7話 娘の婚約者と裸の付き合いをしました。
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「キレた?………フン!無理からぬことだ。助けた上で裏切られ、挙げ句犯罪者扱い……聞いてるだけで忌々しい……それで?その娘は切れて、どうなったんだ?」
私は魔王の発言を聞きながら、必死に表情が崩れるのを我慢した。
なんとか込み上げる気持ちを我慢して話を続けた。
「あぁ……切れた彼女は何もかもが信じられなくなってしまっていた……彼女の家族さえも信じられない精神状態になっていたんだ……」
「精神が崩壊しないだけマシだったな、それほどの扱いをされれば心が死んでもおかしくない」
魔王の意見には珍しく同意できたので頷いてみせた。
「そうだね……ただ、彼女の精神は本当にギリギリの所にあったんだ……そんな彼女を家族は助けようとしたんだが……彼女には届かなかった、通じなかった……。
やがて彼女は鬱憤を晴らすように暴れ回わり始めた。
誰彼構わず、目についた気に入らない奴らに喧嘩を売り、気の済むまで殴り続けた。
時には集団相手に喧嘩を売って、相手全てを病人送りにしたことだってあった……」
「凄まじい娘だな……」
「それでも彼女の心の闇は晴れなかった。何度も警察の世話になり、彼女の両親は何度も頭を下げに行った。そんな両親の姿も彼女を苛ついていたようだ。やがて彼女は両親にも牙を剥きはじめた」
「正に凶戦士だな……」
「両親は必死に耐えた……そしてある日、彼女は忽然と家族の前から姿を消した」
「何!?一体何処に?」
魔王は身を乗り出し、私へと顔を近づけてきた。てっ!骨夫!!お前まで催促するように引っ張るな!!
「取り敢えず、落ち着いてくれ?」
魔王と骨夫は、渋々と離れながらタイルの床へと座り込んだ。
「まぁ端的に言えば、悪い男に騙されたのさ。彼女の力を目を付けた男が『君が必要だ』みたいな彼女が欲しかった甘い言葉を巧みに使ってね……。それから次に彼女が家族の前に姿を現したのは半年後……男の経営してた違法クラブが摘発された際に、用心棒まがいの事をしていた彼女を警察が一緒に逮捕したらしい。
結局、男は彼女が警察相手に騒動を起こした隙に逃げ出したらしいが……」
「結局は利用されただけか……」
骨夫もカタカタと顎を鳴らし、憤り?を表している……ように見える。
「そうだね、そして両親は彼女を迎えに警察まで行ったんだが……そこで彼女はまた暴れ出したんだ……『どいつもこいつも殺してやる』と言ってね」
「自暴自棄……か、騙され、裏切られ、理解者がいない……そうもなるであろう」
「もう……彼女も限界だったんだろう……
両親は必死に呼び掛け、駆け寄ったよ。
彼女は駆け寄る両親を殴り飛ばした。
けど、両親は、すぐに立ち上がり彼女へと駆け寄った。
それを彼女は再び………………」
魔王と骨夫は何とも言えないような顔をしながら話に聞き入っていた。
魔王なりに思う所があるのだろか?
「両親もボロボロになって立つのもやっとだった……それでも彼女へと近寄っていった。
そんな両親の姿を見た彼女は両親に…………
『私達』に向かってこう言った。
『私は普通じゃない!なのになんで、そこまでして私に構うの!!私は……私は……
鬼なんだ!!悪魔だ!!皆を不幸にする……化け物なんだぁ!!そんな私が怖くないのか?恐ろしくないのかぁ?憎くないのか?こんな娘が生まれて後悔してるだろ!』 とね……………………」
魔王は目を見開き、私の顔を凝視してきた。
「彼女とは……まさか?それに……その言葉は………」
頷きながら、私は答えた。
「だから私は言ったよ……
『怖い?恐ろしい?憎い?あぁ今のお前の顔や力は怖いし恐ろしい、だがな…私はそれ以上に家族を、お前を……娘を失う方が何より恐ろしい。家族がバラバラになる方が苦しい。後悔?そんなものはしたこともない!生まれてきてありがとうと感謝しているよ!
娘が憎い?憎む訳が無いだろう?!
憎むくらいなら憎まれてやる!
