おやじ
どうしよう・・・。東京から2時間くらい離れた町に住んでいる俺
高校3年生になって、夏休みを終わって悩んでいた。
友達たちは、就職・専門・短大・大学・プー太郎、なんて卒業したあとのことを考えている。
人事じゃないのはわかっているけど、自分が何をやりたいかなんて想像もしていなかった。
[夢めざしてがんばりなさい」
先生たちは言うけど、夢なんて考えてもいなかった。
今の世界学力社会はもう終わりなんて事になってるけど実際ちがう。
ある日の夜、テレビドラマで大学生を中心としたストーリーを見て思った、
(楽しそうだな)
その感覚だけで俺は大学進学をめざすことにした。
しかし問題が起こった。おやじに反対されたのだ。
おやじは小さな会社を経営しているけど儲かっていない。借金だってある。
「何で行くんだ、やりたい事でもあるのか、反対だ」
「楽しそうだから」なんて言えない俺、
高校も行かせてもらっいるし、大学に行くには大金が必要だ、会社を継がせたいのもわからないわけじゃない。話は進まなかった。その日はもう話すのが嫌になって、
「とにかく行くから」といい外に遊びに出て行ってしまった。
それから俺は、母を説得し勝手に大学を決め、試験を儲け、合格した。
その日の夜おやじに
「合格したから東京に行くよ」
おやじは大学の資料を見ながら、なにも言わずにタバコを吸ってうなずいていた。
東京で1人くらしをするため、家を探しにおやじの横に乗って車で東京に向かった。
車の中は言葉は少なく、すこし気まずい雰囲気だ。
東京につくと驚いた事におやじは知り合いに家を探してもらっていたのだ。
(反対していたのに)と思ったが、俺は楽しみでしょうがなくキャンパスライフのことばかり考えていた。
そして、高校を卒業し桜が咲き始めた頃、引越しの日がやってきた。
荷物を積み、泊りがけで東京に行くことにした。
そしてその夜は、これから1人くらしするアパートでご飯を食べながら話していた。
おやじは酒を飲んで酔っ払って
「大学いまからでも行かなくたっていいんだぞ」
と変なことを言いながら熟睡した。
次の日の朝、両親が帰っていった。はじめて1人になりなんか寂しい気分になっていた。
すると携帯がなった、おやじからだ
「どうした」と俺が聞くと、
「がんばれよ」「いつでも帰って来いよ」おやじはこの言葉をいい電話を切った。
俺は抑えられないほど涙がでてきた。小さい頃からそんな言葉を言わない頑固なおやじからはじめて言われたこと、自分勝手に東京にきて、ずっと反対してると思ってた俺を心配していること。
急に帰りたくなった。
そして、トイレに入ると母にばれないようにカーペットの下に3万円隠してあった。