表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕らは異世界で生きている  作者: モチ猫 芹香(もちねこ せりか)
4/12

白と街探索

 異世界の空気。この世界の街並み。シスター以外の異世界の人間が賑わいすれ違う。とりあえず隅々まで散策をすることにした。まるで時代物の映画セットのような風景に現実の実感がわかない。自分がエキストラとして街中を歩いているような気分。確かに女神に選ばれたのだが、世界観の説明だけで防具も武器もなく転送された。目覚めた瞬間に「おお、言い伝えは本当だった!勇者様ぁ~~」と土下座しながら神官などの人々に迎え入れてもらってないこともあり、とにかく実感がわかない。


 (普通の主人公なら真っ先に冒険者になるのが異世界のセオリーなんだけどね…)


 だが、これからあなたはここで暮らすんだと言われただけなので、別に冒険者に限らなくてもいいんだと勝手に考えをシフトした。そして、世界観を味わいながら並んでいる店に目を向ける。八百屋、肉屋、靴屋、仕立屋、色んな工房に小さな街病院、などなど色々な職種が目に入る。


 (やっぱりみんな本物だよね?)


 「今日仕入れたばかりのジャッカロープの肉だ!あの『疾風の剣』冒険団が捉えた上質な肉だぞ!」「うちの野菜は新鮮だよ~!麗しの『踊る舞姫』団からの仕入れだ!」


 (最後に付け加えてるのは冒険者グループの名前かな?)


 気になるフレーズはとりあえず頭に入れておこう。しばらく歩き回っていると人々が道の端へとよけていく様子が見えてきた。


 「今日も大量、大量!」「狩るのにそんなに手間取らなかったな」「ああ、途中他の冒険者のトラップに引っかかって泥だらけになったがな」「はぁ、俺は疲れたし腹も減ったからさっさと行こうよ」


 どうやら狩りから戻ってきた冒険者一行が人々を掻き分けながら向かって歩いてくる。言葉と裏腹に表情からして長旅か危険な狩りの後かのようなヘトヘトな様子気づく。防具も武器も「そんなに手間取らなかった」とは言えないほどドロドロだ。そして、何故かわざとらしく大声で話している。


 面白そうなのでついて行くことにした。


 しばらく後ろについて行くと目の前に宿の看板を見つけた。女神にお金を渡されていないので一文無しの僕は一行が宿に入られるとこれ以上の尾行はできない。しかし運がいいのか一行は宿を通り過ぎてそのまま直進を続けた。彼らは相変わらず大きな声で自慢話をし、あえて人通りの多い道を歩いているようだ。更に幸いなことにこっちの尾行には気づいていないようだ。


 しかし、一行に目的地が見えないことに気づくとどうやらこの経路では遠回りしているようで、横に伸びた道の先を見ると先ほど通り過ぎた見覚えのある人がやっている店が見える。このまま尾行を続けるか迷い始めてきた。諦める前にとりあえず彼らが向かっていく先を見ると、やっと道が開けて広場のようなスペースが見えてきた。さらに奥を見ると今まで見てきた街の建物の中では一際大きな建物がそびえ立っていた。


 [GUILD HALL]と金メッキの立派な文字が建物に書かれていた。


 「ギルドホール…ギルド館か…」


 ん?英語が読める?きっとこれは現地の言葉がわかるように女神がくれた便利なお助け設定だろう。英語が苦手だった為、これはかなり助かる。それにしてもこの世界は謎の古代文字や謎言語ではなく英語が母国語なのか。


 (異世界ものにしては珍しいな)


 英語に気を取られていると尾行していた冒険者一行はもうギルド館の入り口前までついていた。後を追うように広場を横切る。通りながら他の冒険者があっちこっちで座っていたり、立っていたり、準備運動をしているのかストレッチや自分の武器をおもり代わりに筋トレをしている人が目に入る。


 (なんかすごいな。みんな狩りの為に本気って感じ)


 そしてギルド館入り口前、大きな扉の取っ手に手をかけた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