お前をそうしてしまったのは私達が原因だ。幾らでも憎まれてやる!だから帰って来い!私達も、綾香も繁信も………家族全員が麗香を待っている!!もっと怒りをぶつけたいならもっと来い!!何の遠慮もなく感情をぶつけらこそ家族なんだ!!さぁ来い!!』とね…………。
我ながら青臭かったがね」
話していて非常に恥ずかしかったが、あの時はそれを気にする程の余裕も無く、ただひたすらガムシャラだったんだ。
「その後、彼女……麗香は私達の元に戻って来てくれた。妻や絢香、繁信の助けもあり、あの娘も落ち着いてくれた……」
「義父上……」
カタカタ……
「そしてゲルクルシュ=アッシュノート=ルルシフェル君……私は君に、感謝をしているんだよ」
バスチェアから腰を上げて床に座り込む。
「麗香が家族以外にあんな嬉しそうな顔を向けるのは、あの子が幼い頃以来だ。
それに、先程は麗香の過去の話を聞いて、彼女の為に怒ってくれた。
君は君が思っている以上に麗香から必要とされている。麗香にそんな人?ができたことは何より私達が嬉しいんだ」
「……義父上……我は」
「君は麗香にとって家族だ……そして麗香の家族は私の家族だ……。だから、ここでさっきの答えを言わせてくれ…。私は君の顔、姿、その威圧感その全てが恐ろしい。だけど、それ以上に『家族』を失うことは何より恐ろしい。だから、これからは私達と家族として側で共に麗香を支えてやってくれないか?」
私はそのまま魔王君へと頭を下げる。
「ゲルクルシュ=アッシュノート=ルルシフェル君。娘をよろしく頼むよ………」
娘を………麗香をどうか幸せにしてやってくれ。という願いと、麗香を選んでくれたことへの感謝を込めて。
「義父上……。すまない……試すような真似をしてしまい。そして感謝する。約束しよう 必ずやレイカを幸せにしてやろうぞ」
魔王君はその場に立ち上がり、拳を振り上げながらしっかりと私の目を見据えて宣言してくれた。
「あぁ……頼むよ。とは言っても、やっぱり結婚は一年交際して様子見をしてからだがね」
「ククク……任せよ。まぁ何年経とうが我と麗香の愛は冷めぬと思うがな」
不敵に笑う魔王に、普段なら不安しか浮かないだろうが何故か今の魔王の顔からは強い安心感が感じられる。
良い義息子を持ったかもしれない……。
「ところで義父上よ?まだ背中を流している最中であったな?」
「あぁ……そうだったな、もう自分でやるから別にやらなくても……」
「そうはいかぬ!!魔王に二言無し!我は一度言ったことは必ずやり遂げる!」
そう言った魔王の片手には垢擦りが再度、握られていた。
「そうか……じゃあ頼もうかな?」
「任されよ」
床から立ち上がり、再度バスチェアへと座り魔王に背中を向けた。
まぁさっきも気持ちよかったり大丈夫だろうと考えていた
「クックックッ!ここまで義父上に期待をされているのだ!たかが垢擦りごときで義父上の背中を洗うなど失礼千万!!
ここは我が魔力の出番よ!」
そんな時期もありました。
『魔の力よ我が下に集え!我に従い私の求めに答えよ!水よ我が意思、我が命にを持って全てを洗い流せし、大いなる力を解放せよ!第3位階魔法 水流戟波!!!!!!』
「パパ達遅いね?」
麗香はうつ伏せに寝っころがり、本を読みながら足をバタバタさせていた。
「男同士で親交を深めているのよ」
「なんか、その言い方エロいよマ『ゴガァァン』『ぎいやぁぁぁぁぁ!』………………親交………激しすぎない?」
その日、もう二度と魔王には背中を流してもらわないと深く心に決意した。
会社員 佐沼 健三
Lv:20
称号:【家族想い】【宴席の衛生兵】【不闘不屈】【大黒柱】【企業戦士】【バーコード】
【魔王の父】【死に魅入られし者】【社畜】
HP:170
MP:20
攻撃力【物理】:55
防御力【物理】:70
攻撃力【魔法】:0
防御力【魔法】:10
素早さ:30
知識:230
運勢:$%+*!
装備:【古びたスーツ】【くたびれた革靴】
【名刺】【営業用文房具】【シルバーの結婚指輪】
加護:【魔王の加護】【死霊皇の加護】




