婚約破棄されたようです。
初投稿で読みずらいこともあるかと思いますが、生暖かく見て貰えると助かります。豆腐メンタルなので感想受付の設定はしてません。ごめんなさい。
「アリシア・ローエンス。ミント・ガーネット第一王女の名においてあなたとの婚約を今ここで破棄します。」
夏の暑苦しい日に何かと理由をつけてばっくれる予定だった夜会に出てみれば、目の前にいる王女様難癖をつけられた。こんなことなら来るのではなかったと本気で思うも、ため息を出さなかったことに誰でもいいから誉めてもらいな、と思いつつあたりを見渡たす。王女の他に令嬢が4人と男が1人。全員身に覚えが、いや一人義妹がいた。それ以外は・・・わからん。王女も実はパーティー以外ではあったことがない。しかもあったとしても挨拶するだけの間から交流そのものがない。それなのにこの子は婚約破棄を何故かした。思い返してみてもローエンス公爵当主である父及びガーネット家当主からもそんな話は聞いたことがない。
ここで、ガーネット家としているのは、この国の王族は複数家存在しているからである。そして、その下に貴族、庶民の順番につづくピラミッド構造をとっている。それは他の王族も同じ。元々中ぐらいの国同士が5つ近くにあり、事務的な、と言ってもいいような小競り合いをしていたらしいが、山を挟んで、この山の小さい国ぐらいの規模がある山脈地帯なのだが、そこがどうやら領地拡大するために攻めてくるらしいと聞きつけた当時の王様たちが危機感に駆られて同盟を組みいつしかそれぞれの国の形をそのままに一つの大きな国を作ったからだ。
ちなみにここガーネット家が納める領土では貴族は、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、一代限りの騎士爵(武勲等で認められれば上爵あり)となっていて、その他、商人、農民、スラム街の住人関係なく住民として認められればみんなまとめて庶民だ。この辺りを鑑みると懐が深いなって思うかもしれないが、あくまで住民と認められるのは物、金の区別なく何等かしらの形で税を納めた人だけ。孤児など保護者のいない、税を納める手段を持たないのは住民、庶民にならない。例えば借金をしてお金が無くなり、年内の税金をすべて払っていればその内は、ひと月分ならその月の内は庶民として扱われる。そして、税金を払えないと当然庶民としての権利をすべて失うというシビアな国だ。他の領地の基準はかなり緩い。俺の知る限り、ラピス家の領地がかなり住みやすいと思う。税はとるけど、兵役を課す等の一部の条件を満たせば税金は免除、実際は給料から天引きされているらしいがそれもごく少額らしい、ので十分に生活は成り立つ。
「聞いているのですが、アリシア。」
堂々と聞いていません。と言いたいところだが、これ以上面倒になりそうなのでとりあえずうなずいた。
「名前だけではなく、行いまで女々しいとは妹としてはずかしいです。」
確かに名前は女性のつける名前だが、母方の爺様の一存で決まったから仕方がない。父の意見? 一応反対派したらしいが、あの爺様相手にそんなもの通じるはずがない。だって相手王族、今は隠居しているとはいえしかも山脈を超えた向こうの帝国の王だったし。母? 母は当時、かわいいから大丈夫、と謎理論でねじ伏せた。そんな母も俺が5歳の時に流行り病で亡くなってしまったからいまのかわいいというよりは少しばかしかっこいいのでは程度の容姿でしかない俺を見たらきっとなんであんな名前にしたのだろうと後悔するだろう。多分する。いや、あの爺様たちを見ると、しないか。
「同じアクアマリン家に連なる者として恥ずかしいです。」
