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異世界転移したらレベルマックスじゃった⑦

 翌日、私たちは数名の現地の冒険者と共に宿を出発し、山脈へと向かう。彼らは山脈での道案内とアクストドラゴン討伐の見学が目的だ。私はこれでも国に名の知れた賢者。その戦いを一目見たいという者も多いのだ。


「うわー!ユーノさん!ハ◯ジみたいですね!ハイ◯の世界です!」


 街と山脈の間に広がる牧草地を見て、天使ちゃんがうきうきだ。天使ちゃん、◯イジ知ってるんだね。


 カーターチャーチは高原の避暑地として有名で、中心部は観光客でそれなりに賑わっている。しかしひとたび街を出ると遮るものない牧草地が広がっていて、そこでは普段放し飼いにされた家畜がのんびりと草を食んでいる。


 はずなのだけれど、今日は家畜がまったく見えない。牧場主がアクストドラゴンから避難させているのだ。


 討伐対象のアクストドラゴンは家畜をさらう害獣で、牧場主にとっても冒険者にとって厄介な存在だ。ドラゴン自体のレベルは30前後だけど、生命力の強さに加えて、鉱脈を食べて自ら武器防具を精製する。「実質レベル40」として知られていて、一流の冒険者でもソロだと苦戦を強いられることがある。


 ひとたびアクストドラゴンが山を下りて来ると、牧場主は家畜を避難させて、食い散らかされないよう願うしかない。


 今回の依頼も、害獣であるアクストドラゴンの討伐。そしてツアラとの勝負のルールはいたって簡単。一人でアクストドラゴンと戦い、より少ない攻撃回数で撃破した方の勝ち。勝った方が、負けた方の言うことを一つなんでも聞く。


 牧草地を抜け、山脈に続く森へと入っていく。しん、と静まり返る森の中で、ツアラが一言。


「なあ、頭痛いんじゃが」


 まだ山脈には入っていないし、高山病のせいではない。昨日も遅くまで私と田舎麦酒を味わったせいで二日酔いなのだ。どうやらこの金髪美少女、田舎麦酒には目がないらしかった。「がっはっは」なんて、可憐な乙女が出してはいけない声を出して、瓶を何本も空けていたのだった。


 しかし言い訳は私が許さない。ちなみに私は自分に回復魔法をかけて、体調はばっちり。するとその時、


 ずんっ。


 と地面が揺れる。まだ山脈には入ってないのに、どうやら一体目の敵が近いみたいだ。案内の冒険者を天使ちゃんに守らせ、私とツアラが前へ出る。


「グオオッ」


 現れた。森を進む私たちを家畜(ごはん)と勘違いしたのだろう。狩る気まんまん、といった雰囲気を漂わせている。体長約3メートル。中型のアクストドラゴン。例によって自ら精製した防具で身を包んでいる。


「頭は痛いが、さて、我の実力、見せてやるかの。氷の刃(アイストシュナイト)


 先手はツアラが行くようなので、私は様子見させてもらおう。彼女は冒険者組合で借りた剣に氷魔法を纏わせ、一撃、二撃、三撃と攻撃を重ねる。素早い動きでドラゴンを翻弄し、彼女自身はダメージをまったく受けていない。


 ちなみに、ここは豪雪地帯でアクストドラゴンには氷魔法への耐性があることは黙っている。卑怯なんかじゃない。それくらい見抜けなければ、一流の冒険者とは言えないのだ。


「ふん、なかなかやりおるわ」


 二日酔いに、考えなしの氷魔法。すでに悪手を踏んではいるけど、しかしさすがはグロイエルロードといったところか。借り物の剣を使い、五撃目でアクストドラゴンを仕留めた。


「ま、こんなところかの」


「まさかこのような可憐な少女がアクストドラゴンを一人で……この勇猛果敢な戦いぶり、まさに噂に聞く戦乙女。さすがは炎の賢者様のお仲間です」


 見学についてきた冒険者から驚きの声があがる。彼女は仲間じゃないし、可憐なのは見た目だけなのだけれど。

アクストドラゴン

レベル30

HP 500

特性・武器防具装備、氷耐性

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