギルドから能力に応じて割与えられているので、少しずつステップアップしながら定期的に安定した収入が望めます。しかし、高い報酬や難易度の高い依頼などはある程度の要望に応えられますがあまり自由に選ぶことが出来ないので、一人前になるまでの道のりが長いのが欠点ですね。ゆっくり冒険になれていくスタイルが好みならおすすめしますが、早くステップアップしたい冒険者には所属を考えなければいけないですね」
ティモシー(ふむ。地道にお金は着実に貯めることは出来るけど、やめる前提でギルドに入るのはどうなんだろう…。試行錯誤はするけど迷惑にならないのはやっぱり所属しないことかな。でも、それはそれでパーティーを組んでしまうとギルドを抜けるよりメンバーに迷惑になりそうな…)
あれこれと考えているとユナセラフィが声かけた。
ユナセラフィ「ギルドの所属はいつでも出来ますので後からいつでも考えられますよ」
ティモシー「うーん、でもパーティーか…」
ユナセラフィ「それは依頼の度に変わったりするので、パーティーの方は深く考えなくて大丈夫ですよ」
ティモシー「そっか…そうだね。アドバイスありがとう」
役に立ったことが嬉しかったようでユナセラフィの顔が花開くような笑みをこぼした。ティモシーはギルド所属の項目のNOに丸をし、受付に向けて紙を返して渡した。
ティモシー「じゃぁ、一先ずこれで」
受付「かしこまりました。任意の項目以外はちゃ・ん・と・記入してますね。では、これで晴れてティモシーさんは冒険者としての活動が認められ、その権限が与えられました!おめでとうございます!」
ユナセラフィ「おめでとうございます!」
ティモシー「あ、ありがとうございます」
ここまで乗せれたような気持ちだったが
ティモシー(ティモシー…)
少し照れ臭いが子供の頃に憧れたキャラクターを自分に命名したからなのか冒険者になることに前向きになれたような気がした。どんな冒険になるのだろう。どんな人たちと冒険するのだろう。どんどん強くなって毎日ワクワクの冒険だといいな。
そんなことを思いながら、受付と次のやり取りに移った。