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異世界商人のハーレム生活②

 モルマ・マーケットでの火事。アリーナの求めに応じて、街を駆けていると、天使ちゃんが口を開いた。


「モルマ・マーケットって先日買い物に行ったスーパーですよね」


 この世界にオープンしたスーパーマーケット、モルマ・マーケットには天使ちゃんとも一度買い物に行ったのだ。


「そうそう。ちょっと前まではこっちの世界にはスーパーなんてなくてね。食べ物とか生活用品を買うために、教会前の中央市場とか、個人経営のお店を行ったり来たりしたもんだよ。昔はそれが当たり前だったなあ……」


「そうなんですか……でも、この街の建物って石造りじゃないんですか?火事ってそうそう起こるものなんでしょうか」


 天使ちゃんの、もっともな質問。


「石造りなのは教会とか要塞とか、街の中心部だけなんだ。大部分の建物は木も使われてるから火事もたまに起こるよ」


 通常の火事は街の救急隊や冒険者が対処にあたるけど、特に急を要する場合、私個人が駆り出されることもある。


 私は火の賢者。普通の火を消すことなら朝飯前だ。


 一方、強い魔力の籠った火を消すことは難しい。火の根源たる術者を消し去るか、消すように説得するか。


 でも街中で対人滅却魔法を使うわけにもいかないし、私に交渉や説得事は向いていない。この場合、私にできることと言えば周囲の建物や人に防御の魔法をかけることくらいか。


「それでアリーナ。火事はどこの支店?この方向に、そして商会長の娘がわざわざ私を呼びに来てるってことは、まさか……」


 すでに私の家までの片道を全力疾走で来たアリーナは、後ろに束ねた茶髪を揺らし、息を切らしながら答える。


 一応は大商会の令嬢という立場なのに、彼女の服装や立ち振る舞いは町娘のそれだ。気取らないその性格に、子どもだった私はどんなに救われただろう。


「う、うん。それが、レヴさんの所で……」


 まさか、そのような事が起こりうるなんて。


「ば、馬鹿な……神はこの世界を見放したもうたか」


 モルマ・マーケットのレヴ支店で火事。それは本当ならありえないことだった。

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