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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

想定外な交差

作者: Iburia
掲載日:2016/03/20

これは処女作となってます。

所々に矛盾点や表現力不足が垣間見れますが、最後まで読んでいただくと幸いです。


これを機に、長編や他のジャンルにも挑戦しようと思うので、アドバイスや意見、罵倒でも構いません。なにかコメントください(笑)

 昔々ある山の中に、それはそれは小さな村があったそうだ。そこには子どもが、たったの三人だけしかいなかった。老人がたくさんの中に三人。「タイキ」という一人の男の子と「えりか」、「かなえ」という二人の女の子。この三人だけだった。

 三人だけだったが、男一人に女二人、村人はみな、このうち二人が結婚すれば子どもができ、村はまだ滅びない、そう想定していた。


 これは、彼ら三人が二十歳になった時の話。


 タイキとえりかは、それはそれはとても仲がよかったそうだ。今で言う彼氏と彼女の関係だった。

 しかしある時、彼は彼女に別れ話を持ちかけた。もちろん彼女は断った。そして彼に聞いたそうだ。私の何処がいけないのか、なんで別れたいのか、と。

 彼はすぐには答えようとしない。それは彼女に対する思いやりなのかもしれない。彼女を傷つけたくないという思いからきた。

 しかし彼女はしつこく聞いた。来る日も来る日も追求した。私の悪いところはどこか、どうして別れたいのか、と。

 とうとう彼は口を開いた。あまりのしつこさに耐えかねたのだろう。彼の口からはこう告げられたそうだ。そういうところが嫌いだ、お前はしつこいんだよ、いつも俺に付きまとって、それは愛じゃなくて独占欲だ、もう耐えきれない。今まで溜め込んでいたものを吐き出すように付け加えて言う。お前のせいで俺の人生が狂った、もう二度と、俺の前に現れるな、顔を見せるな。

 案の定それを聞いた彼女は泣きじゃくむ。その場でうずくまる。

 彼も想定していたことだ。嫌いになった理由を話せば、彼女が泣くことくらい。しかしこれでいいと思っていた。こうしてはっきりと思いを伝えたほうが、彼女もきっぱりと別れてくれるだろう。このまま自分のもとから離れていくだろうと。彼女の泣く声が降りそそぐ中、そう信じ、彼女が立ち去るのをただただ待っていた。


 しかし想定していた通りにはいかない。

 彼女は泣き止んだあと、彼を睨みつけてこう叫んだ。私はあなたを愛している、一生あなたを忘れない、私はあなたのそばに居続ける。そういい終わると彼女は山の中に走って行った。

 彼は、この関係がきれいさっぱり終わると思っていた。しかしその考えは甘かった。彼の想定外のことが起きる。彼は肝心なことを考慮していなかった。それは、そう「愛」だ。 

 彼女は彼を心から愛していた。愛していたからこそ、あなたを忘れない、そばに居続ける、こう言ったのだった。

 

 次の日から彼女を見るものは、誰もいなかったそうだ。この小さな村で隠れられるところなんてない。彼女は山に行ったきり、帰ってきていないのだろう。山の中で命を終えたのか、裏切った彼への復讐をする機会を待ち構えているのか、それは誰にも分からない。

 

 彼は後悔していた。彼女にあんなことをいわなければよかったと。しかし同時に喜んでいた。これで自由になれると。もう自分を縛るものはなにもないと。

 彼女はいつも彼に付きまとっていたのだ。彼が、村にいる他の女の子、幼馴染のかなえはもちろん彼女の母親などもだ、と合うことさえ拒んでいた。彼が買い物をするとき、店主が女性だったら店にさえ入ってはだめだと言われる。少し散歩をするとき、向こうから女性が歩いて来たら、道を変えるようにせがまれる。その他にも沢山の約束ごとがあった。全てはあなたを愛しているから。そう彼女は言っていた。

 独占欲と愛を取り間違えていた女とようやく別れることが出来た。彼は心底喜んでいた。そして、彼女との記憶を心の底にしまった。もう二度と彼女のことを思い出さないように、もう二度と誰にも縛られないように。


