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お父さんの仕事の都合で引っ越したら異世界だった①

よろしくおねがいします。

 私の名前は夢川ユーノ。19歳。10歳の頃に父親の仕事の都合で思いがけず異世界に降り立ち、特別なことは何もしないまま、かれこれ9年が経った。10年目が始まる今日、私の異世界平和を巡る物語はようやく動き出すことになるのだけれど、まずはこれまでのことを語ろうと思う。




━━9年前の春━━


「え?私たち、外国に引っ越すの?」


「ああ、ユーノ。急な話なんだけど、家族みんなで僕の故郷に引っ越すことになった」


 生まれてからずっと日本のある街で育ってきた私にとって、お父さんの突然のその言葉はかなりの驚きだった。


 私のお父さんは外国人で、バイオリニスト。これまで日本の楽団で演奏をしていたんだけど、お父さんのふるさとの街の音楽学校で1年間、教鞭をとることになったのだそうだ。


 それまで、私はお父さんの故郷に行ったことがなかった。お母さんも、一度行ったことがあるだけだそうだ。故郷をしっかりと見せるいい機会だからと、お母さんと私もついてくことになってしまった。



 それから夏の引っ越しの日までのことは大雑把にしか覚えていない。



「将来はお嫁さんになってあげる」なんて子どもながらに将来を誓いあって、お互いに好き合っていた幼馴染の男の子からはおもちゃの指輪のプレゼントを貰った。私からは、確かお菓子作りの本を送ったと思う。別れ際に大泣きしていたあの男の子は、今何をしているんだろう。私のことなんて、もう忘れているに違いない。


 転校の手続きは、お父さんが全て手配してくれた。外国の学校に通うことはもちろん不安だけど、とりあえず基本的な読み書き、聞くことや話すことは大丈夫。家ではお父さんの母国語で話しているからだ。それに、教育のレベルは日本の方が少し上だとお父さんが言っていた。むしろ日本に帰ってから他のみんなに遅れをとらないように、家で自習することのほうが大事だと念を押された。


 それから、引っ越し先の街の予習。街の名は、ネウンベルグというらしい。要塞と教会、それから居住区を城壁が囲む歴史ある街で、観光と商業が盛んな街。名物はハーブ入りのミニソーセージ。人口は他の街より多いけど住んでる人はみな優しく、住みやすいそうだ。


 そしていよいよ、引っ越しの日がやってきた━

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