その3
その3
女の子の声は、やがて止まります。
おちついたか?
『おちついたけど……なんで、あんたうえからめせんなの?』
お客さまだからだろ?
『わたしにおかねをくれないヤツは、お客さまじゃないのよ』
また、お金か。フラッコはあきれました。
世界ってのは、終わったんだぜ?だから、そんなもんには、もう意味がないんだぞ。
『……それぐらいは、わたしでもわかってるんだけど。でも、わたしは、そうするのがしごとなの!』
しごと?
意味のない金なんてあつめるのが??
フラッコは知っています。お金の王さまは、うすっぺらくて、ヒラヒラしているさえないヤツです。
あんなもの、集めんなよ。コインのほうが、ずっとよいぜ?
『あれも、おかねなのよ』
フラッコはおどろきました。
そんなバカな!?あのコインが、うすっぺらい王さまの下だと!?ありえん!?
フラッコは人間たちのおろかな仕組みに、おどろきをかくせまんせん。
きゃーぎゃーと大さわぎ!
だって、あの見ているだけで心がワクワクしてくる、ステキなコインたちと、あんなうすっぺらいヒラヒラがおなじだなんて?
しかも、コインよりも、ずっと『えらい』だなんて!!
フラッコには、とても信じられません。
『なんだか、えらくあわてるのね?』
今年でいちばんのニュースだぞ……知りたくもなかった。コインがあんなうすっぺらいのに、おとっているなんて。
『まあ、よのなかはふしぎなものよ』
そーなのかもな。
『おちこまないでよ?ここは、たのしくなるばしょなのよ?』
はあ?なーにいってるんだい。『ぼうくうごう』ってのは、人間たちがケンカするときに逃げてくる、つまんない穴じゃないか?
『そ、それは、あとからそーなっただけで。もともと、ここは、たのしい、『えいがかん』だったんですからね!』
えいがかん……?
フラッコの知らないことを、このバカなキカイは知っているようです。
少しくやしいですが、フラッコは、女の子に質問してみることにしました。