 それから月日が流れ、彼と彼女が別れてもう半年が経とうとしていた。

 彼の頭の中では、あの悲しく苦しい過去のことは忘却の彼方にあった。そして彼は新しい人と恋に落ちていた。そう、それがかなえだ。

 かなえはえりかとは違った。お互いのことを尊重しあい、とてもとても仲がよかった。彼が他の女と話していようが彼女は怒ることはなかった。それは彼女が彼を本当の意味で愛していたからだ。愛していたから信じられる、信じられるから怒る必要がない。この愛は彼を苦しめることはなかった。


 二人が付き合い初めて半年、彼とあの彼女が別れてから一年が経った。

 そんなある日のことだ。彼女が生きているという噂が村の中で流れていた。食料庫で食べ物を漁っていた姿が目撃されたそうだ。さらには、彼女と彼はまだ付き合っているという噂まで流れていた。当の本人は違うといっていたが、村のみんなは、影で付き合っているんだと噂していた。

 この頃からだった。かなえが彼を信じられなくなってきたのは。


 いくら月日が流れようとも、いまだ噂は流れている。彼と彼女が二人っきりで合っていた、なんてことをいいだした者もいた。もちろん彼は否定する、しかし、かなえの不信感は募るばかりだ。

 

 彼は、温泉に行こうとかなえに誘った。村の噂から開放されたいのもあったし、なにより彼とかなえは、今でいうデートにというものに行ったことがなかったからだ。これで二人の信頼は回復するだろう、そう彼は想定していた。


 とてもとても田舎にある村だから、交通手段は週に一便のバスのみだ。温泉宿もまた遠くの田舎。ながいながい時間バスに揺られ、二人はずっと話をした。

 温泉宿に着いた。一流、とまではいかないが、それなりにいい宿だった。これが初めてのデートであると同時に、村の外にでる初めての機会でもあったのか、二人はとても喜んだ。

 部屋もなかなかだ。和を基調とした部屋で、大きなお風呂まで完備されていた。が、せっかく温泉にきたということで、自然に湧き出たお湯を使用している露天風呂に入ることにした。

 カギは一つしかないので、順番に入ることにする。先にかなえ、あとで彼という流れだ。

 かなえが温泉に浸かるために部屋を出たとたん、彼の携帯電話に着信があった。そこには見覚えのある番号があった。と、いうよりは、登録していた番号だった。もうとっくの昔に消したつもりだったものだ。もうとっくの昔に死んでいたと思っていた。そう、彼女の名前が液晶画面を横に流れていく。

 彼は恐る恐る電話にでた。タイキ、今、かなえと一緒に温泉宿に泊まりにきているでしょう? そこには、今まで死んでいたと思っていたえりかの声があった。

 どうしてお前が生きている? なんで俺に電話してくる? 彼は携帯電話に向かって大きな声で叫ぶ。

 携帯電話の向こう側の声は、当然、といったような声でこう答えた。あの時いったでしょ、私はあなたを愛している、一生あなたを忘れない、私はあなたのそばに居続ける、って。

 彼は怖くなって電話を切った。


 かなえが温泉からもどってきた。彼は何食わない態度でお帰りという。

 今度は彼が部屋を出る。携帯電話は一瞥もせず、倒れと着替えだけを持って部屋を後にする。

 彼が出て行ったことを確認した後、かなえは彼が部屋に置いていった携帯電話を見た。

 かなえは、さっき部屋を出たときに聞いたのだ。彼の携帯電話が鳴る音を。内容までは聞き取れなかったが、確かに耳にした、彼が女性と話しているのを。

 かなえは彼の携帯電話の履歴を見た。そして驚愕した。あの噂は本当だった。彼女は生きている。もう一つの噂も本当かもしれない。彼と彼女がいまだに付き合っているという噂も。

 この頃からだった。かなえが彼を信じなくなったのは。


 彼が戻ってきた。彼女は何食わぬ顔で待っていた。電話のことや、本当の彼の心象について言及することはない。彼の、自分に対する愛を確かめる計画を思いついたからだ。

 

 一週間のこのデートの間で、彼女から電話が掛かってくることはなかた。


 バスに揺られ、村に着く。その後お互いの家に帰った。二人の家は歩いて五分程度の距離にある。

 

