52話 企む者
今回、少し長めです。
時は少し遡り、魔国パドラム魔王城のとある大廊下において…‥……。
1人の少女が機嫌良さそうに鼻歌を鳴らし、背後にもう1人の女性を連れな立ちながら赤い絨毯がひかれた通路を歩いていた。
鼻歌を鳴らしながら、先頭を歩いているのは幼い外見と可愛らしい少女の姿をした存在。
だがその実態は魔王軍四天王の一角であり、『死王』の座に就きし恐るべき存在 リリ=リリメシュリー=リリメーム。
「フンフンフ~ン♪」
その、ご機嫌な様子でリズムにあわせて腕を振りながら歩くリリに、無表情で3歩後を付いてきているのは、彼女の直属の配下であり機甲団師団長であるエル=ムーであった。
「ご機嫌・デスね・マスター」
鼻息を鳴らし歩く主人に対し、エル=ムーは無機質な声で話掛けた。
「んっ?んっ?それは当然だよ、エルちゃん。何せ異世界に関する詳しい話を聞けたんだからねぇ!おかげで色々と知ることができたよ!」
よっぽど機嫌が良いのか、リリはその場でクルクルと回り始めた。
リリが回る事で、遠心力により彼女の着ているブカブカの白衣の袖が振り回されて、エル=ムーの鼻先を掠めているが、エル=ムーは一切の反応も見せなかった。
「ハルン様・に・感謝を・すべき・デスね」
「そうだねそうだね。というか、ハルンくんもハルンくんで案外すんなりと喋ってくれたから助かったよ。ガルハダの部下だから、もう少し口が固いかと思っていたんだがね」
やがて満足して立ち止まったリリは、顎に手を当て思案顔となり、何かを考えるポーズをとった。
「流石に・各団長達からの・視線・がある・逃げ場の・無い・場所で・あれば・話さざるを・得ないと・判断・したのでは?」
「アハハハハハハ!確かにそうだね!あの場で話さないのは、よっぽど覚悟が決まっていないか空気を読めない奴だよね」
するとリリは今度は再びニコニコした笑顔となり、再び前へと歩き出した。
「それに・何よりも・立場を・擁護し・弁明する・機会を・与えてくださった・マスターに・応えるべきと・判断したのが・大きいと・考えます」
あの後ハルンは、リリの質問に答えて異世界で何が起きたのかを皆の前で話すこととなった。それを聞き終わった彼女は『僕達が知らない未知なる異世界で起きた事だから、多少の不手際は仕方が無い』と結論をつけて、各団長を納得させたのだ。
この判断に、各団長達も上からの判断なので渋々ながらも、納得せざるを得なかった。
おかげでハルンはお咎め無しとなり、リリに借りができることとなり、会議が終わった後もリリによる異世界の質問責めにあったが、借りがあるため答えぬ訳にいかず、洗いざらい話してしまったのだ。
中々に律儀な男ハルンであった。
「まぁね、まぁね。まぁ、その為に君に仕込みをしてもらったんだからね」
ニヒヒと悪戯が成功した子供のような顔でリリは笑いながら、エル=ムーへと振り返った。
「個人的に・脅すのでは無く・敢えて・他の団長の前で・ハルン様・の・失態を・発表し・逃げ場を・無くし・その・窮地を・救い・恩を売ることで・喋らせる・…‥・全ては・マスターの・思惑・通り・デスネ・感服・致します」
「だろだろ?まぁ、個人的に脅したりしたら、仮にもガルハダの愛弟子だから、その場で何か対策を練って嘘を言われるかもしれないけど、他の面々を前にして恩を売れば律儀な彼は本音を喋ってくれると考えていたからね♪」
リリは、頭が良く策謀に長けたハルンではあるが、彼が何かと恩義等の感情に些か弱い性格であることを読んだ上で、今回の芝居を画策し、会議直前にエル=ムーへと念話魔法で作戦の内容を通信して伝え、彼女に合図を出した時にハルンの暴露話をするように指示したのだ。
つまり、最初にリリが来たことに驚いた様子を見せていたエル=ムーであったが、既にリリが会議に来ることを知っており、その時から彼女達の芝居は始まっていたのだ。
