魔法先生ユーノ④
注意:今回、次回のエピソードには性的とも解釈されうる表現が含まれています。筆者はあくまでも全年齢対象の物語を念頭に置いて書いていますが、ハーフエルフのお姉さんとエルフの少年の絡みが苦手な方はご遠慮ください。
服を脱げと言っても裸という意味じゃない。肌着になってくれ、という意味だ、そう説明しても、ルカ君は気が進まないようだった。
「えっと、今、ここでですか?」
おそらく同年代の女の子である天使ちゃんやツアラの前で服を脱ぐのが恥ずかしいのだろう。しかしこれはれっきとした魔力操作の訓練の導入部分で、必要なこと。そう促すと、ルカ君は私に言われるがまま上着とズボンを脱ぎ、シャツとパンツ姿になった。
「じゃあ、落ち着いて、深呼吸してね」
「よ、よろしくお願いします」
下着姿になったルカ君は、すーっ、はーっ、すーっ、はーっ、と深呼吸を繰り返す。少しずつリラックスできてきたようだ。
魔力の操作の際に最も大事なのは、魔力を練る感覚を身に着けることだ。まずはその第一段階。私は薄着になったルカ君の後ろから、身体が密着するように立ち、両腕をルカ君の身体に回す。つまりは後ろからルカ君を優しく抱きしめる格好になった。魔力の伝達を促すためには、できるだけ身体が密着していた方が効率がいいのだ。そして私は両手をルカ君の下腹部に置き、ゆっくりと、数分かけてルカ君のお腹に私の魔力因子を注入していく。
「大丈夫。緊張しないで。ほら、私に身体を預けて、魔力を受け入れて」
「は、はいっ」
ルカ君の身体は私の魔力を受け入れて、少し体温が上がってくる。どうやら魔力を受け入れる器は整っているようだ。次に第二段階。魔力の注入は続けながら、これまで止めていた手を動かし、ゆっくりと、ルカ君のおへそのあたりを円を描くようにさすって魔力の生成を促す。これを続けるうちに、だんだん魔力が練られてきた。
「ほら、がんばって。もう、少し……」
「んっ……!」
少しずつ、ルカ君のお腹に魔力の渦が出来上がっていく。
「魔力が少しずつ高まって、脈打ってるのを感じる?」
「は、はい。お腹のあたりがあったかくて、何かがトクトクしてます……」
「じゃあ、もう少し強くしてみるからね」
そして第三段階。より強い魔力を注入するために、ルカ君のシャツの中に手を入れて直接下腹部をー
「あっ、ま、待ってください。ちょっと、強すぎますっ。うぁっ、あっ!」
そこで、練られた魔力は霧散してしまった。これから練った魔力を放出させる段階だったのだが、ルカ君の身体がまだ完全には整っていなかったのだ。
これはエルフ族にはよくあることだ。魔力を受け入れ、体の中で練ることはできるのだけれど、それを放出することが難しい。魔力の放出には感情の強さが関係しているらしく、種族として全体的に理性的なエルフ族は魔力の放出を苦手とする者が多い。
エルフ族に比べて感情が強いとされる人間族は魔力を放出する才能に秀でた者は多いが、魔力をじっくり練る作業が苦手な者が多いようだ。
ちなみにエルフと人間のハーフである私は、両種族のいいとこどり。魔法使いになるにはまさに理想的な組み合わせだそうだ。
「はぁっ、はぁっ、」
ルカ君は少し汗ばみ、虚ろになった目を私に向ける。
「僕、こんなのはじめてで、ちょっと疲れました……」
「大丈夫。最初はみんなこんなものよ。むしろよく耐えたと思うわ」
糸の切れた人形のように、床に崩れ落ちてしまった。本当に、初めてにしてはよくやった。私はこれまで何人かの魔法学校の生徒のはじめての魔力操作の手ほどきをしてきた。他の生徒とそう安易に比べるべきではないのかも知れないけれど、ルカ君は初めてにしてはよくやったと思う。
と、天使ちゃんとツアラの二人が顔を赤くしてこっちを凝視している。
「ユーノさん、この訓練、なんだかえっちです……」
いや、これは魔力操作を目的としたれっきとした訓練。元の世界では魔法使いだったツアラもこの手の練習はしてきたはずだけれど。
「あ、あほ!戦乙女たるこの我が、そんなことをするわけなかろうに!」
そういえば、戦乙女族は他者との肌の接触を避ける、という話を聞いたことがある。じゃあツアラはどうやって魔法を習ったのだろう。あとから聞いてみたいものだ。




