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その25

映画館の客席の下に、フラッコはくちばしで穴を開けました。そこに、映画ネズミは埋められます。

そこでいいのですよ。映画ネズミは、映画館が大好きなんですからね。

さあ。

フラッコ。

雨が止もうとしていますよ。

『……もう、いくのね？』

エーコはさみしそうです。ネズミたちと仲良くなれましたが、初めての友だちが、旅立とうとしているのですから。

うん。でも、青い空を見たら、また戻ってくる。

『ええ。まってるわ。できるだけ、はやくもどってきてね。それまでに、たくさん、えいがをつくっておくから』

楽しみだなあ。あくしょんえいがも、つくっておけよ。

『そうね。そらとぶ、かっこいいやつなら、あてがなくもないから』

へー。さすが、長生きだな。

『うふふ。そうよ、エーコは、ながいきなの。だから、これからつくるえいがは、ぜんぶおぼえて、ずっと、つたえていくの』

そうか。お前もヒーローだな。

『おんなのこだから、ひろいんよ。わたしは、わたしのえいがの、ひろいんなの！』

エーコの映画か。楽しそうだな。

『ええ。ちょこれーとがにあう、さいこうのえいがになるわ。くろくて、そらをとぶ、ひーろーもだしたいから、えいががかんせいするまえに、もどってくるように！』

ああ。エーコのえいがには、オレもいないとね。

『そうよ。だから、フラッコ。いってらっしゃい！あおいそらをみてきて！わたしに、そのそらのことをおしえてね！えいがねずみさんだけに、おしえるのは、ずるだもの！』

わかってるよ。それじゃあ、またな！

『ええ！またね、フラッコ！』