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魔法先生ユーノ⑧

注意:筆者は全年齢対象の物語を念頭に置いて書いていますが、一部不愉快ともとれる表現があります。ハーフエルフのお姉さんと戦乙女の少女の絡みが苦手な方はご遠慮ください。

 今日は予期せぬ魔物退治のせいで消耗し、少し疲れてしまった。早めに寝ようかと支度をして寝室に入ると、ツアラがもじもじしながら付いてきた。


「どうしたの?一緒に寝たいの?」


 私がそう尋ねると、ツアラは顔を伏せて、恥ずかしそうに言った。


「な、なあ、我にも、してほしい……」


 聞けば、ルカ君と行った魔力操作の訓練をしてほしい、ということだ。


 そういえば、ツアラは私がルカ君にしてあげたような、はじめての手ほどきの経験がないという。魔力操作の基礎を習得しないままレベルが上がってしまったからだろうか、ツアラの戦い方は少し力任せなところがある。しかし、戦乙女は他人との肌の接触を避けるのではなかったか。その点は大丈夫なのだろうか。


「じゃあ、ツアラもする?でも、恥ずかしくないの?」


「う、うん……主がしてくれるなら……」


「いいよ。ほら、こっちにおいで」


 私がそう言うと、ツアラはこちらに身を預けてくる。……普段からこれくらい素直なら、愛らしいとも思えるのだけれど。頭を撫でてあげると、嫌がらずにそのまま甘えるようにこちらにくっついてきた。


 と、戦乙女は「んっ」と言っておもむろにバンザイをする。まったく、子どもじゃあないんだから服なんて一人で脱げるだろうに。しょうがないので寝間着を脱がしてあげ、ルカ君のときのように肌着にして、リラックスさせる。


 私はツアラを後ろから優しく抱きしめてあげ、戦乙女が魔力を練るポイントを探っていった。エルフや人間族は下腹部がポイントなのだが、戦乙女はどこで魔力を練るのだろうか。ツアラの耳、首筋から脇、胸部、丹田、脚の付け根、お尻、太ももの外側、それから内側を順番にゆっくりとさすって魔力の受容具合を探っていると、


「んぁっ、」


 あるポイントでツアラが少し震え、反応を示す。


「ここが、いいの?」

「う、うん……そこ、そこじゃ……」


 どうやらこの戦乙女が一番魔力を溜めやすいポイントはここのようだ。私が注入する魔力に敏感に反応している。指先で直接触れると、そこからはなかで練られた純度の濃い氷の魔力が少しづつ融け出し、ツアラのその場所を濡らしている。


 しかし彼女を抱きしめたままだと、少々事が進めにくい。ツアラのその場所があらわになるよう、彼女の体勢を少し変えさせる。身体は丈夫そうだし、ちょっと強くしても耐えられるよね。


 私はツアラのその場所へと重点的に、ゆっくりと、時間をかけて魔力を込めていく。初めのうちは余裕を見せていたツアラだったが、連続して無防備な部分に魔力を当てられることで、だんだん限界が近づいてきたようだ。事を始めて15分くらいでもう切なそうな顔になり、私を見て、訴えてくる。


「えっ、あっ、ち、ちょっと待つのじゃ。主の魔力が、我のと絡みついて……我もはじめてじゃし、あのエルフのように、やさしくぅっ?」


 はじめて他人の魔力を受け入れることに戸惑っているのだろう。ツアラは少し私から身を引こうとする。しかし大事なところで中断してはいけない。私は片方の手でツアラの手を包み込んで安心させてあげる。そしてもう片方の手をツアラのその場所に当て、指先で優しく、繰り返し繰り返し小突いていく。


「ほら、逃げないで。大丈夫だから。ここ、ツアラちゃんの場所に当たってるのわかる?」

「ん゛ぁ゛っ、しゅ、ストップ!わ、わかったから!」


 これまで感じたことのない感覚に、考えが回らなくなってしまったのだろう。ツアラは私の手を止めることはしなかったものの、向き返って私に力いっぱいしがみつき、


「も゛うっ、しょれっ、あ゛っ、しょこはもうっ、わけわからんん゛ん゛っー」


 最後の瞬間は声にならない声を上げそのままくたくたになってベッドに倒れこんでしまった。実力のある戦乙女といえど、魔力を練るポイントは無防備。敏感な場所に他人の魔力を当てられ続けることで、限界に達してしまったようだ。しかし、訓練は継続が大事。何度も続ければだんだん上手になっていくはずだ。


「これからも、したくなったら言ってね。今日の体勢の他にも、対面で密着して座りながらする方法とか、魔力を感じるために目隠しをする方法とか、いろいろあるんだ」


 私がそう言うと、ベッドの上でぐったりとしているツアラはこちらを見る。訓練のせいで彼女の頬は赤くなり、瞳は潤んでいる。


「う、うん……」




 と、気づくと天使ちゃんが寝室の入り口から顔だけを出して私たち二人を観察している。なんだか鼻息が荒いのは気のせいだろうか。


「わわ、大丈夫です。私に構わず、どうかもっと続けてください!」


 いや、ツアラはもう今日は満足してくれたようだし、これくらいにしておくよ。天使ちゃんも試す?魔法使いにはならなくても、魔力操作を覚えておけば冒険にも役立つよ。


「えぁっ、わ、私もですか……?えあ、ほ、本当は、見ている方が好きなのですが、物は経験とも、言いますよね……は、はい……じゃあお願いします……」


「じゃ、こっちおいで?」


 おずおずと前に出る天使ちゃんは、私にすり寄って、上目遣いでこっちを見る。顔を赤くして、少し緊張してるみたいだ。ツアラの時みたく、私は天使ちゃんの頭を撫でて、安心させてあげる。


「じゃ、始めるよ。安心して、私に身体を預けてね」


「は、はい、よろしく、その、やさしくお願いします……」




 その時の私は知らなかった。天使ちゃんとツアラとの魔力操作の訓練が、それからほぼ毎晩、せがまれて続けられることになる、ということに。そしてそれが、天使ちゃんのその後の変化のきっかけの一つにもなることにも。


◇◇◇◇


 ここは日本のとある空港。「ふしぎな免税店」の店主が、異世界の救世主たる三人を水晶玉越しにのぞき見している。どうやら三人とも、疲れ果てて寝入っているようだ。そして店主は呟く。


「ほっほ、ユーノさんのおかげで、エルフ族の少年に取りついていた『虚飾属性』が浄化されたのですが、これは邪魔をするべきではありませんね。連絡は、またの機会に━━」


本編4話終わり。赤松先生リスペクト回でした。エルフの少年ルカ君とその母親はまた後で登場する予定です。

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