そして、会議が終盤に差し掛かった時に、リリからの合図…‥……そう『僕の指示通り』と言ってきたのを受けたエル=ムーは、正に言葉通りに行動を開始したのだ。
「全ては・マスターの・作戦通り・デスネ」
「だねだね。だけど、恐らくはハルンくんはアレが僕達の仕込みによる演技だとは気づいていたね」
「分かっていて・話して・いたと?」
リリの言葉に、無表情ながらもエル=ムーは驚いたように声を発した。
「まぁねまぁね。あれでもガルハダの直近だからね勘づいてはいただろうね。だから本当は、他の団長達に情報を流して暴露してもらってから助け船を出すのが一番だったけど…‥そんな仕込みをする時間もなかったしね。まぁ、逃げ場を無くしたとはいえ、一番は彼が思ったよりも律儀だったということさ♪」
リリは何故か楽しそうな笑顔を見せた。
「そうですか・所で・ハルン様は・今回の・顛末を・ガルハダ様に・伝えるのでは?」
「そうだねそうだね。少し見てみよう…‥……よっと!」
そう言ったリリは、自分の左目に指をあてたかと思えば、なんとコンタクトレンズでも外すかのように自分の目玉を抉り出した。
「さてとさてと…‥……確か…‥……ここに…‥……あったあった!」
そして何事もなかったかのように抉った目玉を白衣のポケットにしまうと、反対のポケットを探り、中から黄色をした卓球の球程度の大きさのミラーボールのような玉…‥……正確には昆虫の複眼の眼球を取りだし、あろうことか空となった自分の左の眼窩へと押し当てて入れてしまったのだ。
『手軽簡単即興手術』
リリの持つ、固有スキルであり、自分だろうが他人だろがあらゆる肉体を素手で自在に手術・改造することができる恐るべきスキルである。
リリは、そのスキルを使い、とある魔物の目玉を自分に装着したのだ。
「えっとえっと…‥おっ!見えた見えた!今、正に通信水晶で報告しているよ!」
左を瞑ったリリが、まるでハルンの今の様子が目の前で見えているかのように伝えてきた。
いや、見えているのだ。
正確には、自分の目では無く『他者』の目を使って見た映像が彼女には見えていた。
『女王隷属者の眼』
Aクラスの魔物である紅鬼蜂の女王が持つ魔眼の一種であり、自身の眷族達が見た映像を、眷族の目を通して視ることができる魔眼であった。
この魔眼は、本来は紅鬼蜂の女王の自分の生んだ子供である眷族にしか作用しないものであるが、リリが装着することにより彼女が生んだ眷族…‥…つまりはリリが生み出したアンデット達に効果が適用され、彼女が視れる範囲は膨大なものとなっていた。
特に、超小型の蚤や羽虫などの魔物をアンデット化した偵察用の者達は、あらゆる場所や人物に気付かれることなく潜むことができ、彼女はあらゆる秘密や情報を得ることができたのだ。
リリは今回もその魔眼を使い、ハルンへと忍ばせた眷族から視た映像を左目で見て、異世界の存在や彼の失態を知ることができたのだ。
ただし、今回のような異世界などは流石の魔眼も圏外らしく、向こうの映像を視ることはできなかった故に、異世界の情報を仕入れる為に、回りくどいが今回の作戦が実行されたのだ。
「やはり・ですか・ガルハダ様は・直ぐに・何らかの・動きを・見せるの・では?」
「暫く暫くは無いだろうね。アイツは今は聖王国よりも厄介な西の帝国との境界線で対応に追われて動けないだろうしね。なんらかの連絡はあるかもしれないけど、暫くは適当にはぐらかしていればいいよ」
同じ四天王であるガルハダが、現在は動くことができないことを理解しているリリは、手をヒラヒラとさせながら、暫くは大丈夫だと伝えた。
「そうですか・ですが・他の・四天王・の・方々・にも・今回の・異世界・の・件は・話が・流れる・の・では?そうなれば・何らかの・動きが・アルの・デハ?」
