表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/26

その24

その24



映画ネズミはエーコのピカピカ光るあたまの上で、家族のネズミたちに囲まれたまま、死のうとしています。


フラッコは、カラスですから。


役目があります。


なあ、映画ネズミ。オレは、カラスだから。お前を食べて、空に連れていってやれるんだ。


お前は、言ったよな?


あくしょんえいがのヒーローは、空を飛ぶ不死身のヒーローだって。


だから。


オレといっしょに、空を飛ばないか?


映画ネズミは、ニヤリと笑います。


……空飛ぶヒーローですか。それは、カッコいいですね。


ああ、青い空を探して、空を旅するんだ。必ず、オレは見るつもりだ。青い空を、見るよ。


世界が滅びたって、えいがを作るネズミもいるんだ。


この灰色の空の王さまである、カラスのフラッコさまが、青い空を飛べないわけがないってことが、分かったんだ。


だから。


映画ネズミ。オレといっしょに、旅をしないか?


……世界の、いろんなところを見て回れますねえ。楽しいところや、悲惨なところ。寒いところも、暑いところも。


きっと、色々なところを見て回れます。素晴らしいことだと思います。でも。私は……この映画館が、一番なんです。


……そっか。そうだな。ここにいるのが、アンタらしいよな。


はい。ですから、心だけ連れていってください。フラッコくん、君の心に、私を置いていてください。


いつか、青い空を飛んだあとに。この映画館に戻って、私の子孫たちに、空を飛ぶ君の物語を、教えてあげてください。


そうすれば、私は、君といっしょに、世界を旅して、戻ってこれます。そうしたら、また、私たちで…………映画を、つくりましょうね。


その言葉を言い残して、命がひとつ終わりを告げました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