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マ〇ドナルド化する異世界④

「うわ、すごい人だね」

「ほんとですねえ」

「まあ、ハンバーガー、じゃからの。しょうがないの」


 翌日、ツアラに案内されてハンバーガー屋の前まで来てみると、お店の前にすごい行列ができている。これはちょっと、驚くべき光景だった。


 こう言ってはなんだけれど、「ワイルドな」人の多いこの異世界では、人だかりはできても、行列はできない。それが今は、老若男女、人間も亜人も関係なく、店員さんの指示に従ってきれいに並んでいるのだ。


 これがファストフードの力、なんだろうか。


 結構な時間を待っていたと思うのだけれど、その間も天使ちゃんとツアラは期待に胸を膨らませ、まったく退屈した様子はなかった。楽しみで楽しみで仕方ない様子で、見てるこっちまで嬉しくなってしまう。


 待ちに待って、ようやく私たちの番。


「いらっしゃいませ、ご注文は、何になさいますか?」


 店員さんも例のゼロ円スマイルで対応して、よく訓練されている。


「えっと、じゃあ、私はえびフィレオとジャッカルトッフェル・フライ、それから田舎麦酒をお願いします」

「我は……えっと、ベーコンBBQバーガーと、鬼オンリングと、田舎麦酒!」

「私は、サルサ・アボカド・チキンバーガーと、血禽(チキン)ナゲットと、果物ジュースを、お願いします」


「かしこまりました。少々お待ちください」


「……」

「……」


◇◇◇◇


 店内は満席だったので、私たちは三人分のバーガーセットをお持ち帰り。天気もいいし、街はずれの湖まで移動してピクニックをすることにした。


 道中気づいたことがある。それは私達も、なのだけれど、ハンバーガー屋のロゴが入った紙袋を手に持って街を歩く人のなんと多いことか。


 こうやってお店の袋が街中に溢れることで、宣伝の効果もある、というのは日本にいた頃は普通の光景だったけど、ここ異世界では新鮮な光景だった。最近オープンしたばかりというこのハンバーガー屋がこんなに人気があるのは、この「見えない宣伝効果」というのもありそうだ。この発想、やっぱりお店を展開しているのは「異世界人」みたいだ。


 そんなこんなで、湖畔に到着。行きがてらに入手したペラペラのピクニックシートを木陰に敷いて、ひとまず休憩。そろそろ夏も終わり。すごしやすくて、心地いい天気。見ると、私とツアラは胡坐をかいて、天使ちゃんは正座だ。


「性格が出るよね、こういう時の座り方って」

「それの。天使は律儀じゃしの」

「ふふっ、ツアラちゃんとユーノさんはマイペースだから」


 そんなことを話しながら、ハンバーガーとサイドメニューが入った紙袋を開ける。じゃあ、まずは、


「「「かんぱーい」」」


 私とツアラは田舎麦酒を、天使ちゃんは果物ジュースをゴクリ。


「あ゛あ゛あ゛ー幸せじゃー」


 ツアラが神々しい戦乙女にあるまじき声を出してるけど、怒る気にはならない。しあわせな瞬間。ほんとうに、その通りだと思う。


 三人でそれぞれが注文したハンバーガーの食べ合いっこをしていると、天使ちゃんが飲み物に手を伸ばす。


 あ、でもそれ、私のビール……


 そういえば、ツアラはいっつも田舎麦酒を飲んでるけれど、天使ちゃんが飲むのは初めてだ。お酒、強いのかな。酔っぱらうと、どうなっちゃうんだろうか……

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