「そうだねそうだね。まぁザイールは魔王様が僕への牽制も兼ねて一緒に異世界に行っているけども、脳筋だから異世界の有用さにも僕の考えも理解できないから動くこともないし、姫ちゃんはポワポワしてるから僕が泣きつけば動かないし…‥…注意すべきはガルハダだけだけど、彼はさっき言った通りだしね」
そう言って各四天王も動くことは、暫くは無いだろうとエル=ムーへと伝えた。
しかしエル=ムーは、その事よりもある言葉の方が引っ掛かっていた。
「マスター・魔王様による・牽制・と・いうのは・どういう・事・でしょうか?」
そう、先程リリは、ザイールが異世界に魔王と赴いたのは『牽制』であると言ったのだ。
「んっんっ?あぁ、その事かい?最近の魔王様は頭の中がお花畑になってはいるが馬鹿じゃないからね。しっかりと僕の事については気付いているよ」
「まさか・マスターの・思惑に・気付いて・いると?」
その事実にエル=ムーはいつもの無表情な顔に若干の険しさを見せた。
「あぁあぁ、当然に勿論気付いているさ。僕が新たなる魔王の座を狙っていることにね♪」
リリはとんでもない事実を述べながらも、いつもより楽しげな悪戯を考える子供のように語った。
新たなる魔王の座…‥……つまりリリは今の魔王を倒し、自身が新たなる魔王として君臨することを狙っていたのだ。
一見、荒唐無稽な事を言っているようであるが、リリは何も無謀な事を口にしている訳ではなかった。
なぜならば、リリは既に次代の魔王候補の座である四天王という立場に就いているからだ。
四天王…‥……それは、ただの魔王直属の側近という訳ではなく、次代の魔王候補達を示す称号でもあるのだ。
人間の国などでは血脈を重視し、国王が王位を退いた際には、その息子などが次の王位に就くことが習わしとなっている。
しかし、魔族達は血脈等にこだわる事はなく、ただただ『強者こそが全て』という強者至上主義を持っており、強者こそが国を率いるべきと考えている。
その為に、何らかの理由で魔王が王位を退いた際には、魔王の次なる強者の四天王である4名が王座継承を賭けて争い、勝った者が王位を引き継ぎ、新たなる強者が四天王となるという血よりも実力を優先する方式を、初代魔王の時代より続けてきている。
事実、現魔王であるゲルクルシュも、魔王となる前の先代の時代は四天王である『死王』の座に就いており、先代が崩御した後の跡目争いでは、自ら王位継承の座を退き姿を消した1名を除いた他の四天王2名を倒し、今の魔王の座に就いているのだ。
故に、リリは魔王の座に近い位置におり、現魔王に何かあれば間違いなく魔王候補として他の四天王と争うことは間違いなかった。
そして、リリはそんな魔王の座が今直ぐにでも欲しいと、強い野望を胸の中に秘めていた。
リリは一見すれば幼い容姿の子供であるが故に軽視されることがあるが、その中身は現魔王と同じくらいに存在し続けている異形なる者である。そして、その外見と普段の無邪気な雰囲気とは裏腹に、強い欲望を宿した野心家でもあった。
いつ自分がこの世界に生まれ落ちたのか、それは当人であるリリですら分からないことであるが、1つだけ分かっているのは自分が圧倒的強者であることだった。彼女は自身の存在を認識した瞬間から、自身が強大かつ強力な魔力とスキル、そして高い知性を持っていたのだ。
そして、その力を振るい、自身に逆らう者を殺し眷族とし戦力を増やし、時には自分以上の強者にすら知恵を使って倒し名を広め、強者至上主義である魔族の世界き生き抜き、現在の魔王軍四天王の座にまで昇りつめたのだ。
しかし、それでも彼女は飽きたらず、魔王を打ち倒し次なる魔王の座に就くことを望みとしていた。
しかし、リリは何故にそこまで高い上昇意識を持っていたのか?
