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マ〇ドナルド化する異世界⑭

「だ、大天使様!?大天使様ではありませんか!私、この世界に囚われてしまって、こちらからは連絡もできず、一時は不安で不安で━━」


 その女性を見た瞬間、天使ちゃんが急に身を乗り出した。え、大天使?じゃあやっぱり天使ちゃんも、天使だったのかな。でも、この女の人(?)は、確か━━


 私の驚きをよそに、大天使と呼ばれた女性は、天使ちゃんに優しく微笑んだ。


「それも、試験の一部ですからね。でも随分はかどっているみたいで、安心しましたよ。このまま、子天使昇級試験、頑張ってくださいね」


「は、はい、大天使様」


 天使ちゃんが緊張した面持ちで女性の言葉に頷く。え、子天使昇級試験?天使ちゃん、試験で私の元に現れたの?酔っぱらった時に言ってた「お仕事」って、そういうこと?


「そして、くれぐれも、」


 大天使らしい女性は、今度は少し厳しい顔をして続けた。


「くれぐれも、あなた自身の使命を忘れないように」


「……はい、大天使様」


 天使ちゃん、今度は少し寂しそうな顔で大天使様の言葉を受け止めた。何なんだ、一体。


 と、大天使様は今度は私の方を向いた。


「こんにちは、ユーノちゃん。私たち、実は会ったことがあるんだけど、覚えているかしら」


 覚えているもなにも、本物の天使に会ったことなんて、一度しかない。


「9年前の、飛行機の、乗務員さん?ですよね」


「あったりー!すごい記憶力!」


 航空会社の制服に身を包んだ大天使様は、まさに天使の笑顔。


「えっと……なんでそのおまじない屋さんと一緒にいるんですか?」


「それはね、『世界を守るため』、この人とは協力関係にあるのよ」


 と、「ふしぎな免税店」の男が割り込んできた。


「ほほ、ユーノさん。今日は、あなたの使命も終わりが近づいていることを知らせるために連絡させていただきました」


「え?そうなの?前に話した時は、残り5か6個の属性をなんとかしろって話じゃなかった?」


「ええ、以前お話した色欲に高慢、それから、エルフの少年の虚飾、引退したがっていた魔法講師の怠惰、時止めの男が患った憂鬱、そして今回の暴食。残る属性はあと2つ、強欲と憤怒です。頑張って、世界を救ってください」


 ツアラが仲間になって以降私たちが巻き込まれた起こった事件の数々。それらは、どうやら私の使命と関係していたようだ。それにしても、私の使命、未だに謎が多い。


「属性って何なの?全部解放すると、どうなるの?」


「ほほ、属性が何か、それは使命を終えてから、お教えしましょう」


 意地悪。大天使様も一枚噛んでるみたいだし、さてはこの男、悪魔か何かだろうか。確か、あの航空会社には悪魔のようなお姉さんもいたはずだ。


「あと2つの属性を解放することができれば、あなたは『愛と世界平和のお守り』の代金を払い終えます。役割から解き放たれ、あなたは自由になり、そこの少女は子天使になることができるでしょう。さらに、私からボーナスも進呈しますよ」


 ボーナス、ね。期待しないでおこう。


「ねえ、私の使命って、そんなに大事な事なの?大天使様が現れるくらい?」


 正直、私がこれまでしてきたことと言えば、スケールの小さい事ばかりだった。


「ええ。私とこの大天使さんと、その仲間たちと、それからこの世界にとって、とてもとても大事な事なのです。残りの2つ。どうか頑張って解放ください」


 そう言って、男は通信を切ってしまった。

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