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9話 娘の婚約者が張り切ってしまいました。

ご意見・ご感想を買い手いただければ、大変ありがたいです!

「じゃあママ、今日は有り難うね」


「今日くらい泊まっていけばいいのに……」


  佐沼家の玄関で、帰り支度をする娘 麗香に対し、母 秋子が別れを惜しみ、泊まっていくことを勧めていた。


「うーん……ごめんね。本当は泊まっていきたいけど……明日早くから外せない用事があるから帰って準備もしなきゃいけないの」


  麗香も心から残念そうにしながら、母へと断りを入れている。


  本人も久しぶりに実家でゆっくりしたかったのだがと、ため息を吐いていた。


「まぁお仕事?あんまり無理しちゃ駄目よ?仕事よりも体を大事にしなさい」


  その声や顔から、本当に娘の心配をする親の愛がありありと滲み出ていた。


「ママ……ありがとう。次は絶対に泊まりに来るから!それか我が家に招待するら!」


「あらあら?そう言えば魔王さんと一緒に住んでいるんでしょう?どんな自宅なのかしら?政治家さんだから、凄い豪邸なんでしょうねぇ」


  そんな母の言葉に、娘 麗香は暫し思案する。


「う~ん……何て言えばいいかなぁ?一言で言えば……1SDK……かな?」


「1SDKサービスルーム・ダイニング・キッチン?それじゃあ狭くないかしら?」


「えー?1SDK《城・奴隷・国》だよ?それで狭いって……。ママって結構理想が高い?」


  訝しげに聞く麗香に、母 秋子は胸を張り答えた。


「女はいつでも現状に満足せず、理想を高く持って邁進するものよ。……でも不安になってきたわぁ……。魔王さんが政治家だって聞いたから安心してたけど、そんな所に住んでいたなんて…意外と倹約家かしら?」


「さぁ?でも参考になったわ!ママの言う通りね!私も見習って現状(魔界制覇)に満足しないで理想(世界完全制覇)に向けて頑張るわ!!次はもっと大きい場所に住んでみせる!」


「よく言ったわ!それでこそ私の娘よ!」


  話が噛み合っているようで、噛み合っていない二人の会話を止める者はいなかった。


  尚、二人の夫・彼氏である健三と魔王は、麗香をトラウマから守るべく、己を犠牲とした結果として凄まじいトラウマを逆に植え付けられるという悲惨な目に合い、現在は生ける屍と化して二人の背後に佇んでいた。


「ホラ、お父さん!いつまでもボーとしてないで麗香を見送るわよ!」


「魔王くんも戻ってきな!帰るから挨拶するわよ!」


  二人は、ほぼ同時に互いのパートナーの裾を引っ張り覚醒を促した。

 

「ひっ!や、止めろ骨夫!私はまだ……」


「や!て、手甲はなしだぁぁぁ……」


  「「何寝ぼけてるのよ」」


  バシンッ!!!


「「イダ!!ハッ?ここは?!」」


  覚醒すると同時に、二人は叫びだしたが、パートナーの女傑二人によって頭をはたかれて、暫し混乱しながらも現実の世界へと戻ってきた。


「ほら、お父さん。麗香が帰るわよ?」


「えっ?何、帰る?今日は泊まっていけばいいじゃないか?」


  現実に戻って来たばかりで現状を把握しきれてはいないが、健三は妻と同じく麗香に泊まることを勧めてきた。


「そのくだりは、もうやったよ。明日は用事があるから早めに帰るんだ」


  麗香はクスリと笑いながら父の提案を、やんわりと断った。


  健三は不服そうな顔をしつつも、渋々と麗香に従い、それ以上は何も言ってこなかった。


  そんな父親の姿を見るだけで、麗香は愛されているんだなぁと実感することができた。





 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


【健三視点】


  先程まで綺麗な花が咲き誇る花畑で、骨夫に追われていた筈だが……?


  あいつ「鎌は危ないからしまえ!」って何度言っても嬉々として振り回していたからな……。


  ってもしや、あれって臨死体験ってやつか?

 

  そういえば骨夫に追われる前に何かあったような……?


  駄目だ!!頭の中からガンガンと痛む!

  自分の中の何かが思い出してはいけないと訴えかけてくる?!