それは彼女の性格故の単純な理由であった。
『自分より上に誰かがいるのが許せない』
ただ、それだけの子供のような理由であった。
誰しも子供の頃は、そう考えた事がある筈だ。自分が一番であり、自分こそが世界の中心であると思うことがある。
だが、大抵の者は、その思いは成長し世界を知っていくことで小さく薄くなり、やがて消えていき大人となる。
しかし、リリは賢く長けた頭脳はあれど、その内面の本質は外見と同じ幼いものであり、変わらぬ外見と同じく中身も変わることはなく、子供のような思いを抱いたまま今に至り、上には誰もいないであろう頂点なる存在になりたい…‥……そんな理由で本気で魔王の座を欲っしていたのだ。
「魔王様は魔王様は、僕が随分前から魔王の座を狙っていたことには気付いているようだよ。だからか良く僕を遠ざけている節があるよ。寝首をかかれるのがよっぽど嫌らしい」
フフフと笑いながら一呼吸置いた後、リリは話を続けた。
「今回も今回も、異世界の門を開いたことは僕には知らされてなかったし、開いた際にはザイールを連れていっていた…‥……この理由は分かるかい?」
リリからの質問に、エル=ムーは無言で首を横に振った。
「分からない分からないかい?魔王様はね、部下達がいない異世界で、僕に襲撃される事を恐れているんだよ」
「襲撃を・恐れて・いる・デスカ?」
「そうそう。だってさ、異世界ではこっちと違って守ってくれる部下が常にいる訳でもない。それに連れていける部下も限られている。だから僕に何も教えなかったし、襲撃されても対応できるように、わざわざ四天王の中でも信頼できるザイールを伴って行ったんだよ。案外肝の小さい事だね♪」
ケラケラと笑うリリに、エル=ムーは些か疑問を持った。
「しかし・魔王様・で・あれば・部下・が・いずとも・独力で・迎撃・も・可能・なのでは?・それに・今では・レイカ様・という・パートナー・も・おりますし」
当然の疑問である。魔王は最強故に魔王なのだ。加えて魔王と同等の力を持つ麗香もいる。だといのに、いくら四天王とはいえリリに対して魔王がそこまで恐れる理由が分からなかった。
「んっんっ?あぁ恐れいるというのは僕自身の実力のことじゃないよ」
「と・言います・と?」
何を言っているのか分からないといった様子のエル=ムーが、無表情で小首を傾げた。
「魔王様魔王様が、恐れているのは自身のことよりも、向こう側…‥…つまりは異世界にいるレイカ様の関係者の身だよ♪僕が向こうの人間達を巻き込み被害が出ることを恐れているんだよ♪」
エル=ムーは更に意味が分からなくなり、首をグルングルンと回転させた。
「おいおい落ち着きたまえよ。要するに、向こうはこっちと違い自由に動かせる部下が少ないから守りに付かせられない、その上に非戦闘員たるレイカ様の身内が大量にいる。そんな中で僕が襲撃をすれば?」
「恐らくは・関係者の・身の・安全を・優先・すると」
「そうそう、そうなる。向こうは魔王様もレイカ様も関係者を守ろうと防戦一方になり、僕は何も気にしないで自由に暴れまわれるって訳だよ♪だから魔王様は僕に異世界のことも教えずにいたんだよ♪弱みを握られるかもしれないからね」
リリは、やれやれと呆れたような顔をしながら溜め息を吐いた。
「レイカ様は人間だから当然として、前々から感じてはいたけど、今の魔王様は魔族らしくなく、どうやら血縁だの身内だのの家族の情?みたいなものに弱いらしい」
スッと目を細めたリリは吐き捨てるように呟きだした。
「本当に本当に下らないね、守るべき荷物が増えたせいで付け入る隙ができて弱体化しているというのにね。まぁ、お陰でこちらはやり易いけどね」
エル=ムーは、首の回転を止めて前に行くリリの背へと視線を戻した。
「なるほど・という事は・今が・攻め時・であると?」
「まぁね、まぁね。とはいえ真正面から魔王様に向かうのはリスクが高い愚策だからやらないし、本当に向こうに弱みとなる存在がいるかも分からないから手を出せずにいた…‥……先程まではね♪」
そう言うと、リリはニンマリと笑いながら、ある扉の前で立ち止まった。
「前々から眷族の目を通して様子を見ていたんだけど、確たる確証を得ることができずにいた…‥けど、今日のハルンくんの話で確証を得ることができた…‥……ここ(・・)の向こうには魔王様達の弱みとなる存在…‥…レイカ様の家族がいる」
