その2
その2
おおー!!
カラスのくちばしから、歌うような喜びの声がもれてしまいます。
世界が滅びた後だって、カラスはピカピカ光っているものが好きですからね。
そこには、なんだかハデな光でかがやく、キラキラしたヤツがいました!
フラッコはそいつに近づいていきます。
『いらっしゃいませー』
そいつが、女の子の声でしゃべりました。
フラッコはニヤリと笑います。いいたいどだぜ。そうだ、オレはおきゃくさまだー!!
フラッコは黒いつばさを大きく広げていばります!
でも、そいつはだまりこんでしまいます。
『なんだ……どうぶつじゃないの。ヒトかとおもったのに』
女の子の声がそう言いました。フラッコは少し腹が立つのです。
昔ならともかく、今となってはヒトよりカラスのほうがえらいんだぞ!
『なによ、おかねももっていないくせに!』
おかね?
カラスのくびをひねります。
それがないと、ダメなのか?
女の子の声がだまります。フラッコは、こわれちまったか、とボソリとつぶやくと、女の子の声は怒ったように叫ぶのでした。
『こわれてなんていないんだからね!?』
そうかよ。なら、だまるなよ。カンジ悪いぜ。
『あんたが、むずかしいこときくからじゃないの。わたしの、えーあい、あんまりデキがよくないから、きかないでよ!』
なんだ、バカなのか。
その言葉は言ってはいけない言葉のようでした、女の子の声は、しばらく雷のようにうるさくて、やかましかったのです。
フラッコは男の子なので、女の子が本気で怒ったときは、しばらく言われるがままになってしまうんですよ。
だって、口では女の子に勝てないのは、世界が滅びたって、おんなじことなんですから。
『ぼうくうごう』は、しばらく女の子の声がひびきつづけ、フラッコは黒いひとみを閉じたまま、ずっとガマンです。
これじゃあ、外で大雨に洗われたほうが、マシだったかもしれませんね。




