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~~18:50~~

恥をさらします。

   ───18:50───



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


『───ばすた~ズ! なんでも解決始まるよぉ~~~~っ!』



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「はぁ~いみんなぁっ! 今日も元気に米食ってるかァーっ! 元気がないヤツは今すぐ米を食えっ! もちろん元気なヤツも米を食えっ! 米は日本人の源だ。オーッ! あたしなんて毎日食ってるから血管切れそうなくらい元気だぞォーッ!」


「だったら切って流せよ。昼間食ったサンドイッチの分をよ」


「そうだな。オヤツのメロンパンも流すといいんじゃないか」


「……オオッ! 米だけじゃないぞ。野菜も食ってるし、果物だって食ってるんだ! 緑茶なんて3リットルは飲んでるんだから。うんうん。あたしは日本人に生まれて幸せだよ。もう嬉しくて涙が出るネッ!」


「コーラ飲んだ口がなにいうな」


美雲みぐもならペプシ飲んでもいいそうだな」


「あ、おれ、傍若無人って漢字で書けるようになったぜ」


「まっ、美雲のためにある言葉だからな、嫌でも覚えるだろうな」


「ちょっと! なにくつろいでんのよッ! 番組はとっくに始まってんのよ。仕事しなさいよ、仕事をッ!」


「んなこといわれてもなぁ~。説明なしに連れてこられて仕事もないだろう」


「5分前にいったじゃない。しょうすけったら忘れたの?」


「忘れられないのが悔しいよ」


「だったらスポンサーを讃えなさいよ! 声が枯れるまでネッ!」


「解説のあきらさん。スポンサーってどこだと思いますか?」


「そうですね。美雲さんの叫びからして八百屋ではないでしょうか」


「なるほど、八百屋ですか。しかし、八百屋で米は売ってますかね?」


「では、商店街ではないですかね」


「商店街ですか。商店街ってスポンサーになれるものですか? 美雲さん、商店街の名前いってませんでしたが」


「う~む。わかりませんな。いや、勉強不足で申し訳ない」


「で、どこなんだ?」


「あれ? いってなかったっけ?」


「聞いた覚えはない」


「右に同じ」


「J〇だよ」


「…………」


「……はい?」


「知らないの? 古い言葉でいえば農〇だよ。───あっ! この『ばすたぁ~ズ なんでも解決』はJ〇の提供でお送りしまぁ~~す。よろしくネッ!」


「……この企画、誰が考えた……?」


「あたし」


「許可したのは?」


「ガラスの向こうで青くなってる人」


「だぁあぁぁぁぁっ!!」


「どうどう。そう怒るな。美雲の傍若振りはいつものことだろう。お前が先に血管切って血を流すぞ」


「そうそう。体に悪いよ」


「お前がいうなッ! お前がっ!」


「なによ。あたしの考えた企画に文句あるの?」


「おおありだ! ったく。考えるお前もお前だが、それを許可するつとむさんも努さんだよ! なんでこいつのワガママ許すのさ! 小学生になにさせる気だよっ!」


「これだから筋肉バカは単純っていうのよ。晶。あたしたちがどのくらい有名で、人気があるか教えてやりなさいよ」


「どのくらいといわれてもな~。そんなの考えたことなかったから説明できないよ」


「テレビCM6本。雑誌モデル数知れず。朝の子供番組、マジカルウルルゴに出てるあたしさたち『ばすたぁ~ズ』を知らないのは日本人じゃないわッ!」


「ふーん。そっ」


「そって、感動薄いわね……」


「別に興味ねーもん。おれの神経と胃はお前で精一杯なんだ、他のことまで考えてられるかよッ!」


「なによ。まるであたしが迷惑かけてるみたいじゃないのよ」


「かけてるだろうがよッ! 力一杯ッ! 弁当密売やら写真販売でっ! それでなんでおれが怒られるんだよ! なんでおれが立たされるんだよ!」


「いいじゃない。お陰でメロンパンが何十個って買えたんだからさ。喜んで怒られなさいよ」


「だったらお前が怒られろよ! 張本人がッ!」


「イヤよ。聞きたくないもん」


「うがぁーッ!」


「どうでもいいけど、外で努さんが泣いてるぞ。早く進めろって」


「おっと。筋肉バカに構っている暇はないのよ。仕事しなくちゃ」


「こっ、この腐れ女がァッ!」


「さて。今日からこの時間はあたしたちばたぁ~ズが占拠しました」


「やりかねないから突っ込めないよな・・・」


「ああ」


「この番組はみなさま方のお悩みや心配事を解決する番組です。みなさん、どんどんハガキ送ってね。あたしたちがどんどん解決しますから」


「小学生になにしろというんだ?」


「真っ先に問題起こしてるヤツがなにいってんだか。なにより先にテメーの性格を解決しろよ」


「では、知らない人はいないと思うけど、自己紹介させてね。まずあたし。可愛くて優しい相原美雲でぇーす! 年齢は11歳。好きな食べ物はメロンパン。あのふっくらした姿がたまんないのよね~。嫌いなのはピーマン! あんな不味いものが地球上にあることが許せないわッ! 世界征服したら真っ先に滅ぼし───あん。今は冗談よ。テヘっ。趣味は沢山あるけど、一番は占いかな。みんなも占って欲しいことがあったらあたしにお任せっ。恋でも悩みでもなんでも占ってあげる」


