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北の国の小話  作者: 上総
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以下の小話は原作本編の終章まで、こぼれ話の「シッティウス家の夕食〜シッティウス家と新任官吏〜」まで、及び洸海様の二次創作「シレンティウムの平和な日常」の「平和とは日々の努力の賜物です篇」の内容を前提に書いています。該当作品をそこまで読んでいない方にはネタバレとなるような内容が含まれているかもしれません。ご注意下さい。


その一 エルレイシア様親衛隊


シッティウス「設立の許可を求める要望書が提出されているのですが」

楓「子持ちの人妻の親衛隊って…」

エルレイシア「あらあら、うふふ」(嬉しそうに)

シッティウス「それでいかが致しましょう、アキルシウス殿」

晴義「自分に振られても…」(困惑顔で)

アルトリウス『下手に却下すれば、横暴だ権力の濫用だ辺境護民官もげろと騒がれるのは火を見るより明らかなのである』

シッティウス「まぁそうですな。アキルシウス殿に害を成すようでは問題ですが、そんなことをすれば大神官殿の怒りを買うのは明らか。さすがにそこまでするような蛮勇はないでしょう。それでは許可ということで」

ルキウス「でもよぉ、多分こいつらだと思うけど、この前中央広場の隅で野郎の集団がコールの練習しているの見かけたぞ」

アルスハレア「コール…。神殿内部や神事の途中でやるのはさすがにちょっと勘弁してほしいわね」

シッティウス「わかりました。それでは時と場所をわきまえるようにと、回答書に追記しておきます」

晴義「はぁ…」

エルレイシア「うふふ」


注:「コール」って何だ?という方は「アイドル 親衛隊 コール」あたりのキー ワードでぐぐってみてください。



その二 楓姫親衛隊


晴義「陰者の一族って、今はある意味楓の親衛隊だよな」

楓「うーん、それはちょっと違うと思うけど…」

陰者の長「ということは、我らもコールとやらを備えておくべきであろう」

楓付きの陰者「こんなこともあろうかとコール表を作っておきました」

陰者の長「うむ。郷の方には召集を掛けておいた。早速練習を始めるとしよう」

楓「備えなくてもいいからっ!ちょっ、みんな集まらないでっ!練習するのやめてぇーーっ!!」



その三 プリミア嬢親衛隊


ルキウス「ああ、そいつらはこの前自主的に解散させたから」

晴義「解散させるのは自主的とは言わないだろ…」



その四 キャラ立ちは重要です


鈴春茗「やはり私の西方語は面妖なる箇所があるのではないでしょうか。修繕すべきではないかと思うのですが」

奉玄黄「前にも言ったけど、鈴のは気になるほどじゃ無いヨ〜。むしろ変えるべきではないネ」

鈴春茗「修繕せざるべきと申されますか。それはいかようなる理由からでありましょうか?」

奉玄黄「そうネ…。例えば君と話すとするじゃないか」

鈴春茗「何で御座いますか。やぶから棒に東照語で」

奉玄黄「いいから東照語で話しなさい」

鈴春茗「…わかりました。これでいいですか?」

奉玄黄「ああ。それで君が流暢な西方語を話すようになったとする」

鈴春茗「はい」

奉玄黄「そうすると、このように字面的には極普通の会話になる訳だ」

鈴春茗「まぁ、そうですね」

奉玄黄「それを読者が見た場合、どう感じるだろうね」

鈴春茗「……」

奉玄黄「今の西方語の言葉遣いの方が、読者に東照人である鈴春茗というキャラクタが伝わりやすい。そうは思わんかね」

鈴春茗「…なるほど、確かにその通りで御座いますな。それでは現状を維持するよう心掛けることに致しまする」

奉玄黄「それがいいヨ〜」



その五 仲良く喧嘩しな


スフェラ『喧嘩は駄目よ?』

ペトラ「シッティウスと?」(爆笑)

スフェラ『そ、そんなに変なこと言ったかしら…』


数日後


ペトラ「だぁーーーーーっ!何なんだいっ、この書類の山はっ!シッティウスの奴、あたしゃ生身の人間で、あんたみたいな事務処理装置じゃないんだからねっ!!」

スフェラ『喧嘩は駄目よ?』



その六 モバイルな神様


アルトリウス『我がことながら、街をふらふらと歩いていてお供え物を直接手渡される神というのも、奇妙なものであるな』(両手に花や酒やパンなどが入った袋を沢山ぶら下げて)