「ほら、お父さん。麗香が帰るわよ?」


  ハッ?何だ突然?麗香が帰る?いや、麗香の家はここ……あっ!今は魔王の所に住んでいるのか。

  しかし、今日くらい泊まればいいだろう。


「えっ?何、帰る?今日は泊まっていけばいいじゃないか?」


  一応は提案をしよう。

  もしかして変に気を使っているのかもしれないしな。


「そのくだりは、もうやったよ。明日は用事があるから早めに帰るんだ」


  むっ……用事があるならば仕方があるまいな。

  私の我が儘で、麗香に迷惑をかける訳にもいかないしな……。


「分かった。今後来るときは、泊まれるくらい余裕を持ってきなさい」


「うん、次は泊まっていくから。それと、お母さんには言ったけど私達の家に今度招待するから!いいよね魔王くん?」


「んっ?あぁ構わん、部屋なら腐る程あるからな」


  招待してくれると言う娘の提案を嬉しく思うが、魔王の住んでいる家ってことはイメージ的には『魔王城』ではなかろうか?

  部屋が腐る程あるって言うから間違いないだろう。


「魔王さん…あんまり誇張は良くないわよ?」


  突然、妻が魔王を諌めるように語りだした。


  一体どうしたのだ妻よ?


「誇張……とは?」


「余り自分を良く見せようとするのは感心しないって事よ?さっき麗香から聞いたけど、あんまり良いお家に住んでないみたいね?」


  おい、妻よ!それはないぞ!多分、一戸建ての我が家よりも立派だと思うぞ?


「う……む?良い…家?」


  ほら!魔王も困惑しているぞ!


「そうよ。もしかして政治家だから余り家には帰らないのかもしれませんが、麗香が…家族が住む家を1SDK程度で済ませるなんて、私は許せないわ」


  1SDKとは何だ?麗香よ…一体妻に何を吹き込んだんだ?ここまで説教をする妻は初めてだぞ。


「ムゥ…つまり今の我が居城では、麗香は不足ということか?」


  ホラ!今、居城って言った!城だよ城!


「えぇ。私は麗香の母として、娘をそんな小さな場所に押し込めておくような事は許せません!ですから魔王さん、これだけは言わせてもらいます。

  今すぐとは言いません、ですが男ならば現状に満足せず、更に前に進んで行き、自分の妻を十二分に満足できるような自分だけの城を建ててみせなさい!!」


  何を言っているんだ妻よ!

  だから魔王はもう城を持っているんだよ!

  これ以上どうせようってんだ!


「義母上よ…その話…よく分かった」


  あれ?魔王…なんか目元が潤んでいるような……ってまさか!!


「義母上よ!我が間違っていた!そうであった!我は何を満足していたのだ!我の居た場所は終着点ではない!まだまだ先があるのだ!目が覚めたぞ!!」


  魔王が何か感激しだしたぞ……。


  あぁ駄目だ。これは駄目だ。

  私にはもう止められない流れだ。


「麗香よ!待っていよ!我は我に……いや!麗香!お主に恥ずかしくない城を建造し贈ろうぞ!!」


「魔王くん……」


  麗香……魔王…甘い雰囲気を出しているが、これってまさか……。


「フフ……分かってくれたようね魔王さん。

  もう私から言うことは無いわ。いえ……一つだけあったわ。

  魔王さん……頑張って!!」


「任せよ!!我は必ずや世界を支配し、過去未来に類を見ぬ最大に最上の城を建造してみせようぞ!クハハハハハハ!!」


「魔王くん!私も頑張るわ!」


  まだ見ぬ異世界に住む方々よ……先に言っておきます、申し訳ありません。


  思いもよらず、我が妻が魔王を焚き付けてしまいました。


  自宅に招待された時が今からもう怖いです。


  この後、昂った魔王と麗香は「今度連絡入れるね!」と言って、揃って異世界の魔王城へと帰って行った。


  どうやって帰ったかって?


  何か近くの駐車場にブラックドラゴンを停めていて、それに乗って帰るというから車の名前かな?と淡い期待を持って見に行ったらマンマでした。


  魔王に気を取られていて、気がつかなかったが付近の住民には避難命令が出ていたらしく、機動隊や自衛隊が出てくる騒ぎになっていました。


  魔王と麗香を乗せたブラックドラゴンは、無理矢理に包囲網を破って空の彼方へと消えていった。


  最後まで、色々とバタバタしたが、最後に二人にはしっかり注意しておいた。

 

「次からブラックドラゴンは止めなさい」

死霊皇 ガシャコック=ハーデス

Lv:999

称号:【冥府の皇】【魔神殺し】【魂ヲ導ク者】

【不死者】【隠者】【虐殺者】【地獄ノ覇者】

HP:@:*[?/.\.&

MP:%$#;+&?

攻撃力【物理】:%$#%@

防御力【物理】;&@?*#$

攻撃力【魔法】;%$#*+&

防御力【魔法】:@?*#$@

素早さ:@$&#%+

知識:%+#&$?*

運勢:?*%$&#


装備:【魂神の黒衣】【冥王の鎌】【冥府の書】

【審判の秤】【霊操の指輪】【死ヲ招ク指輪】

【災害ノ珠玉】【健三のパジャマ】


加護:必要無し

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