 その晩、かなえは決意した。明日の朝、あの計画を実行しようと。彼が本当に自分を愛していてくれているなら、全てはうまくいくだろう。いや、きっとうまくいく。そう思い込みたいのか、彼の愛は本物だ、そう呟きながら眠った。大丈夫、そう想定しながら。


 その晩、彼は探し物をしていた。彼の携帯電話が見つからないのだ。探しても探しても見つからない。だが特に使う用事もない。明日またさ探そう、もう諦めて寝てしまった。このデートは成功だった。二人の愛はこれからも深まるだろう、そう想定しながら。


 二人は別々の思いを抱きながら眠る。二人の間に大きな溝があることも知らずに。


 次の朝、彼の携帯電話に電話が掛かってきた。かなえからだ。携帯電話の通話ボタンを押す。かなえの声が流れる。もしもし、タイキ、わたしよ、かなえ、私ね、見ちゃったの、あなたの携帯電話、彼女と話していたでしょ、私は首を吊って死ぬわ、私を愛しているなら、今すぐ私の家まできて、信じてるから。

 かなえの計画とは、彼の愛を試すもの。彼が今の話を聞いて、自分を愛しているなら、死ぬといっている私を助けにくるだろう、そう想定していた。

 

 この計画は、想定通りうまくいくだろう。彼のかなえに対する愛は本物だから。そう、彼が今の話を聞いていたなら。

 しかし、電話に出たのは彼じゃなく彼女だった。

 彼女はわざと二人が温泉にいるときに電話をかけた。二人の会話を聞いたかなえが、この様な計画をたてるのを想定して。


 何も知らない彼は、自分の携帯電話を探していた。彼女に盗まれたことなんかつゆ知れず、必死に探していた。やはり自分の部屋にないことを確信すると、もしかして、かなえの荷物の中に紛れているのではないかと思った。

 デートから帰ったのは昨日の今日だ。ありえないことはない。

 彼はドアを開けようとした。しかし開かない。いくら力を加えても、開く気配すらない。

 そう、これも彼女がしたことだった。彼を、かなえの家に向かわせないようにするために。

 

 かなえは二度目の電話をかける。彼の携帯電話が鳴る。彼女が電話にでる。

 かなえは無言の携帯電話に向かって話しかける。ねえ、どうしてこないの、こんなに家がちかいのに、ねえ、ねえ、ねえ、……そんなに彼女がいいの、私は死んだ方がいいの、何かいってよ、聞いているんでしょう、ねえ……、わかったわ、ばいばい、今までありがとう。

 彼の携帯電話の前で彼女の笑みが浮かぶ。これも全て彼女が想定していたこと。かなえが死んで、敵はだれもいなくなる、また彼と一緒になれる、そう想定していた。


 ドアがやっと開いた、なんどもなんどもタックルを繰り返したので。彼はかなえの家に向かう。しかし時はもう遅い。かなえが自害したあとだった。

 

 うわあああああぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁーーーーーーー。


 彼がかなえを見る。天井からぶら下がっている。体中の穴という穴から体液が漏れ出す。口からは血が流れている。目からは透き通った水滴が流れている。見るに耐えない光景だ。


 愛していた、そして愛されていた。なのにかなえは死んだ。どうして、ねえどうして。なんどもなんども自問自答する。なんどもなんども宙で揺れるかなえに問いかける。しかし彼には分からない。彼自身が、かなえの心の叫びを聞き取れなかったことを。悪魔のような彼女の想定通りだということを。


 その晩、かなえを失った悲しさと、かなえなしでは生きることのできない絶望感に圧しつぶされ、彼は…………。


 次の朝、彼女は彼の部屋にやってきた。敵はもういない。彼は永遠に私だけの物。私だけが触り、縛り、愛することができる。そのように想定して。


 彼女は彼の家に入る、彼女は彼を見る。しかし彼の眼にはもう、一筋の光も宿っていない。


 どうして、どうして、どうしてなの。彼女は叫ぶ。村中に響くその叫び声は、まるで悪魔のようであった。待っていて、私も後を追うから。タイキ。


 その後、子どもを全員失った村は、自然と消滅してしまったそうだ。その村には、いまだ彼女の叫び声で満たされている。

最後までお付き合いくださりましてありがとうございます。

処女作ですが、いかがでしょうか?

アドバイス等お願いします。

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