その6
その6
フラッコは考えますよ。イスの向きです。
『えいがかん』のイスは不思議な形で座りにくそうでしたが、全てが前を向いているじゃありませんか!
なら、前にエイガのヤツはいるってことだろう?
ニヤリと笑ったあとで、フラッコの黒いつばさは、『えいがかん』の『前』に飛んでいきます。
そこは、壁でした。期待していたエイガはどこにもいないようですね。
読みが外れたのでしょうか?
フラッコはくびをひねります。すると、『えいがかん』の後ろに、なにか光るものを見つけたんですって!
カラスのつばさがあわただしく、今度はうしろに飛んでいきます。
レンズですね。ワクワクしちゃいます。フラッコは鳥の心に導かれて、その光るものを、くちばしでつつきにいきました。
おい、お前が、えいがってやつか?
レンズは答えませんでした。それもそのはず、もう、その映写機は壊れてしまっていたのです。
古いタイプのものだったので、しゃべることも出来ません。
フラッコは困りました。でも、カラスの目はとても良いものですから、壁のすき間にひび割れがあることに気づきます。
そのひび割れのところに近づいて行って、フラッコはくちばしを叩き込みました。
壁に、大きな穴を開けて、フラッコはその壁の中にもぐりこんでいきますよ?
……そこには、何があるのでしょうか?
真っ暗闇のなかでも、カラスはへっちゃら。だって?カラスだって、まっくろだからですね!
おんなじ色だから、仲が良いのですよ。くらやみさんは、フラッコにどこに何があるのかを、いつだって教えてくれるんです!
ああ、いろんなものがありますよ。
フラッコには、どれが映画なのか分かりません。もっと、エーコにくわしく聞いておけばよかったですね。
でも、話の聞けそうなやつらを見つけます。くらやみさんが、教えてくれましたから。おい、カラス、そこにいるぞ!ネズミどもがな!!