義妹がいうアクアマリンとは王族の一つで父の一応の実家だ。一応がつくのは父が妾の子で継承権がないからだ。そんな状況だからか放浪中に母と会い結婚し、俺誕生。そして、相変わらず放浪していた時に当時のローエンス夫人(当主)と意気投合して養子に入り、ローエンスを継いだということになる。それとさっき義妹が、同じアクアマリン、と言っていたが母が亡くなった後、連れ子同士の再婚なので義妹にはアクアマリン血が入っていいない。そのことを知らないわけではないはずではないのに何故そのようなことを言ったのか不思議でならない。場の空気にでも酔ったのかもしれないと思っていると、
「例え、アクアマリンの血筋だとしても貴様がタケシ・ミツルギにしたことは万死に値する。」
「何も知らない迷い人をいじめるなんて最低。」
「死ねばいいのに。」
騎士服を着た令嬢。次いで同じ顔した令嬢が次々に声をだした。
どうやら男は令息ではなく異世界人であるらしい。
異世界の知識は国を豊かにすることが多いので国によって保護される。きっと彼は、そんな状況で彼女らとあったのだろうと想像していると、騎士服を着た令嬢が急に剣を抜いた。彼は、この状況に勝ち誇ったような表情を強めた。もしかして、嵌められた? と思うと、甲高い金属音がこだました。
フォークの隙間で剣が受け止められているという神業が目の前のメイド服を着た少女。
状況が以上すぎるからだろうさっきまでざわついていた周囲が急に静かになった。今のうちに父、そして、ガーネット家の当主殿に目線を向けるが、二人ともフォークがとても気になるようで目を見開いていた。いち早く意識を戻したのは騎士服を着た令嬢。フォークにでも押負けた。
「誰、貴様。」
「通りすがりのメイドです。」
服装的には間違ってない。間違っていないのだが俺の記憶が正しければこの子は母方の従妹子様、つまり、帝国の姫だ。メイドを従えることはあっても自信がメイドになる身分ではない。ついでに言うと、従妹様が本当の婚約者だったりする。
「シア。なんでここにいるの? あと、それ何?」
「外交の次いで? 後は、乙女の秘密です。」
外交ねえ、と呟くと、そういえば、側室がどうとか手紙が来ていたような気がするが、その関係だろうか。一応、こんなんでも俺未来の皇帝だし。
「見合いの話は全部したから。」
どうやらシアは俺の考えていることがわかるようだ。メイドすごいな。
「ところで、この状況はどういうことですか。」
「それは、「あなたには聞いていません。」」
シアはミントの声を遮るように強めて声を出した。そして、ガーネット王の方をみるが、明確な返答はない。けれど、顔を赤くしメイド風情がという声は聞こえてくる。多分、メイド服についている紋章を見なければ声を荒げている雰囲気だ。国交があったらきっと顔を青ざめているんだろうな。それを表すように、他の王族、ラピスとエメラルドは顔を青くしている。アクアマリンはというと父に、なんとかしろよ、というような視線を送っていた。父は、目を合わせると何かを悟ったように頷いて見せた。うん、これはあてにしたらダメな奴だ。
俺は、ため息を交えつつ、ガーネット家の令嬢曰く、俺が彼女の婚約者らしいこと、それがついさっき破棄されたこと、それが、どうやらそこにいる男になんらかしらのいやがらせをしていま断罪の真っ最中だということを説明した。いやがらせの内容? そんなのきいていないからしらない。
説明し始めたところから怒りをあらわにしたシアは今までに見たことがない笑みをみせた。
「一応言っておくけど、俺も初めてきいたんだからな。」
シアと顔を突き合わせること数秒、剣を振り払うようにフォークを払うと目配せをして幾人かの男女が現れ手際よく剣を抜いた女性を拘束した。
目の前の集団の内一番早くミントが意識を戻し、
「衛兵。」
と、声を荒げた。けれど、シアが、
「動けば帝国が全力をもってお相手します。」
と、一言声をかけ兵士の動きをとめた。そして、埃を払うように服装を整え、
「改めまして、私は、シア・ユドグラシア。ユドグラシ帝国第一王女です。以後お見知りおきを。」
と、言って自己紹介を始めた。
「さて、このたび私は皇帝陛下の命を受け、連邦とよりよい関係を気づくため各王家を回っているのですが、ガーネット家とはよりよい関係を気づくことができないようです。残念です。」
