美雲ミサイル
美雲ミサイル。このフレーズが気にいってます。
でも、真似はしないでください。危険です。
「お前だけにはいわれたくないよ! 人に飛び蹴りなんかかましやがって!」
「ふん! 飛び蹴りでも遠慮したほうよ! ここが崖なら突き落としているとこよ!」
「……鬼か、お前は……」
「どうでもいいけど、話進めない? これではなんの番組かわからなくなるぞ」
「まっ、いいじゃない。楽しければ」
「計画はどこ行った?」
「いつも計画通りに行くとは限らないもの。それが人生そんなものよ」
「ほんと、どの口がいうんだろうな……」
「さて、ゲストの努さん。他にもなにか占って欲しいことはありますか?」
「そ、そうだね、次回もこの番組があるか占ってもらえる?」
「努さんもバカなことしたよな。美雲なんかスカウトしたばかりに胃と髪の毛薄くしちゃうんだから」
「お前も気をつけたほうがいいんじゃないか。美雲の犠牲者さん」
「晶の太い神経が羨ましいよ。なんでそこまで無関心でいられるんだよ?」
「いっても無断だから気にしないだけさ。それに、美雲は美雲らしくしてたほうが安心するよ」
「まあ、そりゃそうだ。こいつが女らしくしてるほうが気持ち悪いか。なんたって傍若無人が美雲のいいところだからな」
「そーゆーこと」
「あんたら、それ褒めてんの? けなしてんの? どっちよ……?」
「もちろん褒めてるんだよ。でなきゃ美雲ちゃんの傍若───うぎゃっ!」
「あら、どうしたの努さん? ほっぺが真っ赤よ?」
「お前が手加減なしにつねったからだろう」
「美雲の使用上の注意。美雲の悪口をいうときは手の届かないところで心の中でいいましょう。たまに心の中も見るのでご注意を」
「ふん! レディに対して礼儀も知らない男に手加減なんてもったいないわ! 後悔して地獄に落ちろ!」
「なにがレディだよ。ゴリラみた───」
「───美雲ミサイル!」
ゴシッ!
「……おい、今、なに投げた? 赤いのが見えたけど……?」
「缶コーヒー」
「用意してたのか?」
「うん」
「……そ、そうか。覚えておくよ……」
「───ちょ、ちょっとちょっと美雲ちゃん! いくらなんでも缶コーヒー投げちゃまずいでしょう! 死んじゃうよっ!」
「やーね、努さんったら。いい加減将之助の頑丈さに慣れてよ。缶コーヒーの1000や2000食らったところでどうってことないわよ」
「いや、さすがの将之助でも死ぬだろう。こんな至近距離からじゃ」
「───当たり前だッ! おれを殺す気かッ!」
「……でもないか。これだけ元気なら。ほら、鼻血拭け」
「ったく。遠くで死んだかあちゃんに会ったぞ」
「それはよかったですこと。あたしなんか会ったことすらないわよ」
「そーゆー問題じゃねーだろうがっ!」
「じゃあ、どーゆー問題よ?」
「………………」
「どうどう。顔が黒くなってるぞ。血管切れるぞ」
「さて。時間も迫ってきたことですし、今回ハガキを送ってくださったかた中から抽選で5名のかたにJ〇さんから高級メロンをプレゼントしちゃいま~す!」
「抽選で5名って、4枚しか紹介してないじゃん。残りましたはどーすんだよ?」
「もちろん、あたしたちが美味しくいただくに決まってるじゃない。捨てるのももったいないしね」
「……なあ、美雲。もしかしてだけど、隠してないよな、ハガキ……?」
「ぴぃーぴぴぃーぴぴぃーぴ」
「か、隠してたか、やっぱり……」
「え? あ、晶くん、どういうことだい?」
「努さん。この番組の宣伝ってしました?」
「あ、ああ。したよ。いろんなところに」
「それでハガキが4枚って不思議に思わなかったの?」
「いや、美雲ちゃんが演出だと、どうせ全部は紹介できないんだからって……」
「はぁ~。努さん。美雲の使用上の注意その二。美雲が素直ときはなにかを企んでいる証拠です」
「アハハ。まあ、いいじゃないの。なにごとも最初が肝心ってゆーしさ。第1回に相応しいハガキ選んでたら4枚しかなかったのよね」
「……で、何枚きたんだ?」
「ん~。200枚くらいきてたかな?」
「……まったく、お前の周到さには呆れるよ。一緒にきてるのにいつするんだよ、そんなこと……」
「エヘ。いつだろうネ」
「いい、努さん。美雲に潰されたくなかったら管理はしっかりやってください。でないと骨までしゃぶられるからね」
「……ああ、注意するよ……」
「やーね、心が狭い男って。そんなんじゃ女の子にモテないぞォ」
「この女には反省って文字もねーようだな……」
「ないも~ん。あたしには全然これっぽっちもないも~~~ん!」
「いい切ったぞ、この女!」
「……すっ、すみません。ちょっとコマーシャルに行ってください。さすがのぼくも我慢の限界です……」
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