そう言って見上げた前にあるのは、黒を基調とし、所々に金で細工をされた豪奢な…‥…それは、転移門が設置されている部屋の扉であった。
「この先に・転移門・が・アリ・それを・越えた先には…‥……」
「そうそう異世界がある」
リリ達は、魔王城の魔王とごく一部の者達しか立ち入りを許されないフロアへと侵入し、この部屋まで無許可でやってきたのだ。
そして、その扉に手を掛けながらリリは、これから悪戯をする子供のような無邪気かつ、悪魔のような邪悪さを宿した笑顔をした。
「今日は今日は正に絶好の日だよね?ハルンくんから確証を得た、魔王様もレイカ様も不在、ガルハダや邪魔をするような奴等もいない…‥……今ほど異世界へと立ち入れるチャンスの日はないだろうね♪」
リリは正に今日この日、魔王の座に就く為の第一歩として、異世界へと向かう決意をしていた。そして異世界に向かう理由は…‥……。
「僕は僕はこれから異世界に向かって、レイカ様の関係者…‥…家族達を確保してくるよ。魔王様と争う時に良い手札になるからね」
確保…‥…つまりは麗香の家族を人質に取り、拐うという事であった。
「それにそれに、ハルンくんの話では、異世界には魔王様に傷を付けて圧倒する存在がいるらしい。それも調べてきて上手く僕の友達にすることができれば、今後の魔王様とや 王位継承戦で戦う四天王戦で有用な戦力となるね♪」
更には、異世界にいる魔王に傷を付けたであろう謎の戦力…‥…これもまた、リリが偵察用の眷族で魔王のボロボロの姿を視た時から、欲っしてやまないものであった。
「プフフフ♪まさかまさか、魔王様も自分が開かせた転移門が、自分を追い詰めることになる切り札となるなんて思わないだろうね♪」
これからの事を想像しながら、ニヤニヤと笑い扉のドアノブをスリスリと撫でたリリであったが、突然『バチっ!』という音と共に、その手が弾かれた。
「おやおや?結界だね?しかも第6位以上の上級結界が多重に施されているね?恐らくは中の転移門にも、施錠だの限定だのの妨害魔術があるんだろうなぁ、困ったなぁ」
困った困った腕を組ながら、項垂れるような姿勢となったリリであったが、直ぐに顔を上げてニンマリと笑った。
「な~んてねてね♪じゃ、エルちゃんよろしくお願いねぇ♪」
そう言ってリリは脇に退けると、背後に控えていたエル=ムーが前に出てきて扉の前に立った。そして、おもむろに両手を上げると、その指先がガシャガシャと変化していき、まるでピッキングツールのような形状になっていた。
「これより・解錠・及び・魔術・回路・への・侵入・作業を・開始・します」
そう言うと、エル=ムーは扉にかけられていた結界へと変形した指先を当てながら、解錠作業を開始しだした。
そのエル=ムーの姿をリリは背後でニマニマと笑顔で見守っていた。
「プフフフプフフフ!この程度の結界で、僕が造ったエルちゃんの魔術回路無効機能を阻めるわけがないだろうに!!」
リリの言うとうり、扉に施されていた上級の結界の魔術が、まるで薄紙を剥がす如くエル=ムーによって無公化されていった。
「楽しみだな楽しみだな♪向こうの人間を僕が確保したら、魔王様達はどんな顔をするかな?怒るかな?悲しむかな?慌てるかな?絶望するかな?あぁ楽しみだな楽しみだな!!」
歪んだ思想を隠すことなく高らかに口にするリリは、興奮で僅かに頬に赤みが差し、妙な色気すら出ていた。
「魔王様の魔王様の弱みを利用して魔王の座から引きずり降ろし、他の四天王を打ち倒し僕が…‥……僕が真なる魔王となる…‥……あぁ本当に楽しみだな♪」
今後の未来に自分が魔王となり、自分の理想とする国を造る…‥……そんな妄想を思い浮かべて、リリは益々興奮した。
「あぁあぁ♪本当に楽しみだな♪」
やがて、エル=ムーにより扉は解錠され、更に転移門の陣の魔術回路へと侵入操作をした彼女の手によって、1体の歪んだ悪意が異世界へと送られることとなる。
対魔術式戦略人造魔導機構兵 エル=ムー
Lv:500
称号:【機械戦士】【人造生命体】【忠義者】
【大規模破壊兵器】【魔術師殺し】【冷酷ナ者】
HP:45000
MP:最大10000まで搭載可能
攻撃力【物理】:2800
防御力【物理】:3500
攻撃力【魔法】:2500
防御力【魔法】:3000
素早さ:2000
知識:1500
運勢:200
装備:随時必要な物を搭載・装備している。