「突っ込みどころが多すぎてなにから突っ込んでいいかわからないよ」


「ケッ! ブリッコしやがって。グラスの男子から赤い悪魔と恐れられて───うごっ!」


「てーなっ! いきなり蹴ってんじゃねーよ!」


「乙女を愚弄する者に天罰を下せって神様がいったのよ」


「怪しい宗教団体みたいなこといってんじゃねーよ! ただの人間風情がっ!」


「神の使徒はなによしても許されるのよ」


「んなワケねーだろうがッ!」


「さあ、おバカさんは無視して自己紹介の続きをしましかね。ばすたぁ~ズの不思議博士でいんてりじぇんすな魔法使いです。インチキ野郎ですけどね」


「誰がインチキ野郎だ! ニセ占い師にいわれたくない」


「あたしの占いはよく当たるってクラスでは有名なのよ。魔女っ子美雲ちゃんって呼ばれてるんだから。よし。将乃之助を占ってあげるわ」


「なぜにおれ?」


「むにゃむにゃムー」


「……インチキだとしてももっとらしい呪文をいえよ……」


「うん! 将之助くんは赤い髪の女の子の下僕になると出ました」


「おおっ! 当たってる」


「当たってねーよ! 誰が下僕だよっ! このインチキどもがっ!」


「やれやれ。冗談が通じないヤツだ」


「しょうがないよ。将ちゃんだもん」


「テメーら泣かす。絶対泣かすからな……」


「おっと、自己紹介自己紹介。ほら、晶」


野宿のしたかあきらです。11歳。魔術が好きです」


「次」


藤原ふじわらしょうすけ。同じく11歳。スポーツならなんでも得意だ」


「……もうちょっとファンが喜ぶこといいなさいよ、あんたたち……」


「どうせ聞いてるヤツなんて誰もいないよ」


「最初で最後。今日で打ちきりだろう」


「なんで投げやりなのよ。あたしがこんなに盛り上げてるっていうのにッ! あんたら最低よ! 努さんに悪いと思わないの?」


「まあ、努さんにはいつもお世話になってるしな、やるだけやるか。で、ハガキは……って、4枚だけかよ」


「打ち切り確定だな」


「まあ、いいさ。〇〇県〇〇市のペンネーム『ばすたぁ~ズ命』さんからのハガキです。ばすたぁ~ズのみなさんこんばんは。はあ、こんばんは。わたしは小学5年生の女の子です。美雲ちゃん、将之助くん、晶くんのことはテレビや雑誌でしか知りません。できればプライベート、どういう仲か教えてください。PS、美雲ちゃんはどちらと恋人なんですか? だってよ」


「……な、慣れてるな、お前……」


「……将之助のクセに生意気な……」


「泣いて驚け。おれだってこのくら───」


「それでは『ばすたぁ~ズ命』さんの質問に答えましょう」


「聞けよっ!」


「あたしたちは3人は家族です。苗字が違うのは血が繋がってないからだよ」


「そう。ぼくたちは孤児院で暮らしてる訳さ」


「あたしは生まれて直ぐに拾われて、晶は……4歳のとき両親が死んで回りに回って鏡丘教会にきて、将之助は……あれ? 何歳だっけ?」


「7歳のときだよ」


「そうそう。小学生のとき捨てられたんだっけね。まあ、歳も同じだし、気もあったからいつも3人で行動してたらスカウトされて今にいたるワケよ」


「と、いうより付き合わせられてるといった方が正しいけどね」


「まったくだ。おれを捨てた親を恨むぞ。なんで違う孤児院に捨てくれなかったんだよ。若いうちにハゲたら呪ってやるからな!」


「拳震わせていうこと? こんな美少女と出会わせてくれた親に感謝しなさいよ!」


「なにが感謝だ! 迷惑しか運んでこないトラブル女がッ! 奔走するおれの身にもなれよ!」


「いいじゃない。あたしの踏み台になれて」


「晶! この女を改心させる魔法はないのかよっ!」


「ぼくにふるなよ。だいたい美雲に乗せられるお前が悪いんだろう。何年美雲の横にいるんだよ。なにかしそうになったら真っ先に逃げろよ。いつまでもいるから損するんだよ」


「……んなこといっても……」


「ほんと。間が悪いっていうか不幸っていうか、笑っちゃうくらい貧乏クジ引くよね~。アハハ───」


「笑うなッ! 張本人がッ!」


「おっと、笑ってる場合じゃなかったわね。えーと。『ばすたぁ~ズ命』さん。ってなワケであたしたちは3人で行動している。だけで恋愛感情はないの。あるとすれば家族愛かな? だから心配しなくていいんだよ」


「ぼくとしては将之助とくっついて、苦労の全てを引き受けて欲しいよ」


「おれに死ねっていってるのか? そんなに自分が大事か?」


「……こ、この腐れ野郎ども、冗談でも好きっていえないのか、こんな美少女を前にして……」


「そんな死刑執行サインみたいなことできるかよッ!」


「キィー! 女心をズタズタにして。あたしは2人を地獄の底から愛してるのよ。その愛がわからないの!」


「地獄からの愛なんていらねーよッ! ぜってーいらねーよっ!」


「お、おのれ女の敵めっ! 天誅よ。神様が天へと寄越せといってるわ……」


「神だか悪魔だか関係あるか! 返り討ちにしてやんよッ!」


「ったく、直ぐケンカする。やるなら外でしろ。あ、備品を壊すな! こら! それはやり過ぎだ! ───え? あ、はい。ここでコマーシャルがあるそうです。どうぞ」



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

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