不幸賢者、天使と世界を道連れにする⑧
ここまで本編第一話です。
「じゃあ、また」
「おう、気をつけてな、そっちのお嬢さんも」
「は、はい、ありがとうございます……」
私達はアモンと別れ、自宅へと戻ることにした。
どうやら私はこの指輪のお守りのことを甘く見ていたようだ。私に課せられた使命とやらを見つけなければ、私だけでなくこの世界が危ないという。それからこの可愛らしい謎の女の子、天使ちゃんも元の世界に帰ることができないみたいだ。
それはそれとして、私は天使ちゃんに聞いてみる。
「そういえば、誰の使いでこの世界に来たの?日本にいる誰かなのよね?」
「ふふっ、それは内緒です。きっと、驚きますよ━」
内緒と言われてはしょうがない。これから一緒に行動していけば、おいおい明らかになっていくだろう。
「天使ちゃん」
「はい?」
「ひとまず、これからよろしく。二人で、頑張ろうね」
「はいっ」
そう頷くと、天使ちゃんは笑って見せた。その優しい笑顔に、なぜだか私の胸が高鳴ったのだった。
こうして突如現れた天使ちゃんと世界を道連れにして、これまで私が貯めに貯めた魔法負債を返済する物語が始まった━
◇◇◇◇
ここは日本のとある空港。人でないものが集まる搭乗ゲート。
「ふしぎな免税店」と名のついた怪しげな屋台が開いているが、空港の利用客はみな素通りしている。まるで、この店が見えていないかのよう。退屈そうにしていた店主が水晶玉の輝きに応じて目を開き、呟く。
「んんんー?あの時のお嬢さんに、少しだけ動きがありますね……長い間、『愛と世界平和の加護』の力だけを使ってくれていましたが、ようやく『きっかけ』がつかめた、ということでしょうか……諦めかけていましたが、これは期待できるかも知れませんね…お嬢さんには、頑張ってもらわないと。世界が彼らによって滅ぼされてしまう前に……」
次回からいろいろ始まります。