アクエリウス『お供え物は祭壇へ、とでも行政府から告示を出してもらえば、みんな祭壇に持っていくと思うけど…。いいじゃない、それだけ街の人たちから親しみを持たれているってことなんだから』

アルトリウス『そうであろうか?』

アクエリウス『そうよ』

アルトリウス『ふむ…ではこれからも直接受け取ることにするのである』 (嬉しそうに)



その七 丸薬に最適


鈴春茗「薬事院長様、ご依頼を承りました丸薬の試作品が完成致しましたので、持ち参上致しました」

アルスハレア「なるほど、これが丸薬ですか。それでこれは何の薬なのでしょうか。」

鈴春茗「はい、こちらで御座います」(きのこを手にして)

エルレイシア「ぶっ!」(飲んでいたお茶を吹き出す)

アルスハレア「ぼ、棒茸ですか…」

鈴春茗「はい、分量の加減が難しき薬草に御座りますれば、丸薬とすることによって扱いが容易となりますので、効果がわかりやすかろうと思いまして」

アルスハレア「それは確かにそうですね」

鈴春茗「薬師の皆様に伺いましたところ、大神官様にお渡し致しますれば、有効活用して頂けるであろうとのことで御座いましたので」

エルレイシア「げほっ、げほっ」(咽せている)

アルスハレア「なるほど」(面白そうに)

鈴春茗「ということですので大神官様、是非ご利用いただきご意見など頂ければ幸いに御座いまする」(丸薬を手渡しながら)

アルスハレア「エル、是非有効活用して鈴さんに結果を報告してあげてね」(にやにや)

エルレイシア「……」(顔真っ赤)


その後しばらくの間、辺境護民官殿が朝からどことなく疲れた顔をしていたとか、逆に大神官様が妙に満ち足りた顔をしていたということが、あったとかなかったとか。



その八 食生活の変化が子供の成長に与える影響


帝国人の母「うーん、お皿に手が届かない。どうもこの家は全体的に棚の位置が高いのが難点ね」

帝国人の娘「お母さん、チーズ切れたよー」

帝国人の母「それは食卓の方に持っていって」

帝国人の娘「はーい」

帝国人の息子「母さん、俺ミルクもう一杯欲しい」

帝国人の母「はいはい…あ、丁度いいわ、ついでにそこの棚の一番上にあるお皿をとってちょうだい」

帝国人の息子「これでいいの?」(軽々と)

帝国人の母「ええ、ありがとう。…そういえば貴方、また背が伸びたんじゃないの?」

帝国人の息子「うん、なんか最近シャツの袖やズボンの丈が短いんだ」

帝国人の母「もうすっかりお父さんを追い越しちゃったわね」

帝国人の娘「私も服の胸のあたりが最近またきつくなってきたよー」

帝国人の母「二人共帝都にいた頃は近所でも小さい方だったけど、シレンティウムに引っ越してきてから急に成長しはじめたわね」

帝国人の息子「こっちで出来たオラン人やクリフォナム人の友達には負けるけど、帝都時代の仲間と比べたら、今なら絶対俺の方が背が高いと思う」

帝国人の娘「私も今なら帝都のお友達よりずっとグラマーな自信あるよー」

帝国人の母「貴方達もまだ成長期だからおかしくはないんでしょうけど…それにしても不思議ね。何か理由があるのかしら」



その九 水神様は子供好き


行政府、晴義の執務室


アクエリウス『ほーら、二人共いい子ねー』

アルトリウス「うー」

アルトリア「あうー」

エルレイシア「アクエリウス様は子供がお好きなんですね」

アクエリウス『ええ、大好きよ。だって子供は可愛いもの』

晴義「でも、こんなところで油を売っていてよろしいのですか?」

アクエリウス『あら、私は自分の仕事はちゃんとしてるわよ。どこかの守護神とは違うもの。ねー』

アルトリウス「だー」

アルトリア「だうー」


同時刻、太陽神殿大聖堂


アルトリウス『アクエリウスばかりずるいのである。我もアルトリウスやアルトリアをあやしたいのである』

アルスハレア「いいから子供の名前を考えなさい。まだ6組も待っているのよ」

アルトリウス『ううむ、世の中色々と不公平なのである』



その十 くるみ割り人形


シッティウス「何故人形の顔が私に…?しかも口で噛み砕くのではなく、手で握りつぶす構造とは…???」


注:洸海様の二次創作「シレンティウムの平和な日常」の「平和とは日々の努力の賜物です篇」を元ネタとして使わせていただいております。



その十一 一夫多妻制(そもそも論)


