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異世界商人のハーレム生活⑦

 街の中央市場での喧嘩騒ぎ、そしてレヴの店に続いてまた突然起こった謎の火事の翌日。


「おい!どうなってんだ!」

「商会長を出せ!」

「どう責任を取るつもりだ!」


 今、街全体が怒号につつまれている。レヴの店に続き、モルマ商会が代表して管理している中央市場が予告もなしに閉鎖されたのだ。昨日、市場の一角で起こった火事が原因であることは明らかで、住民の安全のためだということは想像にかたくない。


 しかし。今中央市場を閉鎖することは、売る側にとっても買う側にとっても不都合この上ない。特に新鮮な食材を扱う業者にとって、一日の予期せぬ休業は経営の大打撃に直結する。


 私は立て続けに起こった火事など我関せずの精神で天使ちゃんと自宅近くのカフェのテラスで軽食をとっていると、レヴとアリーナ、それから取り巻き数名が通りかかった。あの熊娘のミーシャは、いないようだった。


 (あっ、レヴと目が合った……)


 レヴも私たちに気づき、こちらへ歩いてくる。


「どうも!ユーノさん、相変わらず、きれいな髪と瞳ですね」


「(っ……!)」


 こいつ、こんなに堂々と、そんなセリフを。他の人から言われていれば、お世辞として流すこともできるのだけど。しかし当のレヴは、自分が吐いたセリフを「ただの正直な意見」としか思っていないようだ。こっちの気も知らないで、レヴは続ける。


「今ちょうどユーノさんのご自宅に伺おうと思っていたところだったんです。先日はわざわざ店までご足労いただいて、ありがとうございます」


 街一番の好青年が、今日はさすがにやつれているようだ。どうにかして彼の助けになって……、違う違う。私は何を考えているのか。


「ああ、レヴ、災難だね。昨夜は市場まで燃えたらしいけど」


 ……私はいつも通り話せているだろうか、彼を前にするとなぜかそのようなことばかり意識してしまう。


「ええ、ユーノさんの助言を受けまして、警戒はしてましたので、おかげさまでけが人は出ませんでした。ただ消火作業は言葉通り焼け石に水でしたが……それに、大丈夫かと言われると、そうではないですね……客観的に言って、商会の信用は地に落ちていると言えるでしょう」


 さすがのレヴも、こうも立て続けに不運に見舞われると弱音を吐かざるをえないようだ。


「そんなことないにゃ、レヴ!」

「不幸な事故だし、商会の落ち度なんて誰も考えないわよ」

「元気、出してください」


 猫耳の少女、昨日の貴族の娘、そして確かもう一人は魔術大学教授の娘、だったか。レヴの取り巻きが口々に励ましの言葉を向ける。アリーナとミーシャの二人を応援する私としては、この取り巻きの娘達が少しだけ鬱陶しい。


「あれほどの、しかも君の幸運を退けるほどの炎だ。原因も限られてくるけれど」


「ええ、いや、まあ……そのことで少し、お時間を頂いてもよろしいでしょうか」


 レヴは言葉を濁し、取り巻きに言う。


「タチアナ、バーバラ、ポリーナ、それからアリーナも、少し席を外してくれないか」


「「「えー、でもー」」」


 アリーナ以外の取り巻きが駄々をこねる。この黄色い空気、なんとかならないのだろうか。


「ほら、みなさん。レヴさんは大事な話があるから」


 アリーナが促すと、彼女達は渋々席を外して行った。

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