その7
その7
おい、ネズミども。かくれてないで、出てきやがれ。
な、なんでバレたんだ!?
たいへん、たべられちゃう!?
ネズミたちは大あわてです!だって、カラスは何でも食べますから。フラッコも、ネズミのことを何度も食べたことがあります。
うわあ!もう、おしまいだあ!!とりあえず、年長者の私が食べられます!だから、他の若いのは、ゆるしてやって!!
……いいや。聞きたいことがあるから、食べない。お前たち、そんなにおいしくないし。
なんですと!?こ、この、映画への情熱にあふれる私たちが、おいしくないはずがない!!
ネズミたちは大騒ぎ。自分たちが、おいしくないなんて!?……ネズミのプライドが、その悪口をゆるせないみたいですね。
でも、フラッコはネズミのプライドよりも、気になることがありました。
えいが、といったな?
え?は、はい。我々こそは映画ネズミ。映画の良さを、ずーっと伝えて来た、誇り高きアーティスト!
そうか。えいがを、知っているんだな?見せてくれよ。オレも見たいんだ。
その質問に、映画ネズミたちはかたまりました。
フラッコはくびをかしげます。
どうしたんだ?もったいつけずに、見せてくれよ?
いきなり黙ってしまうなんて、きっと、口に出したくないことがあるんでしょう。
そういうとき、みんなしゃべらなくなるのは、世界が滅んだっておんなじなんですから!