シッティウス「まぁ正直そんなことを今更蒸し返されても困る訳ですが、ことアキルシウス殿に関しては、外部から受け入れるくらいなら、その前に楓さんをというのが順番から考えても筋である、とでも言えば、婚姻策を仕掛けてくる相手に対して、一定の牽制にはなるでしょうな」

楓「……」(嬉しそう)

エルレイシア「……」(面白くなさそう)

プリミア「……」(苦笑)



その十二 一夫多妻制(楓の反応)


翌日の昼休み前、シレンティウム行政庁舎・行政長官執務室


楓「シッティウスさん、ちょっといいかな?」

シッティウス「これは楓さん、何かお困りですかな?」

楓「ううん、実はお菓子作りの練習でハニーパイを焼いてみたんだ。シッティウスさん甘いものが好きだってきいたから、よければ試食して感想とか聞かせてもらえないかなと思って」

シッティウス「私でよろしいのですか?アキルシウス殿ではなくて?」

楓「うん。シッティウスさんには陰者の件でいろいろお世話になっ

たし、日頃の感謝を込めてってことで」

シッティウス「そうですか。では丁度お昼時ですし、遠慮なくいただきます。

……。

……。

……。

……。

ふむ、素朴な味わいですが、おいしいですな。これならアキルシウス殿も喜んでくれると思いますよ」

楓「そ、そうかな。えへへ、だったら嬉しいな。あ、まだ沢山あるんで官吏の皆さんも良かったらどうぞ。シッティウスさん、どうもありがとう」

シッティウス「いえいえ、こちらこそ」


楓付きの陰者「外から妾を受け入れるくらいなら姫様を晴義様の二番目の夫人にというのが筋、という昨日のシッティウス殿の発言が、相当に嬉しかったようです」

陰者の長「姫らしいというか…こういうところは昔からかわっておらんな」(苦笑)

楓付きの陰者「確かに」(苦笑)



その十三 一夫多妻制(エルレイシアの反応)


同日午後、太陽神殿


見習いの少女「あ、あのっ、アルスハレア様っ」(半泣き状態)

アルスハレア「えっ?どうかしましたか?」

見習いの少女「……」(怯えながら部屋の正面中央を見る)

エルレイシア「ぶつぶつぶつぶつ…」(何やら黒い気配を漂わせながら)

アルスハレア「はぁ…。ごめんなさいね。

……。

…エル、ちょっと、エルったらっ」

エルレイシア「は、はいっ!あ、叔母様、何でしょう?」

アルスハレア「何でしょう、じゃないわよ。無意識に呪詛を組むのは止めなさい。いやしくもあなたは太陽神様の大神官なのよ」

エルレイシア「う〜〜でも〜〜でもでも〜〜〜〜」(拗ねている)

アルスハレア「でももへったくれもないの。それに辺境護民官の妻が行政長官を呪っていたなんて、事情を知らない者に下手に知れたら、それこそ立派なスキャンダルよ」

エルレイシア「…はい、申し訳ありません…」(しおしお)


鈴春茗「こういうのを見てしまいますと、こちらの神殿は大丈夫なのかと思ってしまうわけで御座いますが…」

奉玄黄「大丈夫、大丈夫ヨ〜。大神官様が辺境護民官殿がらみで暴走するのハいつものことヨ〜。アルスハレア様がたずなを握っている限りは、大きな問題にはならないネ!」



その十四 一夫多妻制(プリミアの反応)


同日夕刻、テルマエ・シレンティウメ


アクエリウス『そういえば、楓ちゃんが二番目の奥さんなら、プリミアちゃんも挙げなくちゃいけないんじゃないの?』

プリミア「えっ?えっ?」

アルトリウス『ロット嬢は今はルキウスと良い雰囲気なのである。今更ハルの嫁の一人になどと言い出したら、今度はルキウスが暴れること間違いなしであろう』

プリミア「……」(顔真っ赤)

治安官吏「治安長官が暴れてブタ箱入りなんて、悪い冗談としか思えませんよ…」(ため息)



その十五 シレンティウムの軍事技術は世界一ィィィィィィ!!!!!!


