マ〇ドナルド化する異世界⑦
誤字報告、ありがとうございます。
天使ちゃんとツアラと一緒に街を歩いていると、周りの人から「そういった」視線を向けられることは、正直なところ、これまでにもあった。何度も。でも。
「えっと……『噂』になってるの?」
私のその質問に、アリーナは目を見開いた。
「あったり前じゃない!もう街中の噂なんだから!だってあんなに可愛い美少女が、も、もちろん、ユーノちゃんが小さかった頃も鼻血が出るほど愛おしかったけど、幼ユーノちゃんに負けないくらい可愛い子が、二人も!ユーノちゃんといちゃいちゃしてるんだもん!そりゃあ噂にもなるってものよ!」
「……」
そういえば、まだ一緒に学校に通っていた頃、アリーナは鼻血を出して倒れるということが度々あった。「純粋な人間族は傷の治りが遅くて、大変だな。ハーフエルフでよかったな」と思っていたけれど、まさかそんなことで出血をしていたなんて。
これまでの友情にヒビを入れかねない発言をしていることを知らず、アリーナは続ける。
「特にあの黒髪の子!いっつもユーノちゃんをちょこちょこ追っかけて、ユーノちゃんから目を離さないし、たまーに『ぽっ』とした表情になったり、ユーノちゃんと目が合うとあせあせし出したり、顔を赤くしたりetc。すきすきオーラがだだ洩れってもんよ!」
「えっと……そうなの?」
「そうなの!!」
なんでアリーナがそんなに興奮しているのか、とか、何時私と天使ちゃんのことをそんなに詳しく見たのか、とかそんなことは置いておいて、噂はともかく、天使ちゃんのことで少し相談をしたかったのは本当だ。昨日のピクニックのことや、最近彼女の態度が変わってきたことについて、少しだけ相談してみようと思ったのだけれど。
残念ながらそれは叶わなかった。私の後ろから「聞きなれた声」が聞こえたからだ。
「……ちょっと、ここからじゃなに言ってるか、聞こえんの」
「でも、これ以上近づいちゃうと、さすがにバレちゃうよね……」
「(……レンジャーの『隠蔽スキル』で上手に隠れているけれど、声でバレバレだよ)」
まったくもう。
「そういうことはしちゃいけなんじゃないかな。私だって、内緒話をしたい時だってあるんだから」
そう言って後ろを振り向くと、そこには見慣れた、二人の美少女。私のパーティメンバーがこそこそ隠れて私とアリーナの話を盗み聞きしようとしていた。
「ひゃっ、バ、バレてましたか?す、すいません、悪気があったわけじゃなくて……」
「いやぁ、あれじゃぁ、あれ。『偶然』、そう偶然、たまたま街でお主を見かけての。ちょっとだけ気になったんじゃ。魔が差したと言えなくもないの」
そうして、わたわたと弁解する二人を見て、アリーナはフフッと笑った。
「ユーノちゃん、愛されてるね」
……そうなのかな。
「でも丁度よかった。もう一つ、話したい事があったの」
と、アリーナは「乙女モード」から真面目な「仕事モード」の顔になった。
「いつか、問題を抱えている転生者や転移者がいたら知らせてくれ、って言ってたよね」
確かに私はレヴにそんなことを話したことがあった。以前起こった「ネウンベルグ連続放火事件」の後。初めて、というかようやく「ふしぎな免税店」の謎の男から通信があったあの時。私はこの「愛と世界平和の指輪」の代価が、転生者や転移者の引き起こす諸問題を解決することにあると知らされたのだ。
そして商会の仕事で各地を転々とするレヴは、そのような問題を見つけてくれるかもしれない。そう思った私は、レヴに頼み事をしたのだった。
「もしかして、見つけてくれたの?」
私の問いに、アリーナが答える。
「うん、一人見つけたの。とても大きな問題を抱える転移者を。それに実のところ、状況は芳しくなかったり。もし時間があったら、また力になってくれない?」
明日、モルマ商会の本部で待ち合わせることにして、今日のとろこは解散。天使ちゃんとツアラには、本当はお土産にケーキを買って行ってあげようと思ってたけど、盗み聞きのお仕置き。買ってあげない。




