お父さんの仕事の都合で引っ越したら異世界だった⑥
「い、異世界ってどういうこと、お父さん……」
「そのままの意味さ。いわゆる異世界。ユーノも映画や漫画で知っているだろう?渡航はとても厳しく制限されていてね。僕ももう何年も、里帰りのための渡航願いを出していて、音楽学校の教師という名目でようやく受理されたってわけさ」
お父さんが、さも当然のことのように言う。頭が痛い。
「お父さんって、異世界人だったの……」
「日本の人からすれば、そうなるな。異世界出身のエルフ族だ」
エルフ……弓とか魔法が得意で、長寿で隠れ里に住んでるやつだ。あと野菜しか食べないんじゃなかったっけ。お父さん何でも食べるじゃん……最近アンチエイジングのスキンケア用品とか使いだしたし……
「ははは、今更何を言っているんだ、娘よ。だいたい、ここに来る飛行機で他のエルフやドワーフにオーク、天使や悪魔だっていたじゃないか。というか、お前も半分エルフなんだけどね」
確か、添乗員のお姉さんが混血がどうの、って言っていたような
「その通り。生まれつき魔法の力が強いエルフ族と、感情の強い人族の間にできた子どもは魔力を具現化する才能が生まれつきとても高い。正しい教育を受ければ、この世界で高位の魔法使いになることも夢じゃないんじゃないか?」
お父さんがよくわからないことを言っている。そんなこと、初めて聞いた。
「お前、今まで人間と暮らしていて気が付かなかったのか?お前もエルフの自己治癒力を受け継いでいるはずだぞ?」
そういえば、私は大きな怪我というものをしたことがない。ナイフで指を切ったり、転んでひざを擦りむいたり、足をくじいたりしても、次の瞬間には傷も痛みもなくなっているのだ。他の子はいつまでも痛がって大変そうだな、なんて思っていたけど、まさか自分にエルフの力が備わっていたなんて━