帝都東部平原、シレンティウム軍本陣


ズドーン、ズドーン、ズドーン、…。


晴義「…スイリウスさん…ぶっ飛ばしすぎだろう…」

アルトリウス『あの発明女史、いささか頭がぶっ飛んでいるのであろう…』


ドン、ドーン、ズゴゴゴゴゴ、ズドーン。


晴義「花火が爆裂弾に変わってしまうと言うのは…ほんとうに物って使い方次第ですね」

アルトリウス『うむ、全くである』


ズゴーン、ドドーン、ドーン、ズゴゴゴゴーン。


晴義「…先任」

アルトリウス『何であるか』

晴義「今、もの凄く馬鹿なことが思い浮かんだんですが、言ってもいいですか?」

アルトリウス『…言ってみよ』

晴義「何かこの調子だと十年後のシレンティウム軍は、それこそ空でも飛んでいるんじゃないかと思ったんですけど…いくら何でもそんなことはありえませんよね?」(汗)

アルトリウス『流石にそれはないと思うが…この光景を見ていると、絶対にないとは断言できないのが怖いところである』(汗)



その十六 ハル兄のお仕置き


辺境護民官こぼれ話「秋瑠楓の1日〜秋瑠楓と仲間達〜」より


晴義「楓…お前また騒ぎを起こしたんだってな?」

楓「そ、それはそのっ」

晴義「謹慎中に黙って出た挙げ句にこれか?」

楓「ご、ごめんなさいっ」

晴義「…もういい。お前におとなしく謹慎していろといっても無理なことはよくわかった。だから謹慎は止めだ」

楓「…えっ?」

晴義「だからお前には別のお仕置きをすることにする」

楓「…えっと」(汗)

晴義「明日から毎日、陰者の一族総出で中央広間のど真ん中でコールの練習をしてもらう」

楓「ちょっ、ハル兄、待って…」

晴義「当然お前は毎日参加が義務だ。もし逃げ出したりしたら、陰者たちにコールを唱えながら捜させるからな」

楓「うわぁっ!おとなしく謹慎してますっ!お願いですから謹慎させてくださいーーっ!!」(大汗)



その十七 シレンティウムなう


シッティウス「ほぉ、『つぶやき』ですか」

マニウス「はい。140文字以内という制限付きで手紙のやりとりをするのが、最近若者の間で流行しております」

シッティウス「また変わったことが流行ったものですな」

マニウス「元々は帝都の若者の間で流行ったのが始まりのようですが、それがシレンティウムに移住してきた帝国人の若者、シレンティウム在住のオラン人やクリフォナム人の若者、そして郊外の村々の若者へと波及していったようです」

シッティウス「その『つぶやき』の内容はどういったものなのでしょうか?」

マニウス「それはまさに様々です。恋人宛の愛の詩であったり、青空市場のお買い得情報を送る者もいます。ただ大半は、『フレーディアはこのところずっと雨』『今日もまた兵営の飯。【北方辺境】に行きてぇ』『群島嶼産木蝋製の蝋燭げっとだぜ!』といった、他愛ないといってはなんですが、日常のちょっとした出来事をつぶやいたものです」

シッティウス「そのようなことをわざわざ手紙で送らなくてもと思うのですが、まぁ流行とはえてしてそういうものなのでしょうな」

マニウス「それで、最近爆発的に増えていた手紙の量が、この『つぶやき』の流行を受けて更に増加の加速度を上げています。今しばらくは様子を見るつもりですが、若者以外にも『つぶやき』が広がっている様子も見られますので、このまま流行が定着するようなら、村々への郵便協会支局の設置を前倒しで実施する必要があると考えています」

シッティウス「わかりました、前にもお伝えしましたとおり、支局の設置に際しては行政府が力になりますので、ご相談ください」

マニウス「よろしくおねがいします」



その十八 かつての敵はその後暫くは友で、でも今は再び敵だ!


楓「ハル兄が結婚した時には一緒に慰めあったのに、いつの間にかルキウスさんといい雰囲気になってるなんて、プリミアの裏切り者ーーっ!!」

プリミア「え、ええっと…」(困惑顔で)



その十九 乙女心は複雑なのです


プリミア「でも例えば私が他の男性を紹介したら、それはそれで楓さん怒りますよね?」

楓「うっ…」(図星)



その二十 男心も複雑です


エルレイシア「私が楓さんに男性を紹介したら、ハルは怒りますか?」

晴義「えっ?う、うーん…」(答えに困る)


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