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プロローグ 閉幕/開幕
初投稿です。割と緊張しています。
どうぞよろしくお願いします。
少年は落ちていった。
暗い闇の中、どこまでも堕ちていく。
何も見えない。視界の全てが黒く染まっている。
そもそも光という概念が無いのだから、暗闇になる他無い。
「―――――あ」
少年には解っていた。
此処は心のくず籠。
誰もが持っていて、けれど誰もが見ようとしない棄てられた感情の混沌。
ならば、自分もまた棄てられたのだな、とぼんやり考える。そう、
―――ボクヲ、ミテ
―――ワタシヲ、ミテ
―――オレヲ、ミテ
かつて自分が繰り返していた嘆願。それを同じように繰り返すのは、周りを漂う形無き影達。
彼らも棄てられたのだろう。認められず、ただの一度も顧みられずに。
「―――――ああ」
完全なる闇。物音は一切無い。絶対の死の世界。
少年は最期に、自分を包んでくれた暖かい光を想い出しながら、ゆっくりと目を閉じた。