ようです、としているが、きっとこれは決定事項だ。あと、全然残念がっていない。
「参考までに、理由としては、私の婚約者アリシアに牙をむいたからです。」
会場の視線が一斉に俺に集中する。義妹を除いたアクアマリン家以外の人たちは同じように、どういうこと、と言いたげな顔をしていた。アクアマリン以外に俺の出生のことについてしらないのだから仕方がないが、なぜか義妹もそのことを知らないようだ。不思議だ。
「ここまで大事になったからいいますけど、私を生んだ母は帝国の現皇帝陛下の妹。いま帝国にはシア王女含め3人子がいますが、全員女性。陛下は自身と同じ血縁の者を次期皇帝にしたいと考えシア王女と歳が近い私が相手に選ばれた、というわけです。ですから、ガーネット嬢が言うような関係は元々から一切あり得ないことにます。判断は、皇帝陛下並びに父、そして、アクアマリン家の先代及び現当主によって下される可能性が高くなるでしょう。この場でこのようなことをしたのですから勘違いでしたでは済むとは思えませんが、程度のよい言い訳でも考えておいてください。うまくことが運べば情状酌量の余地があるかもしれません。」
「ただし、おじいさまがでてこなければ、だけど。」
シアのつけ足した言葉でここにいる誰もが許されることはないだろうと理解してあたりが氷ついた。
さて、当事者はというと、女性陣は顔を青くし、囲まれている男性は「こんな設定なんてなかった。」等とよくわからない言葉をぶつぶつ言っている。そして、ガーネット家当主の王様は、魂が抜けたような呆けた顔をしてへたりこんでいた。うん、これはダメだな。
「そういうわけだから、アリア。叔父様に挨拶して帰るわよ。」
どうやら俺は、このまま国籍が変わるようだ。
俺は、難癖つけられる前まで話していた友人たちに目を向けた。
「まあそういうことだから、荷物まとめたら帝都に着てね。話はつけておくから。」
「前に手紙で書いた友人だよ。こっちは、従妹兼婚約者。王女様だけどこんな状況だから特に礼儀とか気にしなくていいから。」
「シアです。いつも彼がお世話になっております。手先がとても器用で、農業にとても詳しい方々ですね。」
シアは、俺のことばを受けて名を外して簡単すぎる自己紹介とざっくりと友人たちの特徴と確認した。友人たちには一応他国に婿に言っていたせいか他の人よりは表情が明るいような気がした。
うなずいている友人たちを確認すると真剣な顔をして頭は下げないまでも、「ありがとう」と礼をし、俺もそれに倣うように礼をすると、表情を崩し軽く手を振って、シアを連れて会場を出た。
父? 後片付けをしないで帰るのか、と非難な視線を向けてきたけれど、帰った直後の小言ぐらいは聞こう、と胸に刻み何も見なかったことにした。元は勘違いをした向こうが悪いんだし、俺は悪くない。うん、悪くない、と思う。波風を立てたのは向こうだし。
さて、その後、どうなったかというとガーネット王族はつぶれ領土は近接する王族の領土になった。そして、剣を抜いた令嬢と男性以外は、義妹も含めそれぞれの家から籍を外され一番環境と待遇が厳しい修道院に送られたらしい。剣を抜いた令嬢の家は貴族の位をはく奪され本人は男性ともども未開の地の開拓という名の島流しにあった。心情的に処刑じゃなかったのは気楽だが、未開の地という点で最終的な結果はかわらないかもしれない。そして俺はというと、目下次期王としての勉強中。ついてきてくれた友人たちもそれぞれ工芸や農業といった仕事について新しい技術を学んでいる。話を聞く限りでは悪い話を聞かないのだからそれなりに充実しているのだろう。机の上の書類の山を見るとうらやましい限りだ。
「ため息をつくと幸せが逃げていくわよ。」
「大丈夫だろう。シアがいるし。」
隣の机でお茶を飲んでいるシアの頬が少し赤みを帯びる。それを見て頬が緩むのを感じつつ机の山へと腕を伸ばした。




