表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
縁結び屋  作者: 有寄之蟻
2/3

二。別れて欲しくないO美さん







昼。


ファミレスの一角で。


今日のお客様は、制服姿の女の子でした。


ノンフレームの眼鏡をかけていて、ショボンとした眉毛にへの字の口。


膨らんだスクールバッグを横において腕を組み、不機嫌な様子です。


「・・・あの、これから話す事は誰にも言わないで欲しいんですけど」


「はい。お客様の事情は第三者には決して口外しませんので、安心してください」


"縁結び"は人に知られると効力が落ちるのと、その動機などは個人情報になるため、幾つかの例外を除いて誰かに話す事はありません。


「・・・じゃあ、えっと話すけど。・・・わたしのお父さんとお母さんが・・・最近、ケンカばっかしてて」


仮名O美さんは、とても言いにくそうに始めました。


「最初は、わたしのいないとこでケンカしてたけど、だんだん多くなって、わたしの前でもいつも怒鳴りあって・・・この前っ、り、離婚する、とか言い出してっ」


「O美様、落ち着いてください」


興奮して、声が大きくなっていくO美さんをなだめます。


さっと周囲を見ると、何人かが目をそらしました。


「あっ・・・ごめんなさい。・・・それで、わたし、イヤで・・・イヤだから、お父さんとお母さんと一緒にいたいし、別れて欲しくないし、ケンカ、しないでほしくて・・・」


「つまり、お父様とお母様の縁を結びたいんですね?別れないように」


「そう!そうなの!」


「O美様」


「あ・・・ごめんなさい」


また周囲を見渡して、こちらに注目してる人達の視線を散らします。


「そうですね・・・。でしたら、O美様のお父様、お母様、そしてO美様の三人を「縁」で結びたいと思います」


二人以上結ぶのは珍しいですが、"縁結び"に人数制限はありません。


「わたしも・・・?なんで?」


「この場合、O美様のご両親に別れてほしくない気持ち、ケンカせず仲良くしてほしい気持ちを届けますので、O美様とご両親をそれぞれ「縁」で結び、ご両親がO美様の想いに応えれば、おそらく離婚は防げると考えられるからです」


「そーなの?・・・よく分かんないけど、それでお父さんとお母さんが、り、離婚しなく、なるなら、それでいいよ・・・」


という事で、契約書、誓約書をまず書いて頂きました。


預かった写真は家族写真だったので一度持ち帰り、加工してO美様、お父様、お母様に分け、O美様とお父様、O美様とお母様それぞれの御守りを造り、お渡ししました。






**********






それから三ヶ月後、O美様から手紙が届きました。


ご両親が仲直りした事、家族で旅行に行った事などなどの嬉しい出来事と共に、三人笑顔の写真が同封されていました。


本当に良かったですね。


皆様の「縁」がこれからも続きますように。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